プロローグ
初めまして√3と申します。行き当たりばったりの小説ですがよろしくお願いします。
唐突だが、霧崎颯太は真っ白い空間にいる。
といっても体はなく、意識と視界、そしてなぜか体がないのに声が出せるという不思議状態だ。
「どうしてこうなったんだっけなぁ……」
颯太は自分がこんな状況に置かれることになった原因について思い返していた。
それは一時間ほど前にまでさかのぼる。
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「やっと終わったぁーーーー」
先生の号令のあと颯太は気が抜けたように言った。
(はぁ....ほんと退屈だなぁ。毎日同じことの繰り返しじゃあストレス溜まるよ……)
そんなことを思いながら窓の外を見ていると、
「そうたーーー!!」
大きな声で颯太を呼ぶ声が聞こえた。
颯太が声の主のほうを見ると、そこには幼馴染の天原雪がいた。
「一緒に帰ろ!!」
雪は満面の笑顔で颯太にそう言ってきた。
(はあ、視線が痛い。マジでストレス溜まる……)
なぜ颯太が雪と話しているだけで視線が集まるのかというと、それは雪のスペックによるものである。
彼女、天原雪は学校で一位二位を争うほどの美少女であり、スタイルも出るとこは出ていて、引っ込むところは引っ込んでいる。
さらにその性格は誰にでも優しく常に明るいためその容姿とが相俟って、彼女に思いを寄せている男子生徒も多く、非公式ながらファンクラブも存在しているほどだ。
それに対して颯太の容姿は悪くない、むしろいい方だ。
しかし、その恵まれた容姿もだらしなく伸びきった前髪によって目元が隠れ、雰囲気も暗く、いつも本ばっかり読んで周りと関わろうとしないため、宝の持ち腐れとなっている。
さらに、彼は重度のオタクである。とくにラノベが好きで学校でも平気で読んでいる。
それゆえ彼の周りからの評価はいわゆるぼっちオタクであり、そんな彼が男子の憧れである雪に親しげに話しかけられているのだ、”なんでお前なんかが”という嫉妬の視線を向けられるのも当然である。
周りからの視線にうんざりしながらも颯太は返事をした。
「いつも言ってるだろ、俺なんかにかまわなくてもいいって。正義君たちがお前のほうを見て待ってるぞ」
と言って颯太は扉のほうに視線を向けた。
正義君とは、クラス委員長の日向正義のことであり、イケメンで性格がよく運動神経抜群、頭脳明晰な、どこの主人公だよ!!!と突っ込みを入れたくなるような完璧少年である。
さらに正義感が異常に強く、そんな彼のことを学校中の生徒が親しみを込めて正義君と呼んでいる。
まあ、颯太は正義君に親しみなんかこめているわけもなく、内心では爆笑したりしているのだが……
扉の近くには、そんな正義君と取り巻き(といってもみんな学校では知らぬ者がいないほど何かしらで有名な人達)が雪のほうを見て待っていた。
「もー、なんでそんなこと言うの?今日は颯太と帰りたいの!!」
と、雪が颯太の机に身を乗り出して言うもんだから、男子からの嫉妬の視線がさらに強くなったのはしょうがないことだろう。
(ここで断ったら断ったで面倒臭いだろうなあ。)
「はあ、わかったから机から離れろ。すぐ帰る用意するから少し待っててくれ」
渋々と颯太は雪と一緒に帰ることにした。
空が茜色に染まるなか、颯太と雪は家路についていた。
「颯太と一緒に帰るなんて久しぶりだね」
雪は颯太の前でて後ろ向きで歩きながら話しかけてきた。
「そうだな。俺はいつも一人で帰ってるし、雪は正義君たちと帰ってるもんな」
そう、ぼっちである颯太は帰る人なんているはずもなくいつもひとりで帰っており、人気者の雪は同じく人気者の正義君たちと帰っているため、ふたりで帰るのは本当に久しぶりなのだ。
そんなこんなで、二人は他愛もない話をしながら帰っていた。
「じゃあ、私はこっちだから。また明日、颯太」
「じゃあな。また明日」
互いに別れを告げ、雪が青信号になった交差点を渡り始めるのを見てから颯太も帰ろうとすると、ものすごいスピードで雪に向かって突っ込んでくるトラックが目に入った。
颯太は急いで雪を見ると、彼女は颯太との帰り道の余韻が抜けていないのかトラックに全く気付いていない。
(くそっ、間に合え!!!)
颯太の体は自然と動いていた。
「ゆきーーーーー!!」
そこでやっと雪もトラックに気付いたのか、顔が真っ青になって動けないでいる。
そんな雪を颯太はギリギリのところで歩道に突き飛ばした。
ドンッ
薄れゆく意識の中、颯太が最後に見たのは、自分の周りに広がる赤い水たまりと顔をくしゃくしゃにして泣きながら自分の名前を呼ぶ雪の姿だった
次に目が覚めた時、颯太はこの真っ白い空間にいた。
ここで話は冒頭に戻る。




