出発 2
遅くなってすいません。
少し堅苦しくなりました。
「失礼します」
クラウスが書斎につくとヨハンはすでに椅子に座って待っていた。
「とりあえずそこに座れ」
「わかりました」
そう言われ近くの椅子に座る。
クラウスが座るのを確認するとヨハンは話し始めた。
「魔力のほうはどうだ?上がったか?」
「いえ……すいません。母さん曰くまだ初期値のままだそうです。」
クラウスはうつむきながら申し訳なさそうに言った。
「まあいい、それよりお前は今年で10歳になるな?」
「はい。それがどうしましたか?」
「貴族の子供は10歳になると王都にある教会でステータスの確認をしにいくという決まりがある。突然だが明日俺と二人で王都に行くことになった」
「わかりました。ステータスはどうやって確認するんですか?」
表面上は平然と会話しているクラウスだが内心では少し焦っていた。
(ステータスって……俺のやつ誰かに知られたらまずいよな……)
クラウスのステータスは明らかに異常だ。
魔力初期値、祝福2つのうち1つは異世界の神のもの、さらに多すぎるスキルに固有職。
誰かに見せたら確実に厄介なことになるものだ。
それゆえクラウスはステータスの確認方法を確認する必要があった。
いままで使う機会がなかった【隠蔽】スキルを使ってステータスを偽装できるかどうか知りたかったからだ。
「王都の教会には【看破】のスキルが付与されている希少な水晶型の魔道具がある。それに手をかざすと水晶にステータスが浮かぶようになっている」
(良しっ!!【看破】ならぎりぎり隠せるな)
【隠蔽】で隠せることを確認できたクラウスは安堵しながらも悟らせないように平然と質問を続けた。
「なるほど、わかりました。ステータスの確認は僕1人でやるんですか?」
「いや、ステータスの確認はお前と同じで今年10歳になった貴族の子供全員でやることになる」
「わかりました。それでは何か用意は必要ですか?」
「ステータスの確認には特に必要なものはないが、王都までは馬車で移動することになる。移動中に盗賊に襲われるかも知れない」
「大丈夫なのですか?」
クラウスはヨハンの強さを知っているため全く心配していないが建前上聞いてみた。
「はっはっは!!この辺に俺にかなう盗賊などいない。だが万が一ということもある、だからお前も剣を用意していつでも戦える準備をしておけ」
「わかりました」
「王都についたら俺の父のところに顔を出すことになる。つまりエルファス家の本家に顔を出すことになる。できるだけ静かにしていろよ」
ヨハンは元公爵家だが個人的に爵位をもらい王都から離れ領地の治めている、いわゆる分家のようなものだ。
「静かにしていないと何か問題があるのですか?」
「俺の父、ハインツはよく言って計算高い、悪く言って狡猾なハゲ狸だ。しかもあのハゲ狸は己のためになら何でもするクズだ」
よっぽど嫌いなのか最初は父と呼んでいたのにもかかわらず最終的にハゲ狸扱いをし始めたヨハン。
(ハゲ狸って……どんだけ嫌いなんだよ)
「しかもあのハゲ狸は権力をこよなく愛している。権力を失うことになる原因の種があるのなら必ずつぶしにかかってくる」
「つまり?……まさか!?」
「そうだ、貴族でありながら魔力値が初期値のお前のことが知られたら確実に面倒なことになるだろう。かといって隠そうにもアイツには息子が生まれていることを言ってしまっている」
「どうにかならないのですか?」
「できるだけのことはする。だが相手は公爵家だ、さすがに俺やアリサがどれだけ強かろうと公爵家を相手するのは無理だ。アイツはそれだけの影響力を国にもっている」
悔しげな顔をして語るヨハン。
クラウスはなにか打開策はないのかと考えるがクラウスのステータスではできることがない。
戦うことができないわけではないが少し強い剣士が出てきたらそこでアウトだ。
圧倒的なレベルと魔力差を加護とスキルだけで埋めることができるのは1.2段階上の相手までだ。
「心配するな、俺も最善を尽くす。しかし確実にアイツは何か手をうってくるだろう。まだアイツには魔力のことは知られてない、だがステータスの確認の後からは常に警戒しておけ」
「わかりました」
「話は終わりだ、部屋に戻っていいぞ」
「それでは失礼します」
そう言ってクラウスは書斎を出ていった。
(はあ~マジでどうしよう。絶対なんかしてくるみたいだし、相手のほうが権力大きいみたいだし……何とかなるように祈っておくか……)
「はあ~」
そんなことを考えながら疲れ切ったようにため息をはいた。
次の日クラウスはヨハンとともに王都に発った。
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