第六話 魔力値測定、属性判定
「ここだ」
俺はマスターに連れられ、さっき居た部屋の更に奥にある倉庫に連れてこられている。
そこには……やっぱりこれはテンプレなのか、水晶が二つ置いてあった。
「まずはこっちの水晶に触れてみろ。魔力値が出てくる。
自身の魔力値を知らなければ、どんな魔法を使え、そしてどれくらいの数魔法を使えるか
などの戦略も立てられない。だからまずはこれからだ」
「はい。分かりました」
俺はその水晶に近づき、左手で触れた。
右手の義手は話したが、自分の体ではないと魔力は無いので左手だ。
左手で水晶に触れた途端、水晶は部屋全体を覆う程の強烈な光を放った。
「はっ!? 何ですかこれ!」
何がなんだか分からなく、マスターに聞いたが、マスターは慣れているといった感じで答える。
「これは魔力値を数値化する時にでる光だ。
因みに言っとくと、これは誰でも光るから心配するな」
「そうですか……」
すると光が止み、マスターが水晶を見るが、
「ん? おかしいな……。故障か?」
俺も水晶を見てみると、そこには数字は表れていなかった。
改めて水晶全体を見るが、数字はどこにも無い。
「故障なんてあるんですか?」
「う~ん……今までは無かったんだけどな。
まあ、魔力値測定はまた後にして、次の属性判定やるぞ」
そう言って、隣に置いてある水晶に行く。
俺も気持ちを切り替えてやるか。
「いきます」
そう言って、また左手で水晶に触れる。
今度は水晶は光らないが、水晶の中で煙が生まれ、それが色を持っていく。
「何だこれは?」
今度疑問を発したのはマスターだった。
水晶の中では、煙は色を持っている。
その色は純白と漆黒。二つの色が互いに拮抗しているような感じ
純白は、例えるならば、まるで天使の羽のように神々しい輝きを放っている。
……科学が全ての世界から来た俺が言うのも何だが。
漆黒は、まるで無に見える。
色であって色でない。そういう感覚。色というよりも、光の無い暗闇のようだ。
自分で言い得て妙だが。
「これって何属性なんですか?」
「………………………………………………」
「マスター?」
「……分からない」
「はい?」
「こんな色など見たことが無い。
ニ属性持ちという事は分かるのだが、この色は初めて見た。
大体、属性と色の関係は、
火→赤
水→青
風→緑
土→茶
光→黄
闇→灰
という、とても単純な色合いだ。
そして、その属性の色が濃ければ濃い程、はっきりしていればしている程、
その属性を使いやすい、という事があったのだが……。
つまり、同じ属性でも、上下が分かれているんだ。
だが、こんな二色は初めて見た。それに、ここまではっきりしている色も」
「じゃあ俺の属性は一体?」
「……すまないが今はまったく分からない。
一応、この後魔法の実践をしてみるが、その時に分かるだろう」
「そうですか。分かりました」
「よし。じゃあ行くぞ!」
俺とマスターは水晶の置いてある部屋を後にし、広い部屋に戻った。
~部屋~(三人称SIDE)
御神とギルドマスターが去った部屋。
ガッシャァン!
大きな甲高い音が部屋内に響いた。
尤も、部屋は防音性が高い様に作ってあるのか、部屋すぐ外を歩いている二人には聞こえない。
その音の正体は、水晶。
その内、故障と言われていた水晶は、まるでガラスのように、もう修復ができない程に粉々に、
砕け散っていた。
後日、これが見つかって、ギルドマスターが怒り狂ったとか。
(ギルドマスター程の金持ちでも戦々恐々とする値段らしい)
SIDE END
俺とマスターは広い部屋に戻って来た。
「じゃあ、魔法の実践を行う。
簡単に説明しよう。
魔法とは、まず『発動詠唱』から、『呪文名』と、二つを組み合わせる。
まあ、大体の魔法が、発動詠唱は同じだから、憶えるのは少ないけどな。
まずは、初級魔法の、一番簡単な呪文からだ。
俺の詠唱を聞いた後、それを実践して見ろ。
お前の属性は火じゃないが、外的魔力が十分満たしてある部屋だからな」
「そうなんですか」
「そうだ。よし、いくぞ!
一度しか言わないからよく聞いとけ!」
遂に魔法を使うのか。
楽しみだな。
属性が分からなかったのが心残りだけど……
次回! やっと魔法がでる!
発動詠唱は、他の小説の様に独創的にできないかもしれませんが……