3話目
ついに入学式が明日に迫った。
結局私はお嬢様言葉を練習した翌日からお母様の宣言通り、エステやらなにやらに連れ回された。
ちなみにお嬢様言葉は完璧にマスターした。もうごきげんようでもおほほでもなんでもござれだ。お嬢様らしい控えめな微笑みだって頑張って習得した私に死角なんてない。
まあ生まれつきつり目だからあんまり控えめとは言えないんだけどね。
それはともかく、私は明日からの学園生活に備えていくつか心に決めたことがある。それは
1、マンガの登場人物には極力、きょーくーりょーく、近づかないこと。
2、自ら目立つ様な行動は絶対にしないこと。
3、これはもう絶対にしない自信があるんだけど一応。同級生、それに限らず人をいじめないこと。
以上の3つだ。
1は極力がとっても大事。なんせ六花六連学園、通称六六学園ではあの制度がある筈だから絶対に黒王子と白王子と顔を合わせることになる……はず。だから極力なのだ。親しくならない、たまーに挨拶を交わす程度の仲がいい。目指せ知り合いくらいの軽い仲。
あとはもう普通に生活してたらきっと大丈夫。もともと前世の私はそんなに派手な性格してなかったし、目立つことなんてしないしいじめだってしない。そもそもいじめなんて人としてどうなんだろう?ってなっちゃうよね。そんな勇気もないし、平和が1番。だから平気、大丈夫。
あーでも、主人公が入学してきたら是非黒王子との恋模様をみてみたいかも。外野の更に外野くらいの位置で、私あなたたちにきょーみなんてないですよー、お2人でよろしくやっててくださーい、みたいな空気をだして観たい。
遠目でチラ見、これを基本にしてみよう。
おっといけない、少し現実逃避をしていたみたいだ。入学式前日ともなると精神が不安定でいけないね。さあさあ自己暗示自己暗示。私はできる子、私はできる子、私はできる子私は……
そう、没落する未来が待ってるかもなんて考えちゃダメだ。そんなことしたら手足が恐怖で震えるし目からしょっぱい水がでてしまう。
さあ明日からだ。私なら地味に生活できる、壁と一体になる勢いで周りにとけこめる、いける。
気合いの拳をにぎって決意を新たに、
目指せ、マイハッピーライフ!