第十一話 疾走爆走
「さてと……行くか…………」
とりあえず街から出て、東に歩いていく。
人気の無い所を見つけたら、慎重に、見つからない様に飛ぶつもりだが。
「けどこれって、目立ちすぎだろ……」
俺の服装は、制服ではない。
マスター曰く、
「その服はとても精密に、そして丁寧に織り込まれていて、この世界ではありえない物」
と言っていた。
つまり、そっちを着てた方がとても目立つのだが、
「これでもあんまり変わらないよな…………」
まだ街からあまり離れていなく、近郊という事で、
魔物はまったく居なく、人の往来がまあまああるのだが、
さっきから道行く人々が俺を、いや、俺の装備を見ていく。
今の服装|(装備)は、出かける前にいきなりマスターから渡された物で、
これを着て、この武器で戦えば、超能力なんて使わなくても大丈夫だと言っていた。
確かに、超能力乱用で、国に不信感を持たれたり、無駄に警戒されるのも回避したいのだが。
「この装備は無いだろ」
さっきから俺の装備を気に掛けている人が多いだろう。
まあ、他の小説に比べたら、矮小かもしれんが……ん? 何か言ったか、俺?
まあ、気を取り直して、
今の俺の装備。
全体的に、FF7ACのク○ウドの服装を灰色っぽくしたもの。(狼原料だから?)
俺には似合わないがな……。あれはクラ○ドにしか似合わないんだよ!
あ、因みに、本物と左右対称になってる。つまり、俺の場合右手が全体スッポリ覆われてるって事。
これは、やっぱりこっちで機械なんて見せたら、ちょっと魔女狩り再臨みたいな事になりそうだから。
まあ、この服も、材料が最高で、
しかも、ギルドの全技術を駆使して作ったから、ここまでの物が出来たらしい。
なんでそこまで…………。
で、今の俺の武器。
これも、無理だ。
なんでクラウドの服装にセフィ○スの所有物っぽい太刀?
ちょっと組み合わせが!
やっぱここは大剣系なのかと思ったけど、太刀でした! しかも、これも掘り出し物!
やっぱりこのでかい太刀。『遺跡』で見つかった古文書を参考に作ったらしい。
でも、作ったのが大きすぎて、しかも今までに無い武器だから、誰も扱える人が居なかったとか。
それが俺に回って来た、という訳。
……改めて見ると、やっぱり目立つ。
格好良いのは良かったんだけど、やっぱ目立つ。
確かにこっちで太刀を使えるのは嬉しいけど、やっぱり目立つ。
…………………………
二言目には目立つってか?
まあ、もうそれも割り切る事にした。
いつまで悩んでても関係無いし。時間の無駄だし。
よし、どんどん歩きましょー「おいお前!」……?
いきなり後ろから声がしたんで振り向くと、
其処には一人の、
いかにも盗賊業やってます!と言っている服装の、
俺と同じくらいの歳っぽいボーイッシュな感じの少女が居た。
「何か用ですか、盗賊さん?」
「なっ! なんで私の事が盗賊って分かったんだよ!」
「いやそれは、誰がどうみても貴女の服装が盗賊!って感じなので」
「……よ、良く分かったな! 今のはお前を試したんだ!」
胸を張って冷や汗かいて答える盗賊少女。
「それで、もう一度聞きますが何の用ですか?」
「あ! それだった!
……ゴホン、
お前の有り金、全部置いていけーー!」
「………………………………」(俺)
「………………………………」(少女?)
「………………………………」(俺)
「………………………………」(少女?)
「………………ハァ…………」
「な! 何溜め息ついてんだよ!
何か変かよ!」
「武器も無し、しかも相手に既にばれている思惑」
「あ……武器はー、えっと…………」
「………………」
「す、すみませんでしたぁー!」
「ハァ……まあ良いよ。
けどさ、もう少し観察眼を磨いた方が良いんじゃない?」
「?」
「俺、無一文だよ?」
「うっそーーー!!!!」
嘘ではない。何を隠そう俺は金を持っていない。
それは普通なら道具、その他諸々買うのに金がいるが、
お前なら大丈夫だろ、というマスターの短絡的判断により、無一文なのだ。
因みに、目の前では少女がorzしている。
「まったく、もうそういうのは止めといてくれよ……」
「う、うるせー! 私は絶対お前から何か盗ってやる!」
「はいはい。じゃ!」
そう言い残し、俺のできる限りのスピードで、走る!
絶対に逃げきってやる! ……なんで逃げてんだ?
思いっきり、100m12秒フラットなペースで走る。
ちょっと後ろを振り向くと、
「おらああああああ!」
女子特有の高い声を響かせながら、鬼神の如くこちらに向かって……
「逃げる!」
「あ! 待てーーー!」
だからなんで逃げてんだ俺?
めだかボックスって面白いと思いません?
(何をいきなり言ってるんだ作者は)