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最終日 ─New...─

「助けてくれ、リーチ!」

 長かった夏休みも台風に流され終わりが近づく頃、リーチこと河原龍一の家に押し掛けて来たのは朱音海翔。通称クロ。

 小学校からの仲である龍一は、海翔から毎年恒例夏休みの終わりにあることで助けを求められる。


 そう。宿題である。


「今・年・も・やってなかったのか。まあ宿題は見せないけど、教えるくらいはしてやるよ。」

「サンキュー龍一。」

「その代わり、昼飯奢れよ。」


「惜しい。また符号間違えてる。」

「あッ。またやっちまった。ところで今日セレネっちは?」

「セレネなら買い物。明日から俺らと同じ高校行くことになってよ。その準備に。」

「まじで!?」

 その手続きで俺の夏休み半分消えたんだがと喉まででかかったが言わないでおく。


「ただいま。」

「お帰り。」

 日は沈んでいないが、時間的にはそれなりに遅い頃、セレネが帰宅した。

 その頃には既にクロの宿題も終わり、果てしない疲労と達成感でいっぱいだったが、セレネの天使のような声に完全回復したクロがさっきの話を確認する。

 セレネはそれを肯定すると、クロはとても喜んでいた。

「やっぱ可愛い娘がいるとモチベーション上がるよな!」


■□■□■


 今日は夏休みの最終日。

 の半分以上がクロのために消え、日も沈み、有意義な時間の過ごし方もクソもなく、龍一はいつものようにネトゲに打ち込んでいるわけだが、

「リー、ずっと気になってた。それ、なに?」

 と、セレネはパソコンを指差して言った。

 ちょうど暇だったしパソコン使えて損はないから教えてやるか、と龍一は思った。


「...」

 予想外の機械音痴っぷりに思わず絶句する龍一は、セレネの必死そうな表情を見て涙が流れそうになる。

「...また右クリックしたべ。左クリックな。」

「...難、しい。」

 ミシンを操るように使っていた人と同一人物であることを疑いたくなる光景に、龍一はただ事実を認めるしかなかった。


■□■□■


 約一ヶ月間の長い夏休みが明け、学校がはじまった。

「えーと、クラスメイトが一人増えたので紹介します。セレネ・オーテム・イシスさんです。」

 相変わらず元気な女性担任に紹介されたのは、セレネ。

 蒼みがかった銀の長髪、白い肌、蒼い眼のその美貌は、クラスの男子生徒全員を虜にしたらしい。

 目に♥はおろか、なかには涙さえ流した者もいた。

 そしてつくづくこう思ったであろう。

【生きててよかった】と。

「じゃあ、簡単に自己紹介して。」

 そう担任に振られ、セレネの口から出た言葉は、こうだった。

「自己紹介と言われても、難しい。だから、質問、してほしい。ボクは、それに答える。」

 その言葉に、龍一を除く全男子がビシッと手を挙げ、

「えっと、...徳島さん。」

「はいッ! 彼氏居ますか?」

 一番重要な質問をする。そして、

「...いません。」

 龍一を除く全男子が小さくガッツポーズした。

 その光景を見た龍一は、何でこう、男って単純なんだろう。人のこと言えないけど。と思ったであろう。



「はい!じゃあ今日は終わり! 号令お願いします。」

「起立 気をつけ 礼」

「「さようなら」」

 無事初日を終えた。ように思えた。


「リー、助けて、欲しい。」

 セレネが微妙に泣きながら龍一のもとへ駆けてきた。

 どうやら質問責めにあったようだ。

 編入生も大変だなーと軽ーく思いつつ、龍一は

「適当に答えて帰るぞ。パソコンをマスターしたいべ?」

次回 地獄 ─Test─


ヌシとセレネではどちらか成績が上か?!


...短いことに関して謝る気はありません。

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