第二十七話 付与魔法研究③with妹
今、妹と、距離をとりながら並走している。
勿論模擬戦だよ?
妹の武器は、短剣と投げナイフと、内的魔力による風属性魔法。
妹によれば、これ以外にもいくつか内的で使える、と聞いたが、
マスター。それは滅多にでないんじゃなかったのか!
「おいおいおいおい!」
「属性付与! 『土』!」
次の実験。あの、形が変にならないか心配されていた
土属性付与を、妹との模擬戦中にやった。
妹は現在進行形で驚いている。
かくいう俺もだが。
また変なのができた。
刀全体が、石や砂、岩や瓦礫などかき集め、押し固めている。
綺麗な形の太刀のはずなのに、
モン○ンにでてくる『ブリュンヒルデ』をもっと無骨にした感じになってしまった。
「重いな。一撃重視型?」
ならばそれはあまり意味が無い。
風属性付与だって、水属性付与だって、軽いままで
どっちにしたって威力は凄い高い。まさに相手を即死させる為のものみたいだった。
だから、重くなるという代価を払ってまで、
威力を高くする必要はない。
「おいおい兄! そんなノロい攻撃なんて当たらないよ!」
そうなのだ。コイツは、とにかく速いし、素早いし、フットワークがある。
純粋な速さだけなら俺が勝てるが、それ以外が妹は凄いので、
模擬戦なら、俺並みに速く動けなければ追いつけない。
俺は、重さと、空気抵抗によってなるノロさを我慢しながら、
ブン、ブンと、その大剣で宙で空振りしていた。
「ハァ……水や風と違って、そう簡単に結果は出ないか……」
俺はこのままでは、動きが制限され、妹に半ボッコにされてしまう可能性があったので、
早々に土属性付与を止め、火属性付与をする事にした。
「『解除』………………………………………………アレ?」
解除魔法が効かない?
おかしいな。水のときに直したはずなんだけど……。
「『解除』!」
気合を入れたけど無理でした。
「何一人でやってんだよ!
風の精霊、我に答えよ! 『ストーム・ダンス』!」
その瞬間、視界から消える妹。
今のは確か風の補助魔法。
俺がいつも超能力でやっている事の劣化版を、魔法でやるものだ。因みに初級だな。
「ヤバっ! ぐふぅ!?」
鳩尾に思いっきり蹴りを入れられた。
「痛ぁ! こ、の、やろぉー!」
野郎じゃないけど。
土属性付与されたままの一撃を、自分の正面真下に撃つ。
するとその時、
「は!? なんだこれ?」
体が赤褐色の光に覆われ、そして、
ドゴオオオオオォォォォォォォ!
と、まあ、擬音で表すならこれぐらいの、鼓膜が破れそうな音が響いたと思ったら、
「「あ、あれ?」」
妹と声が重なった。
それもそのはず。
目の前には、焦土と化し、俺の正面100m程抉り取られた地面。
そう。地面だ。
部屋の中で戦っていたはずなのに、地面?
すると、
「この馬鹿野郎どもがぁ!」
「「ヒィっ!?」」
「ま、マスター? 此処は何処です?
今、一体何が……」
「……ここは街の外の更地。
ここにいるのは私が転移させた」
「なんでそんな事を? 兄と楽しんでたのに」
「ハァ、だからな、お前の兄が、その持ってる剣で、部屋を倒壊させるような
攻撃を放ったから、直前で転移させたんだよ」
「「転移?」」
「まあ、そんなことはどうでもいい。
お前ら! 私の家を壊そうとした報い。うけてもらうっ!」
そして手をワキワキと動かして、目を光らせながら近づくマスター。
「「ぎゃ、ギャアアアアアア!!!!!」」
この叫び声、街まで聞こえてたそうです。
転移は、現存しない魔法です。
その内部事情はちゃんと話しますので。