1話目
あれ、私この人たち知ってるわ。
そう私が気づいたのは小学校の入学式の一週間前だった。きっかけはとってもシンプル。
入学式の為に制服を試着していた私をみたお母様が、「ふふふ、流石名門六花六連学園の制服ね、とても素敵だわ。」なんて耳にタコが出来るくらい連呼しているのをきいて、あれ、六花六連?りっかろくれん…りくろく……ってあの『君に一生恋をする』に出てくる学校じゃん!となったわけだ。
そういえばこの人たちマンガにでてたじゃーん!って最初は喜んだ。なんせ『君に一生恋をする』は私がどハマリしていた少女マンガだったから。
『君に一生恋をする』
このマンガは王道中の王道の少女マンガで、ド庶民の主人公が数々の困難苦難を学園の2大プリンスの1人通称黒王子と乗り越えていき、ハッピーエンドを迎えるというストーリーだ。
しかしこのマンガ、最後はとっても素敵なエンドだけどここにたどり着くまでがとにかくエグい。どのくらい酷いかというと全国のファンから悪役のお嬢様への怨みが書かれたお手紙が全国から編集部におくられ、その圧倒的な量にビルの1つの階が埋め尽くされた程だ。
かくいう私もそんな手紙を数十通は送っていた。
まあ京華は結婚式の日、誓いのキスの直前に黒王子にばっさりとフラレ、そこにやって来た主人公と黒王子がキスをし去っていくのを見届けてから、学園のもう一人のプリンスであり黒王子の親友通称白王子に悪虐非道な行いの数々をばらされ、父の不正の数々をバラされ、家ごとつぶされていくのだけど。
よく考えたらこのシーン結構つらいよねー。京華、哀れ。まあ当初は本当にスカッとしたんだけどね。
ちなみに黒王子の両親は選民意識がなかったため、虐められていた主人公に同情的でとてもあっさり2人は結婚した。
そんな全国から怨みをかった悪役お嬢様の名前は" 藍染京華"。
そして申し遅れました、私の名前は" 藍染京華"と申します。
あ、これつんだわ。
流石にショックが大きかったのか私はきっかり2日間、寝込んでしまった。