懐かしの「青木まりこ」さんに再会
皆さんは「青木まりこ」現象をご存じだろうか?
「青木まりこ」現象とは、
① 本屋に行くと
② 突然
③ 強い便意(必ず「大」)を催す。
とされており、1985年の「本の雑誌」に青木まりこという若い女性が自らの体験として投稿したものを、当時の編集長の椎名誠が面白がって掲載したことがきっかけ。
その後「実は自分も」という投稿が殺到したので、同誌では特集記事「いま書店界を震撼させる現象」が組まれ、「青木まりこ現象」の名前も浸透した。
その後も週刊文春やNHKなどでもこの現象が取り上げられたとのこと。
ちなみにWikipediaでは現在でも膨大な量の記事が掲載されており、関心と“ウン”ちくの深さがうかがえる。
また、日本人だけでなくアメリカ人にも見られる現象で、
英語でも「 Mariko Aoki phenomenon」とド直訳されているそうだ。
原因については、本のインクに含まれている化学物質のせいだとか諸説あったようだが、いまだに真相は不明となっている。
実は私も学生時代に3年間ぐらい同様の体験をした。(本の雑誌に記事が掲載される約10年前)
当時住んでいた阿佐ヶ谷の駅からアパートまでの道の途中に大きな本屋(「書原」と言う名前の書店)があり、しょっちゅう立ち寄っていた。
すると、ある時から3割ぐらいの確率でこの現象に遭遇するようになった。
もともと私は胃腸が丈夫でお腹をこわすこともなかったし、大学に入ってからはキャンプ生活で賞味期限切れのあやしい物を食べても平気なため、末広「鉄腸」とも言われたぐらいで、最初はどうしたのかなと思っていた。
ただ、図書館やほかの本屋では何ともないし、「書原」を出ると症状は嘘のように消えた。
大学を卒業して引越したので「書原」に行く機会もなくなったため、この現象についてはすっかり忘れていた。
社会人になって、本の雑誌の記事を読んだ時には「ああ、自分だけじゃないんだ」と懐かしく思い、飲み会の席で会社の同僚にこの話をしたところ、ものすごく盛り上がった。
中でも最高に笑ったのが、都心の大きな書店で同僚の一人が「青木まりこ」に取り憑かれてトイレに入っていたときのこと。そこに誰かがダッシュで駆け込んできた。
ベルトをガチャガチャと外しながら、ドアノブに手をかけるも全て使用中。
次の瞬間、「んどら~!!」という意味不明の雄たけびとともに悲劇的な轟音が響き渡ったそうだ。
最近、駅前の書店で本を物色していたら、40年以上ぶりに「青木まりこ」さんに再会した。
やはり本屋を出ると何ともなくなったがこの先どうなるのか。
ある意味では体が若返ったということも言えなくもない気がする。
何か怖いような少し楽しみなような妙な気分である。
ところで、「青木まりこ」現象には、もう一つ特徴がある。
それは「うつる」のだ。
人にもよるらしいが、話に聞いたり、記事を読むと「青木まりこ」さんが憑依してくるそうである。
この日記をお読みになったあなた。
代官山のおしゃれな蔦屋書店で過ごす知的で優雅なひととき。
突如としてあなたに青木まりこが降臨する!
手に取った本を棚に戻しトイレに急行するも、
ああ、無情。トイレは全て使用中。
「んどら~!!」
代官山に、うつろに響くあなたの怒号。
お気を付けください。