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5話目

 

 今日の私は昨日までと違う。

 何故なら私の制服の襟にはキラリと光る赤いピンズがついているから。

 何をかくそうこのピンズ、ノーブレストの証としてノーブレストメンバーにのみ与えられる物なのだ。


 ピンズの全体的な色味は赤だすけすどアクセントとして本物のダイヤが1粒ついていて、細かく掘られた模様はとっても綺麗。

 しかも専属の職人が1から手造りした1点ものだ。


 これだけで1万は……いや、数万はするかも……。だめだ、これ以上は考えないようにしないと。

 庶民感覚になったNew京華は恐ろしくてつけてられません。




 ノーブレストメンバー発表を期に、私のクラスでは一気にグループ化が進んだ。

 勿論私にもお友達ができたし、グループもできた。



 そして私はノーブレストという事プラス、家柄からか、グループのリーダー的存在だ。

 そんなオプションつきまくりの私がリーダーのせいか私達のグループは1年生女子の中で1番大きいと思う。だからか自然と人数も多くなる。



 そんなグループのリーダーの私が動くとみんなもぞろぞろついてくる。あっちにこっちにぞろぞろぞろぞろ。

 なんだか雛鳥を連れてる親鳥の気分だなーなんて。


 試しに急な方向転換をしてみる。私にならって後ろの子が方向転換をしていく。しかも律儀に私がしたとこまで来て。

 ばっ、ばっ、といくらやっても私が率いている軍勢は列をみださない。ぴったりと真面目な顔をしてついてくる。



 な に こ れ 楽 し い 。












 なんて呑気なことを思ってる場合じゃなかった。

 あれ、目立たないって決めたのになーあれ、おかしい。

 これじゃあ思いっきり目立っちゃってんじゃん!

 黒王子はどう思うかな。

 あいつ女子引き連れすぎて邪魔なんだけど。

 とか思われてないかな?被害妄想酷すぎ?めっちゃ心配なんですけど!









 そんな心配は全然必要なかった。


 なんていうか、その、絶対あいつ私のこと知らない。


 そもそも黒王子こと狩夜真(かりやまこと)は女の子に全くの興味がなかったのだ。そういえば漫画でもそういう設定だった。


 狩夜真の前では男女の違いなんて粒餡派とこし餡派が言い争う事のようにどうでも良いことなのだ。

 彼は彼が気に入ったり、興味をそそられるような人じゃないと気にかけない。


漫画では俺様でクールで、触れたら切れてしまいそうな空気を纏っていたなー。

当時の私は読みながらも萌えの興奮が抑えられなくて、あっちにこっちに叫びながら転がってたっけ。


でも漫画と現実はやはり違うわけで、小学1年生にして人を従わせる雰囲気をもっている狩夜は私にとって恐怖でしかないし、狩夜財閥も怖いのだ。


狩夜財閥なんて誰もが知っている大企業だ。そもそも狩夜の血筋がもうそりゃすごい。噂ではどこかの国の王族の血が混じっていたり、華族の血を引いていたりと……凄いとしか言えない。


そんな狩夜財閥の現社長の長男であり次期跡取りなのが狩夜真という男なのだ。


出来れば私のことは知ってほしくないし認識しないままでいてほしい……


 レストルーム、(所謂私達初頭科ノーブレストにとってのお茶会場)で度々顔合わせはしているからもしかして覚えられているかなーとか思ったけど、私もバッチリ眼中にないようだ。


 この事実だけでとても安心。

 願わくばどうか大学卒業までお願いしますね。

遭遇することがないようにもお願いします。


 とは思うも、レストルームへ行けばあいつはいる。

 これから大学まで一緒なのだから、ずっと隠れるのは難しいだろう。レストルームへ行けば尚のこと。

 だからほんとは行きたくないけど、流石にずっと行かないのはまずい。小学生には小学生なりの難しい人間関係が出来上がっているのだ。


 それに行けばお菓子もお茶も食い放題飲み放題だし……

 レストルームだけなら私は大好きだ。


 それに上級生に聞くお話はどれも為になるし、面白い。




 そうして私は今日も、甘い誘惑とそれと同じだけ毒があるレストルームへと足を運ぶのだ。




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