表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/44

第三十三話 『再臨』

再び臨む、ソレ。

 アイがあっさりと男爵級悪魔を倒した時から少し遡る。


 ~アリア SIDE~



「さてと、ここまでなら何も来ないだろ」


まったく、アイ兄がやった、私との模擬戦で使ったやつをあっさりと使った。

あれって周りの事考えない武器なんだからちゃんと自重しろよ!


「だけど……こりゃ正確な場所も聞きだすべきだったか?」


この村。最初の村民は全村民の半分と言っていた。

視界に入る分は50人だったが、多分あの時は軽く数百人いた。


だけど、そんな大人数を監禁しておける場所ってどこにあんだよ!


「………………ん? あれって……」


丁度、多分村の真ん中ぐらいの所で、宙から辺りを見渡すと、

一つ、やけに大きい家があった。

多分村長とかそんな感じの家だろ。


まあ、怪しいとしたらあそこだろという考えで、その家に向かって走った。



「……これ益々怪しいな」


大きい家の入り口の前に来ると、はっきり見えた。

扉の内側から外側に、紅く、何かが引き摺られた跡があった。


「これ血か……」


扉を開けると、ムワッと血の臭いが広がった。

気持ち悪い。この匂いを嗅ぐだけで、あの時の光景が、あの、時の……


「う゛……うううううええ…………」


一瞬何かがせりあがる様な感覚が喉の中を駆け巡り、次の瞬間、出してしまった。


「うう……」


こりゃ、また兄に『女の子がはしたないぞ!』って言われそうだな。

いや、こういう場合は『大丈夫か?』か?


そんなふざけた事を考えながら、部屋の中へ入った。


床には、まだ血の跡が残っている。

それを辿っていくと、書斎のような、一際他の部屋よりも広い部屋に入った。


その血の跡は、目の前の……何だ?


「隠し階段?」


血の跡は、開きっ放しの隠し階段?に続いていた。


とりあえず、中に入ってみる。

敵は悪魔だけだから大丈夫と思った。それに、『悪魔の王ディアボロス』と

互角に戦った兄が負けるとも思えない。


下に続く階段を降りる。


と、階段が途切れたそこには、


「何だよ、これ……」


牢屋があった。

牢屋の中には、表情を見なくとも憔悴しきった感じの人間が、

手錠と足枷で身動きを封じられていた。


見るからにどうやら男性と女性に分かれていて、子供もいる。

多分子供はまだ純粋すぎて、低級悪魔では掌握できない魂だったのだろう。


一番近くにある牢屋を風の魔法で斬り捨て、中に入る。


「おいお前ら、大丈夫か!?」


牢屋の中は、とても暑く、××の臭いがムンと鼻を突く。

そこは、私と同じくらいの歳の女子が集められた牢屋だった。


「う……あ…………」


「ぃゃぃゃぃゃぃゃぃゃ……」


虚空を見つめるその瞳は、一瞬こちらを向くものの、それに私は映ってなく、また項垂れる。

壁に向かって何かを見つめながら延々と呟く者も居る。


よくこれで信仰心だけでも守りきれたものだ。彼女らの抵抗が、そこには顕著にあった。

だがしかし、抵抗をしたからこそ、こんな目に遭ってしまった。


「ちくしょお! 次だ! 誰かいないのか!?」


牢屋から一回出て、思いっきり牢屋が密集する部屋の中で叫ぶ。

しかし、


『……………………』


何も還って来ない。

声の一つもしない。

微かに聞こえるのは、力の全く入っていないうめき声だけ。


ここには、確かに悪魔には染まらなかった強靭な魂の持ち主が、それは多くいるのだろう。

だが、それだけ。

いくら強靭な魂を持っていようと、時間が経てば崩壊する。

それも、低級悪魔程度も掌握できない程に、狂う・・


「くそぉ! ちくしょおおおおおおおおお!!!!!!」


周りから迷惑だという顔も向けられるわけも無く、

ただただうめき声が聞こえるのみだった。


「お呼びかな、『天使の末裔エンジェル』?」


「! 誰だっ!」


いきなり後ろから声が響く。

それも、気配も何も感じさせずいきなり。


そして後ろを振り向きながら、聞こえる声。


この声は、


「誰だだと? 笑える事を言う」


まさか、もしかして、


「もう貴様だって知っておろう?」


この口調。

やはり、それは、黒かった。


「お前は!」


だがしかし、それは以前・・のものとは違い、

『色』を持って、『姿』を持っていた。


「やっと分かったか。そう、我こそ!」


「「『悪魔の王ディアボロス』!」」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ