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【ちなみに】パーティ仲間が呪物使って遊んでたら、怪異を引き寄せた件【特級呪物クラス】  作者: カズキ
前編

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2/14

【心霊】凸してみた【スポット】

「それじゃ、知る人ぞ知る心霊スポットに凸してみるよ」


それがこの動画の冒頭だった。

動画の投稿主は、夜の道無き道を頼りない魔法の光源を頼りに歩きながら説明を続ける。


「今回凸するのは、●●●●●っていう新人冒険者向けのクエストとして有名なところ。

薬草の群生地があるから、新人冒険者がよく派遣されてんだって。

で、これは冒険者の人達のなかでも、限られた人しか知らない情報なんだけど。

なんと、ここ、奥に【呪われた泉】があるらしい」


こういった配信は一部の者には人気らしく、そこそこの同接数が見込めるのだ。

投稿主はあちこちの心霊スポットに出かけては、こういった動画を撮影し、配信している。


「【呪われた泉】ってのは、いまでは近隣の町や村に住むお年寄りしか知らない怪談なんだけど」


曰くについて投稿主は説明する。

足はとめない。


「むかしむかし、失恋してその泉に身を投げた女性がいた。

女性の恋人が、ほかの女に寝盗られたから。

それ以来、泉は呪われてしまい人を呼んでは沈めるようになってしまいましたとさ」


とても短いはなしだ。

そして、どこにでもよくある話だ。


「だから地元の人らはここに近づかなくなったらしい。

泉に引きずり込まれて沈められるからな。

まぁ、こうして俺がここに来たのも呼ばれたからかもなぁ……なんちゃって」


そうこうしているうちに、目的地の泉にたどり着く。


「けもの道ではあったけど、たどり着けましたー。

さてさて、噂じゃ女性の幽霊が出るってことなんだけど……。

いないなー」


泉の周囲だけは少し開けていて、歩き回ることができた。

投稿主はあちこちを撮影する。

そして、撮影を終えると帰宅した。

この投稿主は、あからさまな演出、つまりはヤラセや動画の加工はほとんどしない。

せいぜい、不必要な場面をカットして見やすくする程度だ。

同接数や視聴回数を増やすなら、演出だって必要だ。

しかし、投稿主はそういったことをしていない。


だから、動画をいつも通り見てもらいやすい時間に編集し調整して、投稿した。

その時には、動画にはなにも変化はなかった。


しかし、


《黒い影が映ってる》

《あ、ほんとだ》

《え、こわ》


というコメントが、コメント欄に書き込まれた。

投稿主は首を傾げながら、黒い影とやらを確認した。


いた。


映っていた。


それは、まさに影だった。

最初は泉の真ん中に、なにか黒い塊が浮いているなという印象だった。

でも、ドローンのカメラが泉を映す度にそれは少しずつ、姿を現していったのだ。

泉から少しずつ少しずつ、出て来ているようだった。

それだけではない。

カメラが泉を映す度に、それは投稿主の方へ近づいているようだった。


「なんだよ、これ……」


撮影した時、こんなものは映っていなかった。

もちろんこのような動画加工もしていない。

なら、映っているこれは一体なんなのか?


――ぱきっ


そんな、家鳴りのような音が背後で響いた。

ビクリ、と思わず体がびくついた。

恐る恐る振り返る。


そこには、動画の中に映っていた影が立っていた。


そして、その動画の投稿主は失踪した。


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