第四十一話 『世界の真実』
「……事の起こりは数世紀前。
いや、我でも知らぬ、
この世界の誕生した瞬間、それは起きたと言われている」
ゆっくりと、いつもよりも神妙な面持ちで話す『悪魔の王』。
「世界には、『意思』がある。
その『意思』は、人間、悪魔、動植物、その他自分の下位に有る存在の
運命を御し、誕生、消滅の時、その根拠まで制御した。
だが、その『意思』は、何を思ったのかある日、考えた。
この、退屈な日々。
生命を生み、その運命全てを操り、そして消滅させる。
この均衡をとるための単調な作業。
それに、ある考えが加わった。
『意思』は、この退屈な世界―――自分自身―――に、
ある刺激を加えようとした。
それが、自分自身を御す事のできる『生物』に、自分自身の権利の覇権を争わせるもの。
そしてそれは、直ぐに実行に移された。他ならぬ世界の『意思』によって。
その『意思』の狂喜から出来た、この世界で最大、最強、最狂、最凶の『生物』。
それが、『世界を纏めし四人』。
そしてその『四人』には、それぞれ『役割』が振られた。まるで本当のお遊びのように、な。
『救世主』。
この世界の過去に、全ての人類の命を救い、
そして現在のこの世界に召喚された、正に救世主。
『悪魔の王』。
その時が来たとき、突然変異で悪魔の間に生まれる、
全悪魔中最狂の悪魔。これはほとんどが王になる定めだ。
『跳躍者』。
元々は異世界に存在しているはずの、
世界にとっての不規則。四人の中で唯一、魔法ではない力を持つ者。
『天使の末裔』。
『悪魔の王』と同じように、天使の間に生まれる、
全天使中最高位の力を持つ天使。
しかし、神より大きい力を持つものは、地上に堕とされるものだ。
そして、その『四人』の中で、格が違うのは『救世主』。
その経験豊富な戦闘能力と、世界に住まう人間を救った力。
更には、他の三人と違うところがある。
それは、
『一個体』だからこそ、何度も、何度もこの『覇権争い』に参加できる狂者。
『救世主』は、世界にいる人々を救うために、永遠の命の呪法を体に刻んだ狂信者だ。
そして、『救う』ために、世界の不規則となる、我々三人を倒す為に動く。
まさしく、人間のために動き続ける者だ。
話によれば、過去にも幾度か、『四人』の戦いが起こったらしい。
その結末までは、我でも知らない。
……そして、今回の、
世界の『意思』による『お遊び』の『お友達』に選ばれたのが、
………………我々だよ。現『跳躍者』のアイ・M・ウィルドレース、
現『天使の末裔』のアリア・M・ノーヴィス、
そして現『悪魔の王』をやっている、我だ。
そうだよ。
我々は、道具だ。
我侭な子供に適当に買われて、適当に捨てられる、
儚い存在なんだよ」