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プロローグ

この作品はスローライフ物です。

 深夜12時頃、満月の光に身をさらさない様に岩肌や木々の陰に隠れながら街へと着いた。


「はぁはぁはぁ、やった! これでやっと自由になれる!!」


 俺は最強の姉達から逃れ禁止されているが憧れの冒険者になる為に今は冒険者ギルドの扉の前に立っている。


ー数時間前ー


「何度言ったら分かるの! 冒険者なんて危険な事させられるわけないでしょ!!」


 今俺を怒鳴っている紅い髪で蒼い瞳をした女性は剣士として生きる伝説と言われているローサ・ハーベスト、その剣撃は鋼をも切り裂くと噂されている。


「で、でもさ。」


「ローサの言う通りよ! レイ貴方を鍛えてるのは、もしもの時に私達が助けてあげられない場合に一人で解決出来る様にしてあげてるのよ!」


 この蒼く背中まで伸びた髪に紅い瞳をしているのは世界の全ての魔法が使え王宮からもスカウトされる程の実力を身に着けているバネッサ・ハーベスト、何故か王宮からのスカウトを断り続けている。


「まあまあ、そんなに怒らなくても良いんじゃない? レイだって反省してるわけだし。」


 そして今俺に左腕を肩にかけて密着しているのは黄色い短髪で翠色の瞳をした格闘家のメリッサ・ハーベスト、普段の明るい性格とは裏腹に山の様に巨大な魔物相手を拳の一撃だけで倒してきた実績がある。


「アンタねぇ、レイから離れなさいよ!」


「そうね、どさくさに紛れて何抜け駆けしようとしてんのよ。」


「えー、そんな恐い顔しなくても良いじゃん。」


(抜け駆けって、あーそうか明日の訓練の事か。)


 最後に俺の名前はレイ・スランバーミスト、当然だけど姉さん達とは血が繋がっていない。


「今日はもう疲れたから寝るよ。」


「もう? 早くない?」


「そりゃあ疲れるだろうね、ローサが2時間も説教してたんだし。」


「なっ! ホントに2時間経ってる!!」


 俺は自分の部屋で横になり姉達が寝静まるのをじっと待ち続け家中の気配を探り誰が何処に居て起きているか寝ているかを判別し、ついにその時がきたのを察しベッドの下に隠しておいた靴を履き窓から飛び降り陰になる所へと走り気配を消す。


(うわっ、もう気付かれた!?)


「レイ! 何処に行くの、こんな夜更けに!!」


「ローサ! アンタが厳しくし過ぎるからよ!! レイに何かあったらどうするのよ!!」


「あーあ、完全にローサはレイに嫌われちゃったね〜。」


「煩いわよ! それより早く探し出さないと大変な事になるわ! 今頃寂しくて泣いてるはずよ!!」


(悪いけど俺は冒険者になるんだ! 今は探さないで!!)


 そして今に至る、俺は念願の冒険者になる為にギルドの扉を開くとそこには見覚えのある三人が腕組みをしながら俺を見下ろしていた。


「お・か・え・り、レ〜イ〜駄目じゃないの〜こんな時間に出歩いちゃ〜♡」


「ビンゴ♪ ね〜、だから言ったでしょ〜? 絶対ここに来るって〜♡」


「悪いなレイ、今回に限ってはアタシは養護出来ないからそのつもりで……。」


「う、うわああああああああああああああああ!!」


 俺は冒険者ギルドから出て姉達を振り切ろうとするが、唐突に走っていた足が動かなくなり、足元を見ると氷で固定されていた。


「レイ、私の魔法から逃れられるとでも思っていたのかしら?」


「バネッサ姉の魔法か! なら、“ファイア”!! さらに“ヒートボディ”!!」


「私の魔法を!?」


 氷った足元へとファイアを放ち、二度目の氷魔法を警戒し身体の温度を上昇させる魔法を使い再び走る。


「何やってるのよバネッサ! 気持ちは分かるけどアンタ手加減したでしょ!!」


「してないわよ!」

(まさか、厳しい訓練を得て既に私を超えてるとでもいうの!?)


「仕方ないなー、アタシが捕まえるからバネッサ姉は帰りなよ!」


「今度はメリッサ姉か!」

(ヒートボディでスピード上げてるのに、もう追いつかれそうだ!)


 魔法でスピードを上げているにも関わらずメリッサ姉はまるでチーターの様なスピードで俺に追いついてきた。


「にゃはははは! 鬼ごっこはお終い、はい捕まえた!! はにゃっ!?」


「メリッサ姉ごめん!!」


 俺はメリッサ姉に捕まった瞬時にその腕を掴み遠心力を利用し高く投げ飛ばす、だがメリッサ姉はアクロバティックな動きをし、月の光に照らされながら着地する。


「んーと、これヤバいかも。」

(レイ、アタシの事超えてるかもねーどしよ。)


「メリッサ姉、見逃してくれよ! 俺はどうしても冒険者になりたいんだよ!!」


 そう言うと後方にカランと俺の近くに木剣が落ちる音が聞こえ振り向くと今までに見た事が無い程に本気を感じる表情をしたローサが木剣を俺に向け睨みつけていた。


「ローサ姉?」


「拾いなさい、レイの本気がどれほどのものか私が試してあげる。」


「俺は、冒険者になるんだ! 相手が姉さん達だろうと絶対に負けない!!」


「良い覚悟ね、けど約束しなさい……私に負ければ大人しく冒険者は諦めなさい良いわね?」


「俺が勝てば冒険者になる事を許してくれるのか?」


「約束は守るわ……、勝てればね?」


 ローサは冷たい視線を向けながら不敵な笑みを俺に浮かべる。

 木剣を拾いローサ姉の攻撃範囲になるべく入らない様に注意するが、それを見越したのかローサ姉は俺の懐に瞬時に入り俺の脇腹へと当てるが、俺は同時にメリッサ姉の受け流しの技を使いダメージを無くす。


「今の技、メリッサのね。」


「今度は俺から行くぞ。」


「来なさい、最高の力で捻じ伏せてみせるわ!!」


「これが、姉さん達との厳しい訓練で身に着けた俺の最強技だ!」


「この構えは!!」


 ローサ姉の木剣は天高く打ち上げられ、そのまま地面へと刺さると衝撃に耐えきれなかったのか木屑へと変化し風に吹かれ消えていく。


「これで分かっただろ、俺は姉さん達が思ってるより弱くないんだ!」


「…………。」


「ローサ、認めるしかないわね。」


「そうだね、レイの覚悟見せてもらったしね。」


「分かったわよ、冒険者になる事を許してあげるわ! 約束だしね。」


 俺は姉さん達の許可を得て、冒険者ギルドへ登録をしたのだが……。


「これからが楽しみね。」


「そうね、久々の冒険だものね。」


「にゃはは、レイの事はお姉ちゃん達が守るから安心して冒険者生活を楽しむのだ!」


「これじゃあ普段と変わらないじゃないかー!!」


 冒険者になる許可を得たが姉さん達まで登録した事により、普段の生活と変わらない冒険者生活が始まり俺は夜中に叫んでしまう。


 これから訪れる魔物との戦闘や未知の迷宮へと脚を踏み入れるワクワク感に心躍らせながら一旦家に帰り眠りにつく。

ここまで読んでくださり有難う御座います。

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