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竜のみさき

作者:文月いつか
最新エピソード掲載日:2026/04/20
『竜頭(りゅうとう)岬(みさき)には竜(りゅう)天神(てんじん)様という神様がいて、誰にでも一つだけ願いを叶えてくれる』

 菴(いおり)沢(ざわ)勇(ゆう)也(や)は六歳の頃に、瀕死となった女の子、城之浦(じょうのうら)夏(なつ)希(き)を救うために、竜天神様に願かけをした。しかし、直後に母親が他界し、心を閉ざすこととなる。覇気をなくした勇也は、竜頭岬でのことをすっかり忘れてしまうのだった。

 十一年後、高校生となった勇也には、六つ下の妹、美沙杞(みさき)がいた。美沙杞は生まれつき病弱で、ずっと入退院を繰り返す日々。だが、とうとう病院側からも匙を投げ、その命が尽きかけていた。
 美沙杞には心残りがあり、それは生まれた直後に他界した母親について。自分にだけ母親がいないことの引け目に感じ、さらには自分を出産したことの負荷で母親が死んだことを自責として、苦しんでいたのである。さらには、願わくば、そんな母親と一目会いたいとも。
 勇也は、せめて美沙杞をその苦しみから救ってあげたいと思うも、亡くなった母親についてはどうすることもできない……そんななか、交通事故に遭って魂の存在になった少年と出逢い、魂の浄化に協力する。さらには六歳の頃に願いをかけていた夏希との十一年振りの再会によって、ずっと忘れていた竜頭岬のことを思い出した。これで美沙紀の願いを叶えることができると歓喜するも……しかし、勇也は一度願いを叶えているため、竜天神に願うことはできなかった。
 現状をどうすることもできない勇也は、もうほとんど命が残されていない美沙杞から苦しみを消し去るべく、美沙杞を竜頭岬に連れ出すことを強行する。外出禁止である美沙杞を、夏祭でどこかいつもと雰囲気が違う病院から連れ出したのだった。
 今にも燃え尽きようとする美沙杞では、ろくに手を合わせることもできない。しかし、それでも存在そのものが思いを爆発させ、亡くなった母親との対面を叶えたのである。美沙杞は写真でしか知らない母親の胸に飛び込んでいき、そこで静かに安らかな夢を見ることとなる。その命を燃やし尽くし、願いを叶えていた。
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