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Rhein

作者: 安岡 憙弘

Rhein

                                      安岡 憙弘

 ライン川の旅をしたのは今回が初めてであった。ドイツ西部を流れるこの川はローレライの歌で有名な様に急流をもって知られていた。私は旅の中継地点であるボンのお土産屋さんでベートーヴェンゆかりの品を買った後、川を逆上さかのぼってストラスブルグの学生街で地元名産の地ビールを飲み、ソーセージを食べて今回の旅を振り返った。ドイツには古いお城がたくさん残っているが私は今回の旅の様に詩的情緒してきじょうちょを楽しむだけの旅が自分には向いていると思わずにいられなかった。何故ならライン川はお城以上に歴史が深く、中世からライン同盟など商工業がこのライン川をはさんでさかんであったからだった。

 私は中世の雰囲気を楽しむ為に今回わざと観光名所からはずれてこのライン川の旅を企画したのだった。私はローレライの歌のように舟人ふなびと達が難破したと言われるこのライン川の魅力は一体どこであろうかとそれを確かめることが旅の目的の一つであった。ジャガイモが豊富でたくさん獲れるドイツの素朴そぼくでたくましい土壌から湧き出た水がこれほどの急流となって国境を二分するほどに力強く流れる理由は私の考えではライン川の持つ確固かっことして全く動じない変化のなさにあるような気がした。いつ見てもこの河は全く自ら変わろうとはしない。何百年をた今でもラインの河はドイツ人の心の柱であり続けていた。私はドイツ人気質を知るためにはまずライン川を知ることであるということに気が付いた。ライン川はかたくなに動じないけれどもその急流をよく眺めていると泡の一粒一粒がドイツ産の地ビールのように場所ばしょで個性があることに気付きづかされるのだった。ライン川は一ヶ所として同じ所は無い。そう思った旅は今回で初めてであった。


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