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地獄 ─Test─

 無事(?)セレネが学校に通い始めてから四日後の日曜日。リーチの家にて───

「クロ、明日の前期期末試験大丈夫なの?」

「....ッ!」

「なんなら教えてあげよーかー?」

 明日は前期期末試験(じごく)だ。

 ヌシはもちろん、リーチは全く問題ないのだが、このままでは補習待ったなしのクロは、唐突に現実を突きつけられ失神しそうになる。

「...ぜひ教えやがれくださいお願いします。」

 深々と頭を下げたクロを見て、危機的状況におかれている自覚はあるんだなと理解したリーチは、

「ま、まだ一日あるし、が、頑張ろ。」

 と慌てて慰める。



「そういえばさー、セレネってテスト大丈夫なのー?」

 それはクロが勉強の休憩を取っていたとき。

 ヌシやクロからすればセレネはこっちの知識があまり無いように思われているが、リーチは知っている。

「全く問題ないはずだよ。むしろヌシといい勝負なんじゃないかな?」

 そう。セレネはなんと夏休みの間に小一~高一までの勉強を完全にマスターしたのだ。

「ちょっと前までは俺が教えてたけど、今じゃあ俺が教えられてるよ。」

「...そんなに、なのか...?」

「うん。セレネは教え方がうまくてね。要点や核となる部分をバッチリ押さえてるんだよ。」

 自慢気にセレネを誉めるリーチの言葉からは一切の嘘も感じられない。

 セレネを学力面で見下していた二人は、驚愕の色を隠せないでいた。

 そんな二人を知ってか知らずにか、リーチはこうも続ける。

「そうそう、最近は暇だから片っ端から言語を覚えていくとか言って、日英の他に中国語、ラテン語、イタリア語、フランス語、ギリシャ語、ロシア語...確か十八の言語を話せるとか言ってたっけ。」

「.........!」

「マジ、で...?」

「逆に嘘言ってどうすんの?意味なくない?」


「ただいま。」

 そんな雰囲気のなか、その本人が帰宅する。

「ひッ..! り、リー、何が、あった、の?」

 顔を驚愕に染めてセレネを見る二人に、セレネもまたひどく驚いていた。


■□■□■


 その翌日───試験当日───


 あの後、セレネが授業をしてくれたので、三人は万全の体制でテストに挑むことができそうだ。

「クロ、今回はできそうか?」

「システム、オールグリーン。どこからでもかかってこい!って気分だ。」



「では、テストを終了してください。後ろから解答用紙を回収します。」

 二日間、計七教科のテスト全てが終了した。

 担任は回収された解答用紙を確認し、それの端をトンと揃えると、

「お疲れ様ー! これで全部おしまいだよー。」

 その一言に教室から緊張感が消え、ため息や会話などの声が蘇る。


「今回かなり自信あるぜ。」

「そりゃ楽しみだな。えっと、クロって確か前期中間の五教科の合計点数一三四点だっけ?」

 さらっとクロの黒歴史を掘り返すが、

「ふ。残念だが今回は違うッ! 今回の予想は五教科合計四〇〇点以上だ。」

「凄い自信だね。」

「今こそ、ここの七不思議の一つにある、なぜ俺が入学できたのかというのを納得させてやる!」

 そのクロの発言にリーチは、それ知ってたんだ、と思いながら苦笑いした。


■□■□■


 反省会。

 テストが一段落つき、普段はテストの反省会と称して遊んでいる訳だが、

「今回はマジ助かった。ありがとうございます、セレネさん!」

 今回は普通に反省会をしている。

 テストの問題をもう一度四人で解き直し、ここはこうだのそれは違うだのああだこうだ言いながら自分たちで模範解答を作っていた。

「礼を言われる程ではない。結局はクロの力に過ぎない。ボクはただ手伝っただけ。」

 それはセレネの自作か、それともリーチたちが幻覚を見ているためか。

 セレネに後光が射していた。

ありがたやー、ありがたやーw


次回 日常 ─Selene─

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