学校徘徊
俺は今、学校に来ている。
部活には入っていないので部活動関係という訳ではない。そんな俺が夏休みなのに学校に来ているのは何故か?
それは幽霊や妖怪が見えるようになった状態での学校の状況を下見したかったからだ。
昔はどうか知らないが、俺が通っている学校には七不思議みたいなものはない。
昔はあったという噂もない。
だけど結構古くからある学校なので、皆が知らないだけで凄い幽霊とか妖怪がいるかもしれない。
そんな幽霊や妖怪の事を知らないまま新学期を迎えたくなかった。
ビビって奇声を発して変人扱いされたくないと思ったからだ。
いないならそれで良いし、いたら何とかしないといけないだろう。
そう言う訳で俺は学校を徘徊することにしたのだ。
今日は運動部がチラホラいるだけで、室内でやるような部活はいないみたいだ。
職員室で忘れ物を取りに来たと断りを入れて校内を徘徊する許可を貰う。
校内は予想通りというか、何と言うか幽霊が結構いた。
普通の学生風の幽霊以外にも少数だが教師風の幽霊もいる。妖怪っぽいのはいないみたいだ。一先ずは安心と言ったところか。
トイレも勿論探索する。これは有名なトイレの花子さんと会いたいからだ。
俺はポンキッキー○でやっていた花子さんを見てから花子さんのファンだったりする。
霊能力を手に入れてから一度会いたかった幽霊ナンバー1、それが花子さんだ。
しかし男子トイレをいくら探索しても花子さんには出会えなかった。やはり女子トイレも探索するべきだろうか?
でもなぁ、女子トイレから出てくる所を見られたら大惨事なんだよなぁ。
夏休みだからって女子がいない訳じゃないからな。もし女子トイレを調べるなら気をつけなければいけない。
・・・
「まぁ、結局入るんですけどね。」
俺は誰もいない事を確認して女子トイレに入る。
気分はスパイだ。スネークだ。
見つかって変態扱いは嫌なので図書室から遠く(勉強しに来てる人達がいた。夏休みまで学校に来て勉強とか信じられん。)なおかつ外から一番遠い3階の隅にあるトイレを選択する。
図書室は一階だし、運動部のやつらも最上階である3階にまでトイレを使いには来ないだろう。念のため3階の教室に誰もいないか調べて回った。
「……さぁ、秘密の花園への第一歩だ。」
中に入るとそこはいたって普通のトイレだった。
男子トイレと違うところは小便器がない所位だろうか?拍子抜けもいいところだ。
俺は奥から3番目のトイレの扉を叩く
「花子さん、遊びましょ~」
返事は無い。それはそうだろう、だって花子さんは小学校の幽霊だ。
そしてここは高校だ。いる筈がない。
だがここまで来て諦めきれない。俺は変態扱いされるリスクを背負ってここにいるのだから。
「ねぇ、いるんでしょ?ネタは割れてるんだよ。出て来てくださいよ。」
ドンドンと扉を叩くが返事は無い。やはりいないのか。
それでも俺は諦めきれず扉を叩き続ける。
途中から扉を叩くのが楽しくなってきて止まらなくなってきたのは内緒だ。
「出て、出てこいYO!俺、待ってる。ずっと待ってる、YO!」
最後は気分が乗りすぎてラップ風に花子さんに呼びかけたが結局出てきてくれなかった。
1時間ほど叩きつづけたが出てきてくれなかったので帰る事にする。
今思えば他の女子トイレにいたのかもしれない。
気分がハイになりすぎてそこまで気が回らなかったみたいだ。
俺はその事に少し後悔したが、日も暮れてきたので学校を後にした。
・・・
――女子トイレ
「や、やっと帰った。」
女子トイレには黒髪でおかっぱの少女が膝を抱えてガタガタと震えていた。
歳は8歳くらいだろうか?今となってはあまり見なくなった着物姿の少女は顔を青くしながら先ほどまでトイレの扉を叩いていた男性の事を考える。
「なんで私がいるって分ったんだろう。怖いなぁ。」
彼女は世間でトイレの花子さんと呼ばれている幽霊だ。
花子は今までいた小学校が廃校になり、人恋しさから一番近くにあったこの高校に引っ越してきた。高校というところには不安はあったが、廃校になった小学校に一人でいるよりはマシだろうと思ったからだ。
小学校もあることにはあるのだけど、廃校になった学校がそこに合併したのを機会に校舎を新築したせいか、キレイすぎて落ち着かなかったのだ。
程良く汚いこの高校のトイレは花子にとって理想と言えた。
(それなのにあんな変な人がいるなんて。)
自分の理想郷を脅かす男の存在に花子は深い溜息をついた。




