会合
遅くなって本当にすいません。
この先の展開に少し迷ってました。
エタっていたわけではないので心配しないでください。
クラウスが準備を終えて居間に戻るとすでにハインツとヨハンがソファに座って待っていた。
「お祖父様、父様準備が終わりました」
「そうか。ならすぐ行くぞ」
そう言ってハインツはさっさと行ってしまい、その場にはヨハンとクラウスだけが残されてしまった。
「……安心しろ、俺が守る」
ヨハンも後を追うように立ち上がりクラウスの横を通り過ぎるときボソッと小声で呟くとそのまま行ってしまった。
ヨハンはクラウスに聞かせるつもりでつぶやいたのではないだろうがクラウスにはばっちりと聞こえてしまっていた。
「どんどん事が大きくなっていくな……もしかしてかなり状況は芳しくないのかな」
クラウスは気分がどんどん憂鬱になっていくのを抑えて置いて行かれないように急いでヨハンの後をついていった。
クラウスがヨハンに追いついてしばらく歩くといかにも教会ですといった感じの豪華な建物についた。
どうやらハインツは先についていたようで教会の前で何やら誰かと話している。
当然ながらハインツの周りには護衛が五人ほどついている。
実際にはヨハンがついていればそれだけで十分護衛としての役割を果たしているようなものだが、ハインツにも貴族としてのプライドがあるのだろう。
息子に自分のことを守らせるというのはいささか体裁が悪い、それに息子に守られているという状況がが気に入らないのだ。
それに護衛というのは権力の表れである、護衛の数、質でその貴族がどれくらいの権力を持っているのかなんとなくわかってしまう。
その点ハインツを守っている護衛の騎士五人はクラウスから見てもヨハンには及ばないほどだがなかなかの腕を持っていることがわかる。
技術面ではどうだかわからないが、少なくともクラウスがこのレベルでは相手にならないくらいの実力は持ってそうである。
ハインツは教会についたこちらに気が付いた。
「おい、おそいぞ。私を待たせるな」
「すいません父上。それでそちらの方は?」
そう言ってヨハンは先ほどまでハインツと話していた人物をほうを見た。
「この方はこの教会の司祭様だ。おい、二人とも挨拶しなさい」
「これはこれは司祭様でしたか。私はエルファス公爵家当主ハインツ=エルファスの息子のヨハン=エルファスと申します。伯爵の位を王から授かっております」
「ご丁寧にありがとうございます。私はこの教会の司祭を務めさせていただいてます、カルロと申します」
そう言ってカルロはこちらに礼をしてきた。
カルロはパッと見優しげなお爺さんという感じで服装はTHE司祭といった感じの白い司祭服を着ている。
「クラウス、お前もあいさつしなさい」
「失礼しました。私はヨハン=エルファスの息子のクラウス=エルファスと申します。今年で10歳になっためこちらの教会にステータスの確認の儀を行いに参りました。よろしくお願いします」
そう言って礼をするとカルロは驚いたような顔でこちらを見てきた。
「さすがハインツ様の孫ですね。まだ10歳だというのにこんなにも礼儀をわきまえているとは。これだとステータスのほうも期待できそうですね」
「はっはっは、そうだろそうだろ。こいつは俺の自慢の孫だからな」
クラウスをほめられて上機嫌のハインツ。
それを見るヨハンの顔には嫌悪が浮かんでいた。
さっきまでクラウスのことで言い争いをしていたのにもかかわらず、いざ褒められるとこんなにも上機嫌になるのだから当然だろう。
「それでは皆様方、始まるまでまだ時間があるので中に入ってお待ちください」
カルロが協会に入っていったので三人もそれに続くように教会に入った。
教会に入るとそこには幻想的な空間が広がっていた。
「何度見ても美しいところですな!」
「ありがとうございます。ここは神聖な場所ですから神にふさわしい場所にしなければなりませんので」
教会の中はどこか違う世界にきてしまったような感覚にとらわれてしまうほど美しいものだった。
壁一面に豪華な装飾が施されており、その一つ一つが精巧な作りをしている。
さらに天井には美しい絵の描かれたステンドグラスがありそこから差し込む光が床にその絵を映し出している。
少し進むと教会のちょうど中央には泉があり、その中心にはまるで生きていると錯覚されるほど精巧に作られた美しい女性の像があった。
たぶんこの教会が祭っている神を姿を模した像なのだろう。
ステンドグラスや様々な装飾、他にもいろいろ目を惹かれるものがたくさんあるが、それでもなおその女神像の存在感一線を凌駕するほどのものだった。
(すごいきれいな人だな……)
クラウスもその女神像に目を奪われていた。
そんなクラウスを見ていたのかカルロが話しかけてきた。
「その像はこの教会が祭っている愛の神ラビス様の姿を模したものだと伝えられています」
「ラビス様?」
「ラビス様を知らないようですね……それなら少し説明してあげましょう!!」
「ぜひお願いします!!」
クラウスがお願いするとカルロは上機嫌で説明してくれた。
「まずこの世界には六柱の最高神がいることを知っていますか?」
「はい、前に本で読んだことがあります。たしかこの世界を管理しているとか?」
(たしか転生前に聞いたことだな)
「それでは六柱の神の簡単な説明をしましょうか」
カルロの説明をまとめるとこんな感じだ。
この世界は六柱の最高神によって管理されている。
六柱の神にはそれぞれつかさどっている事象があるらしい。
創造の神 ウランニウス
破壊の神 デーヴァ
愛の神 ラビス
魔法の神 ヘリオス
戦の神 アテリナ
輪廻の神 リイン
各神は名前の通りの事象をつかさどっており、この六柱によって世界が作られたといわれているらしい。
ちなみにうえから女性、男性、女性、男性、女性、女性であると伝えられている。
(リインに関しては確かに女性だったな……)
そしてこの教会が祭っている愛の神ラビスは名前の通り愛に関係することをつかさどっている。
例えば美や恋、友情などもこの神が管理しているらしい。
ちなみにこの神の加護を持っていると超美形になりやすかったり、運命のような恋に出会いやすくなるらしい。
その加護にあやかろうと教会に来る人も多く、異世界版縁結び神社のような役割を果たしているらしい。
(そう言えばエミリアが祝福を持ってたな……)
神童と呼ばれる妹が持っていたことを思い出し、何とも言えない気分になるのを抑える。
「わかりましたか?」
「はい!!神父様ありがとうございます!」
丁寧に説明してくれたカルロに満面の笑顔でお礼を言うクラウス。
はたから見れば微笑ましい光景なのだが実際は精神年齢が17歳のクラウスの笑顔に無邪気さなどみじんも含まれておらず、完全に打算から来る笑顔なのが残念だ。
「それでは私は儀式の準備がありますので、始まるまでゆっくりとしていてください」
「わかりました!!ありがとうございました」
「いえいえ、お役に立ててよかったです」
そしてカルロはどこかに行ってしまった。
クラウスがこの後どうしようかと周りを見ていると入口の扉の開く音がした。
(誰か来たみたいだな、俺たちより遅く来るってことはまさか……)
基本的にこういう貴族の集まる場では低位の貴族から先に来るというのが暗黙の了解になっている。
エルファス家は公爵の位をもらっているので、単純に考えればこの国では上から二番目の権力を持っていることになる。
つまりエルファス家より遅く来るということは同じ公爵家かその上の王家ということになる。
といってもクラウスはどちらの顔も知らないのでとりあえずヨハンかハインツを探すことにした。
周りが騒がしくなる中クラウスはするとハインツもこちらを探していたらしくヨハンとこちらに向かってきた。
「クラウス、すぐにあいさつに向かうぞ」
「えっ!?」
ヨハンはこちらに来るとすぐにクラウスの手を引っ張ってハインツとともにさっき来た人に群がっている人ごみに向かっていった。
人ごみを作っている人たちはこちらの顔を見るとすぐに道を開けてきた。
さすが公爵といったところだろう、まるでモーセが海を割るかのごとく道が出来上がっていく。
ヨハンとクラウスがその人物のところにつくとすでにハインツが話していた。
「これはこれはアモリア王様、お久しぶりでございます。この度はどうしてここへ?」
(知ってるくせに白々しい。ここに今日来るってことは目的はひとつしかないだろ)
わざわざ知っていることを聞くハインツにクラウスは侮蔑の目を向けそうになるが誰が見ているかわからないため我慢する。
ヨハンのほうを見てみるとヨハンもまた同じことを考えているのだろう、若干いらだちが表情に見えている。
「ハインツか、うちの娘が今年で10歳になるからな。それでステータスの確認に来たというわけだ」
「それはそれは誠におめでとうございます」
全力で媚を売るハインツにもはやあきれるしかない二人。
「お父様、こちらの方々は?」
突然アモリア王の後ろから声がかかった。
「おお、スフィアか。こやつはエルファス公爵家のハインツだ。いつも国のことを想って行動してくれる忠義心の高いやつだよ」
アモリア王の後ろから出てきた少女を見てクラウスは息をのんだ。
少女の容姿はまるで天使のように美しく、よく整えられていて長く美しい金髪は教会に差し込む光を浴びてさらに美しさを増している。
さらに教会の神秘さがこの少女の存在感をさらに際立たせている。
その凛とし佇まいからこの年では珍しく可愛いというよりは美しいという言葉のほうが似合っている。
クラウスも少しの間その少女に見入ってしまったがすぐにその感情が引いてきた。
(【仮面】さまさまだな……初対面の女の子に見入ったまま固まるとか恥ずかしすぎるな)
【仮面】で制御できるのはあくまで一定の大きさの感情だけなので一時的にその少女の美しさはそれを超えたということになる。
それほどまでにその少女の美しさは異常だったといえる、それこそ転生前にあったリインには劣るが、それに準ずるくらい少女は美しかった。
「お初にお目にかかります。私はアモリア王国第二王女、スフィア=アモリアと申します」
そう言ってスフィアは笑顔でこちらに笑いかけてきた。
そろそろ物語が動き始めます。




