第九章「月曜日」
月曜日という響きは何だか重々しく感じる。
色んな人が月曜日を批判するような言葉を吐くせいだろう。
二日という休みは短くはない。
それなのに、明日月曜日かよ。
といった事を言うのは、ただ単に話の種になるからだろう。
「もう、月曜日ってテンション下がるなぁ」
例に漏れず、そんな事を言う奴が目の前にいた。谷口だ。
彼女は最近話もないのに俺の所へ来る。
きっと今の呟きも大した意味は無いのだと思う。
「谷口、お前って暇なんだな」
「ひ、暇じゃないよ!」
今の状況を暇ではなくてなんというのか。
「時雨君ってクールだよね」
「そうか」
クールの定義はいまいち分からないが、そうなのだろう。
「趣味とかないの?」
「谷口は?」
「え?」
谷口は驚いた顔をした。
何か変な事でも言っただろうか
「谷口の趣味は」
「わ、私?えーと、そうだなぁ、歌う事かな」
「へぇ、俺も歌は好きだ」
そう言うと、谷口は目を輝かせた。
「そうなんだ!今度一緒にカラオケ行こうね!」
「え、いや、あぁ・・・」
別に歌う事が好きだとは言ってないんだがな。
まぁ、断る必要もないだろう。
「楽しみにしてるよ」
「え、うん!」
また、谷口は驚いたような気がした。
俺は変な事でも言ったのだろうか。
「やっぱ、月曜日って特別な感じするよねぇ」
学校の外でもそんな事を言う人がいた。先生だ。
先生はだるそうにカウンターに突っ伏していた。
その横では曜日なんて関係なく寝ているヒロトが毛づくろいをしている。
「俺は月曜日も火曜日も変わらないと思うけどな」
「変わると思うけどなぁ、週の初めを彩る大切な日だよ?」
先生の場合、休みの短さに文句がある訳ではないようだ。
にしても、その大切な日を随分と無駄に過ごしているようだが。
「時雨君、どうしていつも夜に授業をするのか気になった事ない?」
突然、そんな質問を飛ばしてきた。
いつも昼間は喫茶店をやっているから特に気にはならなかったが、意味があったのだろうか。
「P2は主に夜に活動するんだ。
勿論、君を襲った奴みたいに昼間に動く奴もいる。
でも、基本的には夜に人を食べているんだ」
「夜行性なんだな」
余りにもだるそうにしていたので珈琲を淹れてあげた。
「ありがとう。あと、もう一つ教える事があったんだった」
珈琲のお陰か、先生は少し元気になった。
「僕や君が使えるこの力っていうのは、
目に見えない小さな粒子で出来ているんだ。
これは誰にでもあるものなんだけど、なんていうのか、
量が人によって違っていてね」
「俺とか先生はその粒子の量が多いって事か」
「そうだね。僕がいつも使ってるショットガンがあるでしょ?
あれはその粒子から出来ているんだ。
君にもいずれそのリボルバーの弾を作れるようになってもらうけど」
そういえばそんな事を言ってたような気もする。
前にやっていた信号もその粒子というのを使っていたという事だろか。
「その粒子を操るのに必要なのはイメージなんだ」
そう言うと、先生は人差し指を立てた。
「人差し指の先端に力が集まっていくような感じがして徐々に球体を作る」
先生の言う通りに、指先に球体が作られていった。
「だから、人によって作れるものは変わるんだ。
あと、粒子の量によっても作れるものの範囲が変わる」
MPみたいなものだろうか。
俺はどのくらいの粒子を持っているのだろう。
「まぁ、直ぐには使いこなせないよ。何事も慣れだからね」
「そうか」
「まぁ、こんなところかな」
先生は立ち上がって伸びをした。
横ではヒロトも伸びをしていた。
「さて、今日の授業を始めようか」
そう言って、ジャージを渡された。




