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異世界で道化師は笑う  作者: √3
第一章 狂気
10/20

不安と新しい家族

遅くなってすいません。


*アリサのスキルに【詠唱破棄】と【詠唱省略】を追加しました。

 ヨハンのスキルに【火魔法】を追加しました。

 次の日、早速修行についての説明をされた。


「今日から修業を始める。基本的には午前中は剣術、午後は魔法、寝る前に座学をやることにする」


「わかりました。今から始めるのですか?」


「ああ、ここに剣がある。まだ未熟なものに真剣は渡せない、最初は木剣でやってもらう」


 そう言ってヨハンは木剣を渡してきた。

 クラウスがそれを興味津々といった様子で眺めていると、ヨハンも木剣を持ってきた。


「まずは素振り100回だ。今から手本を見せる」


 そう言ってヨハンが剣を構え、息を吸ったと思うと一気に振り下ろした。

 ヨハンの素振りはだれが見てもきれいだとわかるほど洗練されており、まだなにもわからないクラウスですら見惚れてしまうほどだった。


「お前には俺を超えるほどの剣の腕を持ってもらいたい。とりあえずはこれぐらい振れるようになれ」


「わかりました。絶対父さんを超えて見せます」


 クラウスはこういっているが内心では苦笑いしていた。

 なんせヨハンは〖剣鬼〗なんて称号がついてるくらいだ。

 そんなヨハンを超えるというのは途方もなく遠い目標といえる。

 

 たまにヨハンに指示されながらもクラウスは素振りを終えることができた。

 普通なら三歳で100回も素振りできるわけがないのだが、スキルと加護の効果がそれを可能にしているのだ。


「はあはあ……」


 終わったばかりで息が切れてるところにヨハンがきた。


「ふむ、最初から100回振れるのか。だがまだ甘いな、体力をつけるために明日からは素振り前に庭を3周しておけ」


「はあはあ……わかりました。」


 ヨハンは軽く言っているが、ここは伯爵家だ。

 そんなくらいの高い貴族の家が広くないわけがない。

 庭1周がだいたい3km弱ある、つまり3周で9kmにもなる。

 おおよそ三歳に走らせる距離ではない。



 クラウスは明日からの修行に多少憂鬱になりながらも次やることについて尋ねた。


「父さん、次は何をやればいいんですか?」


「そうだな、とりあえず今日はまだ初日だからな。お前がどれくらいできるかもわかったから、終わりにするとしよう」


「わかりました」


「明日もこの時間にやる。次はアリサのところでいってこい」


「わかりました。ありがとうございました」


 そう言うとヨハンは家に戻っていった。


「ふう、なかなかつかれるな」


 クラウスはその場に座り込み足をだらーんとさせて言った。


「さてさて、次は魔法か……」


 明日からの修行に憂鬱になってた気分がさらに憂鬱になっていく。


「とりあえず母さんのところに行くか。もしかしたら原因がわかるかもしれないからな」


 そんな淡い期待を抱きながらクラウスはアリサのところに向かった。




 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 クラウスがアリサのところにつくとアリサは読んでいた本を置いてこちらを見た。


「あらクラウス、早かったのね。もう終わったの?」


「はい、父さんが今日は様子見だといってたので、本格的な修行は明日からだそうです」


「なら今日は魔法のほうも説明とちょっとした確認くらいで終わるのことにするわ。とりあえずそこに座ってちょうだい」


 クラウスが近くにあった椅子に座るとアリサは説明を始めた。


 魔法の説明は大体リインが言っていたのと同じだった。

 初耳だったのは精霊魔法と種族魔法についてだ。

 アリサ曰く精霊魔法というものは精霊と呼ばれる者たちと契約することによって扱うことができる魔法らしい。

 契約した精霊の属性の魔法しか使うことができないが通常の魔法よりも威力・効果が高い。

 種族魔法というのは特定の種族のみが持ってる魔法のことで、例えば、美形が多く、長命な種族で知られるエルフは木魔法と呼ばれる木を操る魔法を使うことができる。


 一通り説明し終わったアリサは立ち上がってたんすから水晶のような丸いガラス球を持ってきた。


「それじゃあ、まず初めに魔力量と属性の適性を調べるからその水晶に手をかざしてみて」


「えっ?」


 なぜステータスを確認しないのか疑問に思ったクラウスは声をお出してしまった。


「母さん、ステータスって確認できないの?」


「よくステータスなんて知ってたわね。」


(やばい、よく考えたら教えてもないことを知ってたらおかしいよな)


「前読んだ本に載ってました」


 クラウスは焦りながらも顔に出さないように答えた。

【仮面】スキル様様である。

 まだ使い慣れてないのでほとんど感情が制御されないが意識して使えばこれくらいはできるようになっていた。


「なるほどね、ステータスっていうのは特別な方法でしか確認できないのよ。例えば、身分証明を作るときに作るカードとかあとは学校とかで配布される学生証が一般的ね」


(あれ?俺確認できるぞ。どうしてだ?)


 クラウスは自分が確認できることに疑問を抱いた。

 確認できた理由は簡単だ、スキル欄にある【神眼】が自動的に発動し自らを鑑定してたのだ。

 そして、転生前に確認できたのはリインが特別に出来るようにしてたかあらだ。


 すぐのそのことに気付いたクラウスはなるほどと思いながらもこのあとの検査に不安を抱いていた。

 それもそのはず、今のクラウスのステータスはこうだ。


 名前 クラウス=エルファス


 レベル 1


 種族 人族


 職業 【月夜の道化師(ルナティック・クラウン)


 魔力 100


 称号 〖伯爵家〗〖転生者〗〖読書家〗〖狂気願望〗〖物語を求めるもの〗〖笑いを渇望するもの〗〖リインの話し相手〗


 加護 輪廻の神 カルナシオンの祝福(異世界)

 輪廻の神 リインの祝福


 固有スキル


狂気(ルナティック)】【神眼】【神託(オラクル)


 職業スキル


仮面(ペルソナ)


 発展スキル


【隠蔽】【千里眼】【地獄耳】【気配同化】【魔力支配】


 基本スキル


【並列思考】【高速思考】【観察】【算術】【魔力操作】

【身体強化】【危険察知】【速読】【念話】【契約】


 つまり適性属性なし、魔力初期値なのである。


(やばいやばい、だいじょうぶだよね?)


 そんなクラウスをよそに水晶を差し出してくるアリサ。

 渋々といった感じでクラウスは水晶に手をかざした。

 その瞬間水晶は弱弱しく白い光を放った。


「……無属性、魔力初期値ね」

 アリサは言いずらそうに手元にある記録用紙を見ながらつぶやいた。

 そんなアリサの口調にクラウスの不安はさらに高まっていく。


「大丈夫、大丈夫よクラウス。魔力だってすぐに上がるし、無属性だって強くなれるわ」


 無属性魔法、属性のない魔法のことである。

 基本的に適性というものが存在せず、誰にも扱うことができる魔法である。

 例えば魔力を体に覆わせて強化する“ブースト”などがそうである。


 アリサの必死な姿に苦笑いしかできないクラウス。


(大丈夫かな俺……)






 その日の夜アリサから大切な話があると家族全員とメリッサが居間に呼び出された。


「どうしたんだみんなを呼び出すなんて」


 ヨハンが不思議そうな顔でアリサに尋ねた。


「私、生理が来てないのよ」


「な!?ということはつまり……」


「ええ、妊娠したわ」


 その瞬間ヨハンはアリサに抱き付いた。

 クラウスは突然のことに頭が追い付いてない。


「おめでとうございます。アリサ様、ヨハン様」


 メリッサが抱き合っている二人を祝福した。


「次は女の子かな?男の子かな?」


「早速名前を考えなきゃな。クラウス、お前はお兄さんになるんだぞ」


「は、はい。がんばります」


 実感がわかないクラウスはヨハンからの言葉によくわからない返しをしてしまった。


(頑張るってなんだよ!てか兄弟か……むこうじゃ一人っ子だったからなんか楽しみだな)


 昼間の不安が消えてしまったように新しい家族への期待が生まれていった。





 それから一年後、子供は無事に生まれた。

 生まれたのは女の子で、名前はエルミナと名付けられた。

 容姿はアリサやクラウス同じ透き通るような銀髪で、燃えるような赤い目である。


「ほら、クラウス。あなたの妹よ。今日からあなたはお兄ちゃんなんだから頑張りなさいよ」


 そう言って、アリサはクラウスにエルミナを渡してきた。

 クラウスに抱きかかえられたエルミナは心なしか嬉しそうだ。


「あなたがお兄ちゃんだってわかってるのかもね」


「この子にふさわしい兄になって見せます」


 エルミナを眺めながらクラウスは微笑んだ。

 そして興味本位でエルミナのステータスを覗いてしまった。


 名前  エルミナ=エルファス


 レベル 1


 種族 人族


 職業 【魔法使い】


 魔力 100


 称号 〖伯爵家〗〖エレメントマスター〗

 

 加護 愛の神 ラビスの祝福

 魔法の神 ヘリオスの祝福



 固有スキル




 職業スキル





 発展スキル




 基本スキル


【火魔法】【水魔法】【風魔法】【土魔法】【光魔法】


 クラウスは覗くべきではなかった。

 エルミナのステータスは恵まれていた。

 基本の四属性+光属性持ち、さらに加護の上の祝福を二つも授かっている。

 いわゆる天才というやつだ。

 それに対して1年たったクラウスのステータスはこれだ。


 名前 クラウス=エルファス


 レベル 1


 種族 人族


 職業 【月夜の道化師(ルナティック・クラウン)


 魔力 100


 称号 〖伯爵家〗〖転生者〗〖読書家〗〖狂気願望〗〖物語を求めるもの〗〖笑いを渇望するもの〗〖リインの話し相手〗


 加護 輪廻の神 カルナシオンの祝福(異世界)

 輪廻の神 リインの祝福


 固有スキル


狂気(ルナティック)】【神眼】【神託(オラクル)


 職業スキル


仮面(ペルソナ)


 発展スキル


【隠蔽】【千里眼】【地獄耳】【気配同化】【魔力支配】


 基本スキル


【速読】【並列思考】【高速思考】【観察】【算術】【魔力操作】

【身体強化】【危険察知】【速読】【念話】【契約】【剣術】



 そう、全く変わってないのだ。

 しいて言うなら【剣術】が増えたくらいだ

 結局レベルも魔力もあがらず、原因もわからないままだ。


(これが才能ってやつなのかな……)


 クラウスは自分のエルミナへの気持ちがわからなくなっていた。

 親愛なのか、それとも嫉妬なのかそれすら理解できない。


「かわいいな」


 クラウスは完璧な(・・・)笑顔でつぶやいた。


 この時からだろう、クラウスの中の歯車が狂い始めたのは。

 この時からだろう、クラウスの心に少しずつ少しずつ歪みが生じてきたのは。







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