表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

和解と説明会



「まず私達の教室に案内するね。私達はブルースター」


「ブルースター…???」


「ブルースターはチーム名というか…クラスの名前みたいな感じかな。元は花の名前だけど」


ハルクはまだ話についていけず、話を黙って聞いているしか出来なかった。

すると教室に着いたらしく、中に入る。


「ツバキちゃん!!!…ゲ、お前も居んのかよ」


「…悪い」


「エ、俺謝られるとその~…ゴメン」


ハルクはそう言われると案外良い奴なのかもしれない、と心の中で思った。


「リカ、その子人違いだったみたいなの。もう記憶が曖昧になってると思う」


「あぁ…そっか。お前も大変だな!」


ハルクには記憶が曖昧、という点が妙に引っかかった。

彼はまだここに来ても、記憶がハッキリしていた為、疑問に思った。


「あぁ、そういえば自己紹介まだだよな!俺はモリカワ。皆からはリカって呼ばれてる」


「どうしてリカなんだ」


「モリカワから取ったんだよ。お前は?」


「ハルク」


「ヒュー、カッコイイ名前じゃん」


「ありがとう」


リカはなんだかんだ本当に根は良い奴だ。

そして思わず褒められてハルクは少し照れくさそうに目線を逸らした。

他愛のない会話をしていたらツバキがボードをコンコン、と叩く。


「ハルク!説明するよ!


ここ、Heaven's(ヘブンズ)学園は"ソツギョウ"を目指すの。まぁそれを目指すのは皆一緒なんだけどね。あ、そしてこの学園には学年という制度はないの、皆バラバラ。あるのはチーム名だけ。他のチームと争ってソツギョウを目指す。


以上!」


ある程度理解力のあるハルクはソツギョウを目指すということを理解したものの、まだまだ疑問点は多かった。


「今回こそ、私たちがソツギョウするんだから…っ!!!」


「今回こそ?」


「あー、えーっと…実は、毎回ブルースターは成績最下位なの」


「俺達は枯れたブルースターって呼ばれてる…枯れてなんかないのにな」


「ソツギョウは成績優秀な所しか出来ない事になってる。それが校則なの。成績はゲームとかバトルとか勉強とか…毎回違うんだけど。魔法とか使っていいんだよね~武器も使用ありだよ」


「魔法??武器の使用?」


「そう、例えば俺は火炎魔法が得意なんだけど…まぁそこらへんは授業とか俺らが教えるから心配すんなって」


「ブルースターはナイフを使ってる。この武器は盗られても直ぐに使いたいと思えば手元にある。バトルとか戦争に使えるよ」


「バトル?戦争??怪我とか…」


「怪我については安心しろ、ここでは怪我をしない」


「ハルク、見てて」


ツバキはそういうと、そこにあったナイフを持ち、


首に思い切り突き刺した。


ハルクは何も出来ないまま呆然とその異常な光景を見ることが出来ずに目を瞑る。

頬に生暖かい物が飛び散ってきた。その感触だってある。


「ハルク、目を開けて」


リカの声が聞こえた。

恐る恐るリカの指示通りに目を開ければ何事も無かったかの様な光景、それに微笑んだままの無傷なツバキが立っていた。


「ほらね、ツバキちゃん凄いでしょ?」


「私が凄いんじゃないから」


「そりゃそうだよね。俺たち死んでるも同然なんだから」


二人ともケラケラと笑っている。

部分的理解しかしていないまま話はハルクを置いてポンポンと進んでいった。


「まだ頭ついていってないよね、ごめんね?でも説明続けるよ?


さっきもいった通り、私達はもう死んでる状態に近いの。植物状態に近いっていった方がいいかな。ソツギョウはね、生きることを意味するの。タイガクは全ての記憶を忘れ、新しい人生を歩むこと…つまり、転生ってところかな


あとなんかあったっけ」


「えーっと、校則守らないと即効タイガクになる。転生したい奴らは校則破るけど…校則については入学式で貰う手帳に書かれてると思うからそれ見た方がわかりやすい」


「ざっとこんなところかな」


「わからないがわかった」


「オイオイ…まぁその内慣れてくるよ」


『じゃあ、俺入学式まで散歩してるわ』と言い残しふらりとどこかへ行ってしまった。

ツバキはハルクにペンと紙を渡す。

きっとメモしておいた方がいいよ、という彼女なりの優しさなのだろう。

『飲み物淹れるね』と飲み物の準備をツバキはし始めていた。


その時に俺は思った。


(やっぱり此処は普通の場所じゃない)


ツバキが指をパチン、と鳴らすと炎が現れ、お湯を沸かし始めている。

時間も経たない間に沸かし終わったらしく、飲み物を淹れている。


「はい、どうぞ」


「ありがとう。頂く」


「ツバキ特製ブレンドだよ」


ツバキは柔らかく笑う。

笑うツバキを見てハルクは記憶のまんまの彼女だ、と悲しく笑った。


沈黙の部屋に虚しく漂う紅茶の香りが鼻をくすぐる。


ーーすると勢いよく扉が開いた。


「つーかーれーたぁ」


「ふふ、お疲れ様ですわ、リン様」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ