第十二話 兄妹誕生!
「ハァ……もう追ってこないだろ…………」
しばらくあの盗賊少女からの逃避行?を続けてたら、いつの間にか居なくなっていた。
多分体力が追いつかなかったのだろう。
「って! そんな訳あるか!」
「うおわ!」
もう人気がまったく無くなった道で、いきなり草陰からアイツがでてきた。
「やっと追いついたぞ!」
「で、本当に着いてくるの止めてくれないか?
俺がこれから行くとこはさ、ちょっと危険?地帯だからさ……」
「ふん! だから何だってんだ! 私はお前から何か盗むって決めたんだよ!
そんなに離れて欲しかったら何か寄越せ!」
「……言い分が理不尽すぎて逆に呆れるな……」
「なんだと!」
「まあまあ、落ち着いて。
えーと、今此処は……は!? もうこんな所まで来てんのかよ!」
地図で大体の場所を確認すると、もう既に、道のりの半分弱いっていた。
って事は、俺とコイツの追いかけっこはフルマラソンだったのかよ!
軽くショックを受けてる俺の様子に気付き、少し思案顔で近づく少女。
「おい……お前、何か顔色わりーぞ。大丈夫か?」
「ああ。大丈夫。
ただの追いかけっこ?がフルマラソンだった事が軽くショックだっただけだから……」
「ふるまらそん?」
「ああ、こっちにはマラソンって無いのな。
まあ良いや。
……で、本当にこっから先行く所は、お前じゃあすぐ死んでしまう様な場所だ。
さっさと諦めて、さっさと家帰れ…………」
「ねーよ……」
「ん?」
「家なんかねーよ!
私はなぁ、一家全員皆殺しにされて、帰る所なんてねーんだよ!」
「!!」
「ちくしょお……バカにしやがって!
俺は絶対生き延びて、あいつらに復讐してやんだよ!」
「………………」
「だから絶対、今は生き延びてやる!」
コイツは……似てる。
記憶にある俺と紫の家族。
親の顔。仲良く遊びに行った日。
そして殺された日。
コイツは、俺と似てる。
違うのは、その後どうなったかという事。
俺は記憶を消され、のんびりと暮らし、
片やコイツは、少しでも多く生き延びる為に動く。
「そっか、そうだったのか……」
「んだよ! 変な同情なんてしたらぶっころ……!!」
気付けば俺は、俺より少し低いぐらいの彼女を抱きしめ、
囁いた。
「大丈夫。大丈夫。俺がいるから。この世界で、お前は一人じゃない。
だから、もう安心しろ。もう強がらなくていい……」
「!
でも、私は、私の生き様を変えるつもりはねえ!」
「いいんだよ!
お前が考え、お前が決めたならそれでいい。
それが死に様じゃあないならなんでもいい!
だから…………」
俺は彼女から離れる。
そして、言う。
「俺の家族に…………俺と一緒に行こうぜ!」
「!
だ、誰がなるかよ! そんな……いきなり…………。
で、でも、その、ありがとう…………」
「フフ、良いんだよ。
よし、これから俺がお前の兄だ! 何でも言え!」
「はぁ!? 普通私が年上だろ!?」
「いや、俺が年上だと思う」
「んだよ! じゃあお前何歳だよ!」
「15」
「! 私は14……」
「じゃあお前が妹な。よろしく妹!」
「たった数ヶ月の違いの癖にーーー!」
「まあいいだろ。さ、俺の妹でいいなら行こうか。
これから行くところは危険だけど、俺なら大丈夫だから。
……で、お前は何か武器持ってないのか?」
「………………」
「お前、まさか……」
「よし! 行くぞ兄!」
「誤魔化すな。
……ハァ……お前よく盗賊とか復讐とか考えれたな…………」
私が書くと、
頭の中のシーンはいいのに、
文力(ぶんりき?)ゼロな、とても軽いものになる!
俺はだめだぁー!