空から美少女が落ちてきた
この世の中には色んな生き物がいる。
いつも歩いている道にだって昨日まで知らなかった虫とか鳥とかを見つける事ができるのだから、その数は数えきれないと俺は思う。
だから空想上の生き物とされているやつらだっていてもいい筈だ。
具体的に言えば俺の目の前にいる空から落ちてきた翼の生えている金髪美少女とか。
これはアレだろうか?神様の贈り物ってやつだろうか?
まぁ、贈り物かどうかは置いておいて、この美少女は俗に言う天使ってやつになるんだろうか?
おいおい、天使とか俺初めて見るんですけど。
いやまて、落ち着け俺!ハ―ピーとかかかもしれない。いや、ハ―ピーは両手が翼になってるんだっけ?
じゃあ、やっぱり天使になるのか。
天使(仮)は落ちてきた時に頭を打ったのか起きる気配がない。
このまま放置しておくのも人としてダメな気がするので取りあえず近くの公園まで運ぶ事にした。
「――って、結構重いな。」
天使(仮)の両脇に手を入れて引きずって行こうとするが意外と重い。
しかも背中の翼が邪魔でイライラしてくる。引きちぎってやろうか。
いや、それだと只の金髪美少女になってしまう。自重せねば。
公園まで近いといってもまだ少し距離がある。こんなのを引きずりながら歩いていたら俺に対する近所の評価がヤバイ方向に下がりそうな気がするのは気のせいじゃないだろう。
このままだと俺は近所から犯罪者扱いされてしまう。
「公園に運ぶのは止めるか。」
今は7月、夏休み真っ只中だ。
公園には子供も沢山いるだろう。なんか危険な香りがする。
しょうがないので人目があまりない裏路地まで天使(仮)を運ぶ事にした。
こっちの方が犯罪臭い気はするが、見つからなければどうという事は無い……はず。
裏路地はひんやりとしていて気持ちが良い。
ずいぶん雑に運んできているが、天使(仮)が目を覚ます様子はなかった。
息はしているので死んではいないはずだけど。
とりあえず肩を叩きながら声をかけてみる事にした。
「おーい。起きろー。寝ている場合じゃないぞー?」
起きないので肩を掴んで揺すってみる。
頭がグラングラン揺れて壁にガンガン当たっているが気にしない。
意外と大きかった胸もユサユサと揺れている。こっちは気になるが気にしない感じを通す。
「起きないな。どうしようか。」
揺れる胸を充分に堪能した俺は天使(仮)の肩から手を離した。
これだけやっても天使(仮)は一向に起きる気配がしない。
頬を叩いても、抓っても起きない。
因みに天使(仮)はスカートだった。コレ、空を飛ぶときに見えるんじゃないか?と心配になる感じのミニスカートだ。
あとスカートの中は白だった。さすが天使(仮)といった所だろうか。純白だ。
一応見ようとして見たんじゃなくて、偶然見えてしまったと言い訳だけさせてもらおう。
俺は犯罪者でも変態でもないのだから。
「み、水…」
弄るのに飽きてボーッとしていたら、天使(仮)が初めて声を出した。
どうやら喉が渇いているようだ。もしかして脱水症状とか熱中症とかそういうやつだろうか?
さっきコンビニで買ったコーラがあったはずだ。あれを飲ませてみよう。
俺は天使(仮)のアゴを少し持ち上げて天使(仮)の口を開ける。
そのままコーラを天使(仮)に流し込んだ。
「――っ!!?ガハッ?ゴホゥッ!?」
どうやら天使(仮)の器官にコーラが入ってしまったようだ。面白いように咽ている。
「あっはっは、咽てるよ。」
「な、なにするんですかぁ!?……っていうか、ここどこですか!?」
苦しんでいる天使(仮)を見て思わず笑ってしまう。
そしたら天使(仮)が睨みながら文句を言ってきた。飲み物が欲しいと言われたからコーラをあげたのになんてやつだ。
「空から落ちてきたアンタを涼しいところまで移動させて飲み物まで飲ませてやった恩人にそんな事言うのか。なんてやつだ。」
「えっ、あ、その…それはありがとうございますですけど。」
睨みながら文句を言うと天使(仮)は急に慌て始めた。
なんか手をワタワタしてて可愛い。いいぞもっとやれ。
天使(仮)の可愛さを堪能していると、天使(仮)が自分の格好を気にし始めた。
「あれ、なんか服が乱れているんですけど、なんで私、こんなに服汚れてるんですか?」
「あぁ、それはここまで引きずってきたからかな。こう、両脇に手を入れてズルズルと……」
それを聞いた天使(仮)は顔を赤くして口をパクパクさせながら言葉にならない言葉を俺に浴びせかけてきた。
何てことだ。善意でやった事に対してこの仕打ちとは。
俺がここまで引きずってこなければそのまま熱々のアスファルトに焼かれていただろうに。
もし通りかかったのが俺じゃなくてエロゲーの主人公とかだったらトイレに連れ込まれて口では言えない事をされていたのかも知れないのに。
俺が不機嫌そうな顔をしているのに気付いたのか天使(仮)はコホン、と一息入れて俺の方を見てきた。
「いえ、まぁ……助けていただいたのには感謝しています。私はアルフェナ。一応、天使です。」
「イエイエ、ドウイタシマシテ。俺は宮内 潮、人間で高校生をやってます。」
どうやら天使(仮)は本当に天使らしい。もしかしたら只の電波人間なのかもしれないが。
「は、反応が薄いですね。私、天使なんですけど。えっと、水分補給を怠ったせいで意識を失ったみたいで、きっとアナタがいなかったら私は死んでしまっていたでしょう。お礼にこの本の中から一つだけ、あなたにプレゼントしようと思います。」
天使…もといアルフェナはそういうとお礼といって本を一冊渡して空へと去って行った。
何でも急いで行かないといけない場所があるんだそうだ。
お礼の品は本に同梱されているハガキに希望の商品を書いてポストに入れれば届くらしい。
「天界カタログ?」
手元に残った本には大きく天界カタログと書いてあった。
中を流し見てみると、良くあるカタログ雑誌みたいに商品の写真と説明文が並んでいる。
グングニル(レプリカ)から始まり、大天使ミカエルの羽根入り高級羽毛布団まであった。
この中から何でも一つ貰えるとは、なんて太っ腹なんだろう。人助けも良いものだ。
まぁ、助けたのは人じゃないけど。
・・・
家に帰って貰ったカタログを読んでみる事にした。
伝説の武器の模造品から始まり、生活用品や消耗品が紹介されている。
少し興味を惹かれたのは惚れ薬だ。
錠剤型で100錠入り。飲んだ生物は最初に見た生物に好意を抱くようになるらしい。
3錠で恋愛対象として見るようになり、5錠で最初に見た生物を神のように崇めるようになるのだとか。
ちょっと欲しいが、色々危ない気がするからやめておこう。
使ったら絶対地獄に行きそうな気がする。クスリダメ、絶対。
何にしようかな?と悩んでいると、最後の3ページに技能特集というのがあった。
死の魔眼や気功砲、天獄無双流免許皆伝なんて中二臭い技能が並んでいる。
「神の直感っていうのは良さそうだなぁ。株とかで儲けられそう。」
技能は物騒な殺人術が多かったが、平和な日本でも使えそうなスキルも多かった。
神の直感や職人の超絶技巧、性神の絶技なんかはあって困るものじゃないだろう。
直感や技術はあって損は無いし、性神はほら、俺だって男の子だ。夜の営みとか興味あるじゃないですか、ねぇ?
「しかし、こうやって見ると全部気になるし中々決められないなぁ。」
悩みながらページを見ていくと、最後のページに技能ランダムくじなるものを発見した。
好きな技能は選べないけど代わりに2つの技能を貰えるらしい。
スキルは良いのもあれば変なのもある。ハズレを引くのは嫌だが2つ貰えるというのはお得だ。
ハズレと言っても貰える技能が凄い技能なのは変わりないだろうしな。
なんたって天界ギフトだし。
俺は技能ランダムくじにする事を決めた。
あとはハガキをポストに入れるだけだ。なんのスキルが当たるか楽しみだなぁ。




