第十五話 逃走済!
「いつまで続くんだよーー!」
「はぁ、本当に何処までなんだろな?」
今、俺達は遺跡の神殿?内部に潜入している。
最初の扉から入ってずっと一本道だったのだが、それがまだ続いている。
もうかれこれ二十分ぐらい歩いた気がする。
「まったくさ~! 兄の捜してるものって何なの!?」
「……だからそれは言えな「お兄ちゃん……お願い教えて……」」
グヴァハァっ!
あい の せいしん に 1652 の だめーじ !
あい は はなぢ じょうたい に なった !
「す、すまん! 教えるから!
あ! 泣かないでえ~!」
男(兄)には、嘘無きと分かっていても、女(妹)を泣かせちゃいけねーんだよ!
「かくかくしかじかで、ごにょごにょなわけ」
「……もう何があってもおどろかねーよ……。
ということは、この奥にその天魔属性の魔法について記された書物があるかもしれねーのか……」
「そう。他の所には不自然なまでに無かったから、考えられる状況は三つ。
一つ目は、盗賊やら何やらが来て、根こそぎかっぱらって行った。
二つ目は、魔物でも操作できる程の人為的な奴が、全ての書物、魔物を何処かに集めた。
そして三つ目は……」
ゴクッ……
「み、三つ目は?」
「三つ目は、最初っからここに書物なんてない!」
「それじゃ意味ねーじゃんかーーー!」
グオオオオオオオ!!!
「………………」
「………………」
「…………いや~、妹よ。お前っていつ魔物と声を合わせるようになったんだよ~」
「って! おい! そんな後ずさりしながらよそよそしくなるな!
つーか魔物なんて知らないぞ私……は…………」
「ん? どうした?」
妹は俺の後ろを指差し、アワアワと口を開いて、焦っている。これも良い顔だな。
「あ、後ろから、ってぇ! もう間に合わないよぉ! 逃げるが勝ちだー!」
あれ? 妹よ、君は何処に行くんだい?
俺達が進んできた方向そのままで奥に走っていく妹。
そんなに急ぐ事あったか?
ふとさっきの発言が気になって、今まで来た道を振り返るとそこには……
魔物がウジャウジャと、めんどくさい数がいた。数え切れない。つまり無数。
魔物が大群となって、まるで獲物を食い尽かさんともあろう勢いで走ってくる。
小さいものは、鼠型下位魔物から、大きいものは竜系統の上位魔物まで多種多様だ。
ん? 待て待て、今俺はなんと言った?
「竜系統の……上位魔物ぉーー!?」
もう数十メートル前まで迫った魔物から視界と体の向きを反転させ、ダッシュする。
「ちくしょぉーー! 何なんだ!」
魔物と一定間隔があいている状態をどうにか持ち応えながら、妹に追いつく。
「やあ妹。大丈夫? 疲れてるみたいだけど?」
「ハァ、ハァ、はっ、分かってるならどうにかしろぉーーー!」
「……いや、だってさ、上位の魔物もいるんだよ? しかも竜系統」
「とにかくどうにかしてーーー!」
「………………(作戦思考中)」
ピンポーン♪
「これ、だぁーー!」
叫びながら走っている体をいきなり急回転させる。
そして、服の右手のスリーブ部分についているボタンを外す。
バサァっと右手がその機械でできているメタリックシルバーの光沢を輝かせる。
そう。科学の力でできたこの世界には無い反則。
「これでもっ…………」
右手の上腕部から手投げ手榴弾五個程を出す。
そしてそれを魔物の前方に投げる。
「くらええええええ!!!!!」
更に、右腕前方から、持っている武器の中で極めて凶悪な、
毎秒五発という無茶苦茶な機関銃の機能を使う。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!
その大量の数え切れない弾丸は、硝煙を撒き散らし、
魔物の体を数秒で穴だらけの粉々にする。
そして、その内のいくつかは、投げた手榴弾にあたり……
ドッガガアアアアァン!!!!!!!
タイムラグがあるはずの手榴弾をすぐさま爆破させる。
それでも、油断できない。
「おらあああああああああ!!!!」
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!
機関銃の激しい銃声の中で、微かに聞こえる薬莢の金属音。
そして、その弾幕の中で動くものが見えなくなり、音も静かになってきた頃に、機関銃を止めた。
「ふぅ…………。
やっぱこれ疲れるな……」
まあ反動も来るっちゃー来るものだし?
「な、なななな何? 今の!」
俺の前には、小さかった魔物は粉となり、大きい魔物はただの肉片と化していた。
結構グロテスクな画だ。
「お前、これ見ても大丈夫なの?」
「はっ!? あ……うきゅうーー…………」
バタリとその場で気絶してしまう妹。
……そんなんで闘えんの!?
まったく、つくづくおいしー奴である。
この頃あとがきで書く事ない!
あ、皆さん安心してください!
妹の名前は決まってるんで!
なんとなく名台詞。
『地球は俺にとって小さすぎる。
太陽でようやく偉大なる俺に匹敵しよう…………』by王