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【暗殺者達の群像劇】F 不老不死の殺し方  作者: 愛良絵馬
第三章 アンチテーゼの証明。
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スタバ

   *由奈由*


 おかしくなってしまった髪型が気になり続けたものの、無事に今日1日の授業が終わった。

 放課後、すかさずやってきたなつきちゃんが、一緒に帰ろうと声をかけてくれる。


「う、うん」


 立ち上がり、そろそろと教室を抜け出す。幸い無駄に絡んでくる気はないようで、山口さん達は教室の中心で談笑をしていた。


「とりあえず、美容院いく?」

「う、うん」

「よっし、じゃあ駅ビルだねっ!」

「き、昨日と同じところは……ちょっと……」


 なつきちゃんは不思議そうな表情で、「そう?」と首を傾げた。しかし、いくら腕が良かったからといって、昨日の今日で、こんな髪型で、髪を切りに行けるわけがない。


「じゃあ何処に行く?」

「……いつものとこかな」


 いつもの、おばあちゃんがやっている美容院。そこなら、おしゃれじゃないし、馴染みもある分、入りやすい。


「そっか、じゃあ案内してもらおう」

「え……? なつきちゃんも一緒に来るの」

「うん、行くよっ! 護衛だね!」

「護衛……?」


 なんだその、不穏な単語は、と問いただそうとしてハッとする。そうだ。たしか、朝のニュースで近所で女子高生が殺されたという報道があった。


「ご、護衛って、なつきちゃんも気をつけなきゃでしょ?」

「え」


 意外なことを言われた、という表情だった。


「だ、だって普通に、女子高生だし……。ほ、ほら、殺人事件、あったでしょ?」


 むしろ、私よりも身長が低くて小柄だし、可愛いし……胸も大きいので気をつけたほうが良いと思う。

 何が悲しくて、こんな散切り頭の分厚いメガネ女子を狙うんだ。


「普通に、女子高生……」


 水無月さんは、なぜか私が言った言葉を、噛み締めるようにつぶやく。

 そうしている彼女を見て、思い出した。昨日の、明らかに普通じゃない戦闘。

 確かに彼女は、心配する事などないのかもしれない。


「うん。由奈由ちゃん、とりあえず、髪の毛整え終わったら、時間もらえる?」

「良いけど……なにかな?」

「うー……ん、今は混乱させたくないし、秘密かな。あ、カフェ行こうよカフェ。行ってみたかったんだ」

「は、はあ……。行ってみたいカフェって、何処?」

「え? どこでも良いけど。行ったことないから……。あ! あの、なんとかフラペチーノ? みたいなの飲んでみたい!」


 そこから、どんなものを飲むか、どんなものを食べるか、ネットで調べつつ話していたら、あっという間にいつもの美容院についた。

 私の髪をみて、目を丸くするおばあちゃんにオーダーをして、席に着く。この店でここまで短くカットをしたことはないから不安だったが、出来上がった髪型は案の定、どこか昭和の匂いを感じさせる丸っとしたショートカットだった。


 というか……完全におかっぱ頭である。

 どうですか? と尋ねてくるおばあちゃんに、い、良い感じです……と曖昧に答える。お会計を払って、椅子に腰掛けていたなつきちゃんと共に外に出た。

 昨日髪を切った後は、自分が自分じゃないようで、どこか浮かれた気分だった。しかし、今日は憂鬱だ……。髪が伸びるまで、しばらくこのまま過ごさなければならない……んだよね。


 なつきちゃんは髪の毛のことには何も触れずに、カフェに向かうべく、駅ビルの方へと歩き出した。

 ……まあ、朝の散切り状態や、ゴムで止めただけの状態よりはましなので、それで納得するしかない。

 昨日も訪れた駅ビルの、地下一階へと向かう。ここにカフェがあることは知っていたが、私も来るのは初めてだった。夕方の時間帯は盛況らしく、私たちと同じく学生達の姿もあった。

 2人とも、季節限定のメロンフラペチーノを注文し、混雑をかき分けて席に着いた。


「いただきますっ」


 ストローを一口含んだなつきちゃんは、目を丸くする。


「お、美味しい……っ!」


 どうやらお気に召したようで、瞳を輝かせながらぐいぐいと飲んでいく。私も一口。少し甘すぎる気がしたが、しっかりメロンの味がして、美味しかった。


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