十二月の手紙
お兄様へ
お久しぶりです、お兄様。メアリーは元気です。ええ、元気なんです。たとえ上司に婚約者がいても、私は何も変わりません。いつも通り元気です。
よくよく考えてみれば、国の重鎮であるあの方に婚約者がいない方がおかしいですよね。お相手は同じ種族のそれはそれは美しい方でした。あんなの敵いっこありません。……いえ、決して私は上司が好きだった訳ではありません。ええ。あれは単なる吊り橋効果。恐怖のドキドキを恋に勘違いしてしまっただけ。ですから、全然辛くなんてありません。辛くないったらないんです。
ただ、この胸に寂しさを感じるのは、独り身の寂しさを感じてしまっているから、です。前にある方が言っていました。その方の国ではカップル同士を見た時、リア充爆発しろと呟くのだそうです。リア充とはリアルが充実している方、つまり恋人のいる人のことをさすそうで、恋人と居るだけで爆発を願われるとはなんと恐ろしいな国なのだと思いましたが、今ならその気持ちがよくわかります。
リア充爆発しろ。リア充爆発しろ。リア充爆発しろ。何度だって言いましょう。リア充爆発しろ。リア充爆発しろ。リア充爆発しろ。
はあ、独り身のなんと辛いこと。お兄様、どなたか良い方を紹介してはくれませんか?贅沢はいいません。ただ、その方に恋人がいなければそれで良いのです。平民でも構いません。私も名ばかりの貴族ですからね。むしろそちらの方が上手くいくと思います。お兄様。どうか、どうか可愛い妹に殿方を紹介してくださいませ。
リア充の爆発を心から願うメアリーより