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第七話 初級魔法勝負と強化魔法

少年練習中……

 「ハァッ、ハァッ、ハァッ…………」


「どうした? まだやれるはずだぞ?」


……俺の前には、服にさえ埃一つ付いていないマスターの姿。

俺は、服の一部に焦げ目が付いてるし、何より体力が持たない。


なぜこうなったか。

それは単純明快。魔法の実践訓練をしている。


俺は、マスターの詠唱を復読しただけで、全属性の初級魔法を使えた。

だが、それはどれも外的魔力の補助で行っているもので、

――まあ、それでも十分に威力はあるらしい――自分の属性に合った魔法は無かった。


しかし、ここでマスターは、初級魔法なら全属性を使用できるので、一回、模擬戦をしてみないか、

という事になった。


それで、今俺は、自分で言うのも何だが、ボロボロなのである。


「いやいや。さすがにもう無理です。

魔力残量はともかく、体力が持ちませんって」


「……問答無用! お前が倒れるまでやるぞ」


「はいーー!?」


「火の精霊、我に答えよ! 『アグニ・ランス』!」


もう何度くらったか分からない火でできた真っ赤な槍が三つ程飛んでくる。


「水の精霊、我に答えよ! 『ウォーター・ジャベリン』!」


その火の槍の軌道に当てるように、こちらも三つの水でできた槍を飛ばす。

そして、マスターと俺の放った魔法が交わり、水を火が蒸発させ、

火を水で消す。


「甘い!」


「何っ!? ガハッ!」


魔法の方を見ていた俺の目の前に突然現れ、蹴りを鳩尾に入れてきた。

と、理解した時にはもう既に、俺は地面を転がっていた。


「ちょっと、今のなんですかマスター?

この勝負って初級魔法以外は使っちゃ駄目なんじゃないですか?」


「それなら大丈夫だ。この部分強化魔法は初級の魔法に入る。一応だが。

それより! さっきから魔法を撃った後の反応が遅いと言っているだろう!


って、大丈夫か? 聞こえてるか?」


「ハァッ、ゼェッ、ハァッ……も、もう無理です…………」


「はぁ……しょうがない。初級魔法実践訓練は俺の勝ち。

お前は魔法の後の反応を早くするように。以上。


で、次は一応初級魔法に分類される『身体強化魔法』を憶えようと思う」


「で、でも……こ、これじゃあ無理ですって…………」


「大丈夫だ。


水の精霊、彼の者を癒せ。『ヒーリング』。


……これでいいだろ。立てるだろ?」


「……! はい。大丈夫そうです」


これは回復系魔法だろう。傷の痛みも無く、体力も戻っている。


「そうか。じゃあ身体強化魔法の基礎である、部分強化魔法を習得するぞ!

部分強化魔法は、その文字通り、体の一部だけを外的魔力で強化する魔法だ。

これを利用すれば、一瞬で相手の間合いに詰めれたり、刃を素手で相手する事もできる。

……まあ、そんな事は応用の粋で、俺やSランクしか出来ないがな」


「すごいんですね、強化魔法って。

それで、まずは何処の強化を覚えるんですか?」


「まずは、基本の部位として手と足だ。まずは手足の強化を憶えてもらう、が……

強化魔法には、やり方、というものが存在しない。

勿論始動詠唱も無い。

その始動方法は人それぞれで見出すしかない。

だから……」


マスターは喋りながら壁から出てる怪しい何かの紐を引っ張る。


すると……


俺は落ちた。


「えっ!? ええええ!? 嘘だろぉーーー!!!!」


落ちて落ちて、落ちまくった。

というか凄い深いぞこの穴。


すると地面が見える。

石の地面が。


「くそっ! 能力発動! 対象自身」


俺は風を操り、自分の自由落下している体をゆっくりにして、地面に着地した。

そして上を見上げる。


「何するんですか!」


もう米粒程しか見えないマスターに大声で聞く。


「……自分で手と足の部分強化魔法を使う為のものだ。

高さは50mある。それを、手、または足を強化して這い上がって来い。

始動方法は自分で見出せ。穴の壁は、ほぼ凹凸が無いように作ってある。

そういう事で頑張れ」


そう言うと穴の底から見えない所に行ってしまった。


「……え………………」


一文字の呟きは穴に反響しながら消えていった……。

少年沈黙中……

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