第三十四話 王の目的
SIDE アイ
「あれ?」
悪魔を跡形も無く消し去った後、妹の魔力を感じながら、
妹が向かったと思われる方向へ歩いていた。
だが、いきなり、ここにいても分かるぐらいな、膨大な桁外れの魔力が村を襲った。
「ッ! 何だよこれ!」
その膨大過ぎて、目立ちすぎている、
重圧となって襲い掛かる魔力を追うことにした。
嫌な予感がする。
「何か知らないが間に合ってくれよ!」
両脚に外的魔力付与をして、能力で風の噴射を行い、
今できる最大の加速をかけ、走る。
SIDE アリア
「『悪魔の王』! 何でお前が此処に!」
「ふむ……それよりもまずはする事があるだろう『天使の末裔』?
生身の我に会えた事を喜ぶがいい!」
「! そういえばお前、何で影じゃない!?
影を媒体にしなきゃこっちに来れないんじゃないのかよ!」
確かに。今の『悪魔の王』は、人間の姿をしている。
見た目の姿は少年。肌は、色素が抜けた白。
白すぎる白。だが肌色。
顔は、美少年というべきものだった。
もう少し成長すれば、10人中10人が振り返るような美少年になることだろう。
そして髪は、アルビノの、色素が欠けたような白。真っ白。紙のように白い。
「その質問には……後で答えよう。
それよりも、今は用があるのだ」
そう言って、こちらへ歩いてくる相手。
「チッ!
風の精霊、我に答えよ! そして大いなる力、ここに頚現せ「待てと言っただろう」!
何で、魔法が使えないっ!?」
「この前のような影と一緒にしてくれては困る。
まだ『覚醒』も済ませていない四人の一人など、恐れるに足らん」
「お前の用は何だ!
私を殺すのか!?」
「自惚れも程ほどにしろ。
我はここの村民に用がある。そうだな、先ほどの質問の答えにもなるだろう。
我のこの姿は、実体ある幻のようなものだ。
確かに力は変わらんが、時間が持たない。だから、描くのだよ。
この村の、村民の血で、この村に、『召喚陣』を!」
「な! お前まさか!」
「やっと気付いたか。
そう! 我は今、今日此処で、こちら側に『召喚』される!
そして戦うのだ! 『跳躍者』とお前と!」
美少年が、その見た目の歳に合わない裂けた笑みを浮かべる。
「何なんだよお前は!
『世界を纏めし四人の末裔』とか!
『跳躍者』とか『天使の末裔』とか!
訳分からない事ばっかり言って、そうまでして戦いたいのかお前は!」
「そうだ! 我は戦いたい! |戦いたい(殺しあいたい)!
折角の暇つぶしが見つかったのだ! 我は王! 傲慢だからこその王だ!」
両手を上にあげ、声高らかに叫ぶ『悪魔の王』。
「では、さっそくだが、生贄第一号はそちらの女にしよう」
私の後ろにある牢屋の中にいる、ずっと虚ろな瞳をしている女の子を指して、言う。
と、その瞬間、
ドゴォ!
と爆音が地下に響き渡り、そして土煙があがり、
それが引いた所には、
真っ赤な血で染まった壁や床、天井と、真っ黒く炭化した人間の残滓。
「な……てめええええええええ!!!!!!!!」
「クックック! そうだ、もっと血を!」
と、その時。
「あの~、お取り込み中スミマセン。こちら『跳躍者』のアイになります」
! 地下の扉の向こう側から、
何とも気まずい場所に入ってきた奴みたいな感じなアイ兄が入ってきた。
馬鹿やろー! おせーんだよ!
次話、王の目的が明らかに!?