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友人関係の罠

作者: 本丸
掲載日:2026/04/22

 僕には幼馴染がいた。

 彼はいわゆる「陰キャ」で、僕はよく彼に話題を振ったりして、他の友達と仲良くなれるようにしていた。


 彼がクラスの中で孤立しないように――そう思って。


 でも、僕は一番大事なことを考えていなかった。

 本人がどう感じているか、ということを。


 ある日、彼に言われた。


「僕のためにやってくれたのはいいけど、余計なお世話だよ。」


 そう言い残して、彼は帰ってしまった。


 その日から、何かが少しずつ壊れていった。


 クラスの中で、彼は次第に孤立していった。

 最初は小さな冗談のようなものだった。けれど、それは次第にエスカレートしていき、気づけば本人の目の前で悪口が飛び交うようになっていた。


 それが、毎日続いた。


 彼は何も言わなかった。ただ、少しずつ表情が消えていった。


 僕は止めようとした。

 でも、僕の言葉は軽く流されてしまった。


 まるで、焼け石に水みたいに。


 ――そして、ある日。


 彼は学校に来なかった。


 嫌な予感がした。理由なんて説明できない。ただ、胸の奥がざわついて、落ち着かなかった。


 気づいたときには、僕は彼の家の前に立っていた。


 呼び鈴を押す手が、震える。


 ……何を言えばいいんだ。


 謝る?

 慰める?

 それとも、何も言わないほうがいいのか。


 答えなんて出ないまま、僕はボタンを押した。


 しばらくして、扉がゆっくりと開いた。


 そこにいたのは――彼だった。


 顔色は悪くて、目の下にはくっきりとクマができている。

 でも、生きている。


 それだけで、胸が締めつけられた。


「……何しに来たの」


 彼は、感情のない声で言った。


 僕は、一瞬言葉を失った。


 それでも、絞り出すように言う。


「話したくて来た」


 沈黙が落ちる。


 逃げたくなった。

 でも、ここで逃げたら、きっともう取り返しがつかない。


「……俺さ」


 自分でも驚くくらい、声が震えていた。


「全部、間違ってたと思う」


 彼の視線が、わずかに動いた。


「お前のためだって思ってた。でも、それって結局、俺が勝手にやってただけで……お前の気持ち、全然考えてなかった」


 言葉を続けるたびに、自分の浅さがはっきりしていく。


「ごめん」


 短い一言だった。


 でも、それしか言えなかった。


 しばらく、沈黙が続いた。


 風の音だけが、やけに大きく聞こえる。


 やがて、彼がぽつりと呟いた。


「……今さらだよ」


 その言葉は、思ったよりも静かだった。


 怒りでも、泣き声でもない。

 ただ、疲れ切った声だった。


「でもさ」


 彼は少しだけ顔を上げた。


「来たのは、偉いと思うよ」


 ほんの少しだけ、表情が揺れる。


 それは笑顔にはほど遠いけど――

 完全に閉じたものでもなかった。


「……中、入る?」


 その一言で、胸の奥に少しだけ光が差した気がした。


 僕は、小さくうなずいた。

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― 新着の感想 ―
なんか本当に起こり得そうなことで、リアリティがありますね これから仲直りできるますかね……
ちょっと!?これ自分で作った!? そして、彼は自殺した。→ 僕は彼の家の前に着いた。              僕は結局、彼と直接話すことにした。              というか、いい解決方法が…
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