第十三話 和む
まあ、いくら何でもこれから行くのは『遺跡』だし。
難易度(難)くらいなダンジョンだから、
結局、道程にあった小さめの町で、軽い短剣と、ナイフ複数を買ってやった。
100㎞も歩くのだから町が無い方がおかしいのだが。
それと、金? そんなの途中で変な魔物いくらか狩って、即換金ですよ。
本人によれば、
「私は……えーと…………短剣とか……ナイフぐらいなら使えるんだ!」
らしい。(真偽は定かではない……)
しばらく歩く。
歩く、歩く、歩き続ける。
…………
やっぱり歩く。
人気が無い所から、町に近づき人気がまあ増えて、また人気が減ってきた。
けどまだ歩く。
妹がいるので超能力は使えない。
だから歩く。
「………………」
「………………」
「だぁーー! いつになったら着くんだよ!
なあ、いつになったら着くんだよ!
なあ、いつになったら……
「うるさい!」
! なんだよ……あとどれぐらいか教えてくれても良いじゃねーかよ……」
「あと30㎞」
「はぁ!? どんだけ歩くんだよ!
兄の目的地って何処だよ!?」
「……『遺跡』…………」
もううるさくなってきたので、素直に行き先を教えてやる事にして、
ボソっと呟いた。
だが……
「えええええええええ!」
「女が大声出すな。はしたないぞ」
「いやいや、ここからの『遺跡』っていったら、
あの『スラローム遺跡』だろ!?
冗談じゃねえ! 何で私がそんな危険地帯にホイホイ行かなきゃなんねーんだ!」
「……そっか、どうしても行きたくない?」
「あったりまえだろ!」
「……じゃあいいよ。
俺だけでさっさと行って、帰ってくるから。
だから妹はここで待ってて」
「え…………」
「じゃ!」
そう言って、後ろに視線を感じながら先へさっさと進む。
妹(名前は非公開♪)SIDE
「あ………………」
本当に行っちゃったよ。
あ~! 何言ってんだよこの私のおおばか!
鳥の鳴き声だかなんだかしてすっげえ怖いんですけど!
「え、嘘でしょ?
アイにい~…………」
『………………』
「…………」
まずい。まずいよ! 本当に置いてかれちゃったよ!
どうしよどうしよどうしよ!
いや、今からでも遅くないはず!
「待って~、兄~!」
そのまま兄の行ったと思う道を追いかけ、走った。
妹SIDE END
「待って~」
ん? 後ろから妹の声が聞こえる。
「どうした?」
「そ、その!
やっぱり兄には私が居ないと、その、駄目だと思ったんだよ!
だから、私も行くよ!」
「はい?」
「だ・か・ら、私も一緒に行ってあげるって言ってんだよ、『遺跡』に!」
顔を真っ赤にして強がる妹。
はぁ……しょうがない。
「分かったよ。頼りにしてるよ?」
「あ……ああ! 任されたぜ!」
こりゃあ『遺跡』でも心労が増したな…………。
心に立つ三本柱は友情・努力・勝利じゃない。
無慈悲・理不尽・超最強だ!