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【暗殺者達の群像劇】F 不老不死の殺し方  作者: 愛良絵馬
第二章 ホラーストーリーは突然に。
9/62

願い

   *???*


 少女はなんて事のない地方都市の夜景を、空虚な目で見下ろしていた。

 この短い間に、人類は灯を手に入れて、それを自由自在に使いこなすようになった。

 暗闇を切り裂くようにして、細く長い光が、大きな音を立てて進んでいく。

 電車だ。


 この街で一番明るく見える場所にそれは止まった。

 少女の瞳には見えないが、大勢の人が一日の疲れを吐き出すようにホームに降りて、それぞれの帰路に着くのだろう。

 そして向かうのは、やはり、この街のどこかの灯の下だ。

 この灯のあちこちに、儚い命がある。


 少女はそれを思い、特に何の感慨もなく目を伏せた。

 どこか、汚いゴミを見るような瞳だった。

 人間はいつも、死を忘れたように生を生きる。それを思い出すと、寝られないから。

 だから、それを忘れて友を作り、恋をして、子を産む。

 自らの子孫を、自ら死の沼に突き落としているとも知らずに。呑気に。


 人は生まれた瞬間に死刑宣告をされている。


 そう言い残したのは、どこの誰だったか……。

 そこまで考えて、この思考の原因が、羨ましさからだと気づいて辞めた。

 死を忘れるように生きる事と、無限の生にうんざりすること。

 そのどちらがより孤独で醜悪かなんて、意味のない問いだ。少女はため息をつく。


「……何か、面白いことが起こるはず」


 祈るように呟いて、少女はただ、暇つぶしを求めた。


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