第二十六話 付与魔法研究②
「まるに」です。
まるきゅーまでは続きません。あしからず。
「……『水』」
その瞬間、ドバアッと轟音が部屋内に響き渡り、何もない場所から水が生まれ、
それが段々と流れを持っていき、刀の刀身部分のみに集まる。
刀身部分は、今度は本体から5mm程度しか付与されてなく、水はほぼ透明。
しかし、流れだけは、そこらの洪水やダム放水の軽く10倍は越すであろう、
肉眼で見えない速度で刀身の表面を奔っている。
「……試し斬りするか」
さっきの、風属性付与で、
自分で触れなければ、特に問題無いという感じだったので、
今度は試し斬りしてみることにした。
壁に近づき、左手で壁に触れる。
「能力発動。『変形』。対象、壁」
その瞬間、触れている場所を中心に、壁が円状に凹み、
そしてその分の石が、部屋の中心に出た。
「成功だな」
更に壁に近づき、水属性付与を施した刀を構える。
「ハッ!」
そして、横薙ぎに振る。
と、
スカッ
「あれ?」
少し体勢を崩してしまったが、もう一度立つ。
今のはおかしかった。
絶対必中距離なのに、セフィ○ス級太刀の横薙ぎで外した?
絶対にさっきの感触は、空振りした感触…………。
「嘘だろ?」
やっぱりこれを言ってしまった。
勿論、それに匹敵する事が目の前にあるのだが。
今、俺の目の前には、俺が見下ろす形で、壁が立っている。
見下ろす形で、だ。
そしてその奥、向こう側には、手前が斜めに削られている壁の上。
「マジかよ」
つまり、俺のあの太刀は、
水属性付与をしたことにより、
科学の力である、『高水圧カッター』みたいな感じになっていたのだ。
なので、感触が殆ど無く、そして、切れ味が爆発的に増したから、
逆に体勢を維持できなくなったのだろう。
つまり、勢いが強すぎたのだ。
「高水圧過ぎだろ」
はっきり言うと、目の前にある壁は、高さ3m、厚さが30cmもある。
よくぞここまでを魔法で再現できたものだ。
俺は、また一つ、魔法に対して関心を持ったようだよ。
すると、
「兄ーーーー!」
「お! アリアか!」
後ろにある扉から声が聞こえたので、
振り返ると、妹がいた。
「もう話し終えたのか?」
「ああ。それで、私も面倒見てくれるってさ。
良い人だね、義父さんも」
「ああ。マスターはああいう人だし、そこが良いんだけどな。
それで、どうする?」
俺は妹に問いかけながら、水属性付与の刀を一振りし、
外的魔力を霧散させる。
今度は、解除魔法に工夫を加えてみたので、
さっきのような事も起こらず、外的魔力は無くなった。
そして刀を鞘にしまう。
「どうするって?」
「これから、だよ」
俺はフッと笑って、妹に言う。
「決まってるだろ」
妹は、いつもと変わらない口調で、
俺の笑みに満面の笑顔で返しながら、
「私と模擬戦しよーぜ!」
「…………(半戦闘狂め)……」
結局、妹がどうしてもと頼むので、
一回、妹の実力を見るために、模擬戦する事になった。
……いつも思うけど、急じゃね?
次回、妹と兄の戦いです。
そして分かる妹の実力!