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終末世界の乙女達  作者: 温泉たまご
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旅立ち

誰かがいる。私の知る誰か。誰が分かっているのに顔が見えず私は困った顔になる。彼女はこっちに腕を伸ばすと頬っぺたをつつき

そこで私は目を覚ました。

誰も立ち寄らなくなり筒抜けになった建物の下で目覚める。目を擦り少しだけついていた水分と目やにをどかす。

硬い何かを背中にかんじバイクにもたれながら寝たことを思い出す。三輪の助手席つきなのだが一緒に乗る人はおらず寂しいとは言わないがもの寂しいかんじはする。

少々の干した食べ物とヘルメット、黄色い御守りだけが入ったスペースから食べ物を取り出し朝食をとる。

ここはたぶん日本。チュウチュウと干し肉を吸いながら少し昔を思い出す。

誰も彼もが町から去り、文明に触れようとしない。まあ文明というよりは、科学に関係するものだが。

人々は今では各地に点々と暮らし、生きることだけで精一杯なのだ。文明によるゆとりある暮らしというものは消えた。その代わり得たというか変わったものもある。

それが人である。

人は今まで、食べなければ死ぬし、酸素を吸わなければ死ぬ、要するに生きるのに必要なものが多すぎた。

人は死ななくなった。外傷でしか死ねなくなった。腕がとれても、足がとれても、胴と頭が別れるか脳が破壊されない限り死ななくなった。

だから今やっている食事は娯楽であり、生命維持には必要ないものだ。

十分に肉を味わえたためムクリと立ち上がろうとして気づく、何かの気配、飢えた獣の視線。

ポケットから折り畳みのナイフを取り出し、臨戦態勢をとる。

野良犬だ。人の手を離れ適当に放置された獣。突然飼い主を失い狩りの仕方も知らぬまま、野に放たれた可哀想な獣。

跳びかかてきた2匹の犬の首をはねる。長らくしてきたこの生活で、善くも悪くも生物を殺すことに慣れていきた。穴を掘り死体を埋めるころには、日が昇り暖かい日が照らしていた。

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