五月の手紙
お兄様へ
お手紙ありがとうございます。この殺伐とした日常でお兄様の手紙だけが希望です。光です。お前は可愛い妹だよ、の言葉に救われました。私はやっぱり可愛いのだと思い出せました。
辛かったら帰ってきても良いんだよ、の言葉にぐらぐらきてますがもう少し頑張ろうと思います。私にも意地があるのです。魔王城ではどのくらいで私が辞めるのかと賭けが行われているようです。そして一番人気が一ヶ月であったよう。失礼なお話です。意地でも続けようと思いました。そして一年以上続けるにひそかに賭けた私が一人勝ちする未来を手にいれてみせます。これで、私は大金持ちです。頑張ります。
……と自分を鼓舞していますが、毎日朝起きる度に行きたくないと弱音を吐いてしまいます。あの上司に会うのが苦痛です。
というか聞いてください。事件が起きたんです。しかも二つも!
あいつの種族は吸血鬼です。魔族の憧れの吸血鬼です。私も憧れてました。ですがもはや私にはあれが蚊にしか見えなくなってきました。そうあいつはでかい蚊です。だって、私の血をも飲もうとしたんです。
信じられますか?血ですよ?!しかも!飲もうとした時なんと言ったと思います?あなたで我慢します、ですよ?!何様ですか?!参謀様ですね!
もちろん丁重にお断りさせていただきましたよ。ええ、あのとんがった耳を噛んでやりました。
やばいかもと思いましたが、これは正当防衛が適応されると思うのです。だって血を飲もうとしてきたんですよ!つまり、飲むほどの血を出そうとしてきたんですよ!あーりーえーなーいー!!
噛まれほじくられるなんてなんて拷問ですか!快楽に変わったりするそうですけどそんの嘘です!痛いです!絶対に!!だからこれは正当防衛!!
上司も驚いた顔をしただけで怒りはしませんでしたし、うん、問題ないです。大丈夫です。
そしてもう一つの事件というのがですね、奴が血まみれでやって来たのです。上司は腐っても国の重鎮ですので、圧勝してきたようですが、こういうことは日常茶飯事のようです。やはり重鎮ですからね。敵は多いようです。それにあの性格です。作らなくてもよい敵を作っていそう。
上司は強いのでしょうけれど、強いからと油断しているところっと死んでしまうこともあるでしょう。私にとっても上司は憎い存在ではありますけれど、国にとってはいなくてはならない存在。とりあえず油断は禁物だ、と上司に訴えておきました。むかつきますが、私も上司の実力は認めておりますからね。ああ、なんという愛国心!上司は聞き流すか、嫌味を言ってくるかと思いましたが、案外静かに聞いてくださったので、良かったです。
……しかし、刺客。上司にとっては雑魚でも私にとっては強敵。赤子の手を捻るように殺されてしまうでしょう。
上司に大事にされているとは思いませんけれど、万が一敵が部下殺したら傷つくのでは?と頓珍漢な勘違いをしてきたら私はころっと死んでしまうに決まってます。
あと、残り十ヶ月……私はいろいろな意味でやってけるのでしょうか。
いろいろ不安なメアリーより




