第二十九話 初!依頼
はじめてのおつかい(依頼!)
「で、結局ここに至る」
「……………………」
あれ?
妹が呆然として無反応です。
実は超能力の事教えました。
マスターからも、教えておいたほうが良いって言われたし、
いつか話そうと思ってたから。
だけど、世界転移?の事については話してません。
「お~い、アリア~?」
「な、何で黙ってたんだよぉーー!!」
バキッと一発
「グバはァあッ!?」
「そういう事は最初に言ってくれよ!
私達家族だろ!?」
「……すまないな。心配かけたくなくてさ」
すると少し頬を染めてバツが悪そうに顔を背ける妹。
「うっ、だ、誰が心配なんかするか!
そ、それより養父さん! 暇潰しって何だったんだよ」
「ああ。そりゃ、ギルドカード渡した時点で分かってるだろ?」
やっぱりそうか……。
「依頼、ですか?」
「そうだ。次の遺跡に行くアテが出来るまで、依頼でもやっておけ。
魔法の訓練と金をためるためにでもな」
その瞬間、妹が俺の手を掴んできて、
「よし! そうと決まれば直ぐ行こう!
兄! 最初は私のランク上げに付き合って!」
「あ、ああ。別に良いが……」
まあ、依頼をすれば妹の実践訓練にでもなるし、金も貯まるしな。
「おっ、そうだ。これ持っとけ」
扉から急いで出ようとすると、マスターが何か二つ投げてきた。
それをキャッチする。
「これは?」
それは、二つのバッヂだった。
あの、襟元につけるタイプのそれには、剣と剣が交差している模様が刻んであった。
「それはこのギルドマスター直々に依頼を伝えるほどの強者。
しかも人格も判断して渡されるもので、それがあれば色々と便利なんだよ。
それ、常時付けとけ。絶対に盗られるな。
はい、いってらっしゃい」
「分かりました。いってきます!」
妹と共に家を出て、ギルドの建物に向かった。
そして此処はギルド。
扉を開けて中に入る。
やはりそこは、男ぐらいしかいないムサい場所…………ではなく、
女子供もいる、普通の建物だった。
「ここがギルドかぁー!」
「ん? アリアは初めて来たのか?」
「ああ! ナイフとか短剣、魔法の訓練は独学だったから。
だから依頼受けるのも初めてなんだ! 楽しみだよ!」
「そうか……」
妹が眩しいなぁ~。
そして受付嬢の窓口へ行く。
「こんにちは。久しぶりですね」
「あ! この前の無茶苦茶な人ですね!
依頼ですか?」
「(無茶苦茶って……)はい。
BランクとEランクが一緒にできる依頼ですけど、何かあります?」
「……そうですね。規則ですと、
その組み合わせならば、一応Bランクは大丈夫ですけど。
高ランク保持者は、低ランク保持者が居ても、
そのランクの依頼を受ける事ができるので」
「そうですか。ならBランクの依頼を一通り見せてもらえないでしょうか?」
「こちらです」
そうして渡された帳簿を開くと、様々なBランクの依頼があった。
それを妹も横から覗き込む。
妹が呟く。
「え~と……『ダークサーヴァント二十体討伐』、『未完成暴走ゴーレム三体討伐』
『ラピスレイズドラゴン古龍種一体討伐』、『キマイラ中型二体討伐』
って、これ討伐依頼多いな」
「そうですね。Bランクから、討伐依頼が主となり、レベルも桁違いです。
ですが、あくまでもBランクなので」
「う~ん……アリア、何かやりたいのある?」
「そうだな……あ! これなんてどうだ?」
妹が帳簿をめくって、俺に見せてきた依頼。
それは……
「『男爵級悪魔撃退』!?」
何かその依頼名に、
これ本当にBランク!?と心の中で叫んだのは言うまでも無い。
悪魔です。きっと何かがあります。