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普通で常識じゃない入学式


体育館は至って普通であった。

テープで線をひかれ、バスケットゴールがあり、ステージがある。

ツバキやリン、ネネは平然とそこに居る。

そう見ると皆ただの人にしか見えない。

金髪が手招きしていて、皆でそこへと向かう。


「あ、リンちゃんとネネちゃんも来たんだ」


「当たり前だよリカおにーちゃん!」


「ふふ、入学式には参加しないといけませんから」


「ハルクはあっち」


ツバキが指を指す方を見れば数個しかパイプイスが置いていない場所があった。

どうやらそこが新入生と言われる人達の席だとハルクは理解した。

ツバキやリン、ネネ、リカは背中を押してくれるかの様に笑顔で『行ってらっしゃい』と手を振ってくれた。

慣れないことにハルクは戸惑いつつも軽く手を振り返した。


(どうせ生き返ってもアイツはいない。それならアイツに瓜二つのツバキがいる、此処にいた方が俺は楽なのかもしれない)


と内心思ってしまっていたのだ。

そうこうとしている間にステージに先生方だと思われる人達が並ぶ。

すると気味の悪いウサギの被り物を被った人が話し始めた。


「ミナサーン!これから入学式はじまるよォ、静かにしまショーネ!」


放送と同じ声が体育館に響き渡る。

すると体育館に居る全員がシーンと静まる。

チラリとリンを見やれば先程の怖い表情と同じ顔をしていた。

入学式が始まった。

だが、それはとても不思議で奇妙な入学式の始まりであった。


「ハーイ、学園長あいさーつ。勿論、パース。生徒会長あいさーつ、勿論!パース」


学園長は勿論、生徒会長挨拶や、祝辞、来賓…普通ではやる事を一つとやる事はなかった。

ハルクだけではなく、他の新入生も皆ポカーンとしている。


「じゃァ、これからーこの可愛らしいウサギ先生から!チームわけ発表をしまース!!」


てっきり自分はブルースターだと思っていたハルクは大変驚いた。


「じゃあまず!そこの君!!紫色のキミ!!!」


とウサギに指を刺された紫色の髪色で、ツインテールの縦ロールゴシックロリータの女の子。口から垣間見える八重歯が少し可愛らしい。


「ちょっと!!!アタシはキミって名前じゃないんですけど!!!」


キミ、と呼ばれたのが不満だったのか甲高い声で反論をし、一人語り始めた。


「アタシは神聖なるドラキュラの孫娘のシャルロットよ!!!シャルロット様とお呼びなさい!!!」


「あー、ハイハイ五月蝿いねー、そんな君はァ…レイヴンウィングだっ」


「………何よそれ!!!」


「はーい次ーそこの……黒髪の前髪長い子ー!!!」


次に呼ばれたのは前髪で目が隠れている黒髪の男の子。肩に学ランを羽織っており、重そうな本を抱えている。

見た目通りにか細い声で自己紹介を始める。


「僕は…サトル……」


「はァい、サトルくん???まぁ忘れるからいっか!君はカスミソウ!!」


「カスミソウ………無邪気…幸福…」


「おっとわけわからないー!!ゲヘゲヘ、まァそれは置いといて次ーそこのー赤髪クン!!!」


次はいよいよハルクの番だった。

ハルクは感情の篭っていない顔でウサギの顔を見つめている。


「君はーーー…ブルースター、かな!」


すると静かな体育館に急に声が響き渡る。


「しゃあーーーーーー!!!」


その声の正体はーーー他でもないリカであった。


「えー、ハイハイ、静かにしましょーね、ではこれにて入学式終わりィ!かいさーん、ほらほら新入生も戻って自分のチームに戻った戻った」


ウサギはシッシッと手をはらって指示をする。

ハルクはブルースターのメンバーに囲まれていた。

ハルクはどこか嬉しそうな表情で教室に戻っていった。


ーーーーー


「ガクエンチョー?」


「ウサギ先生、ちゃんと挨拶して下さい。学園長ですよ?」


校内には先生と一定の人達しか入れない"学園長室"というところがあった。

そこに来たのは先程の巫山戯た司会のウサギ先生とダンボールを被ったダンボール先生が居る。

学園長室は視界が悪くとてもじゃないが近くに居るお互いを認識するので精いっぱいであった。

そんな中、声が響く。


「ご苦労です、ウサギ先生、ダンボール先生。今年の新入生は?」


「はい、三人でした」


「ソツギョウは出来そうですか?」


「まだ断定出来ません」


「そうですか。下がってください」


「はい。行きますよウサギ先生」


「ハイハイ」




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