表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ちなみに】パーティ仲間が呪物使って遊んでたら、怪異を引き寄せた件【特級呪物クラス】  作者: カズキ
後編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/14

【どっぐうっど】と、その友人

「掲示板、みたけど」


そう少年は、友人である少女へ言葉を投げた。

同時に淹れた紅茶と、手製のチョコチップクッキーやアイスボックスクッキーの乗った皿を出す。

お茶の時間だからだ。

と言っても、この2人は別に恋人関係というわけではない。

ただのお茶友とか、オタク仲間のようなものだ。

少女はそれらを美味しくいただくと、どこか楽しそうに返した。


「どうだった?どうだった??

アキラ君の見解を教えてほしい」


少女はコテハン【どっぐうっど】を使って書き込みをして掲示板に参加していた。

だから少年――アキラへ好奇心旺盛に聞き返した。


「ミズキ、楽しそうだな

気持ち悪いな、と思った」


アキラは少女――ミズキへ正直な感想を口にした。


「具体的にはどこら辺が??」


少年はテーブルを挟んで、少女の目の前に座る。

自分の分の紅茶をカップに注ぎながら言った。


「この話を整理すると、この【クィリコ様事件】、あ、事件ってつけた方がわかりやすいからそう言うんだけど」


「うん」


言いつつ自分の皿にクッキーそれぞれを載せる。

まず、チョコチップの方を手に取る。

それをヒラヒラとさせながら自分の考えを口にした。


「最初のスレのスレ主、後に本物のクィリコ様の婿になった仲間。

この仲間の行動がおかしい。

この仲間がそもそも問題が表へ出てきた発端だった」


「そりゃ、特殊な趣味をもってたらそういう行動に出ても不思議じゃないでしょ?」


「いや、遊びの方の話じゃなくて。

このお婿さんは、自ら進んで石を持ち帰ってきて、さらにすんなりと婿に入ってる。

書き込みにもあったけど、お婿さんはこれまた全て知った上で婿に行っている。

さらにスレ主は婿に関してこう書いている」


アキラはクッキーを口に放りこむと、もぐもぐしながら今度は持っていた携帯端末を操作して、スレを表示させた。


_________________

【スクショ1】

11:スレ主

仲間と一緒に反対したんだけど

恋は盲目っていうか、もう決めたって言ってバカは譲らなかった

ちなみに、バカがぼうっとしてたって前スレで書いただろ?

あれ、バカにはクィリコ様の姿がちゃんと見えてて、惚れてぼーっとしてただけらしい

ちなみに、クィリコ様はカワイイ系お姉さんタイプとか


_________________


_________________

【スクショ2】

50:スレ主

加えて、バカが婿入りすると同時に完全に土地が浄化されてた

あいつ、神官職だったからなぁ

それもそこそこの腕前というか、実力あったし

婿入りしたあと、なにかしたんだろうな


_________________


「ただの推測だけど、ここから考えられるのは、お婿さんは最初から【クィリコ様】の現状がわかってて、行動していたってこと。

二枚目のスクショを見てわかるように、お婿さんは元々それなりに、神官として実力があった。

だから、たまたま見つけた、遊ぶのにちょうどいい石を持って帰ってきたってところからが、もう嘘も方便だったんじゃないかと思う。


そういう意味で、最初からわかっていてお婿さんはクィリコ様を自室へ招いた。


で、擬似的な婚前交渉をすることで契約をしたわけだ。

婿入りさえすれば【クィリコ様】を変容させた原因をなんとかできる。

そう考えたのかもしれない。

実際、なんとかしちゃってるわけだし」


そこで、アキラは紅茶を一口すする。

続ける。


「俺が気持ち悪いって思ったのは、お婿さんはなんでたかが一目惚れごときで動くことができたのか、まるで理解できないってのが、ひとつ」


ミズキはそこで何故かニマニマしながら、アキラを見て言葉を投げる。


「それこそが愛ってやつだよ?」


「愛、ねぇ。

やっぱり気持ち悪いな」


「まぁ、アキラ君の生い立ちならそう感じてもしかたないかなぁ。

でも、よく言うでしょ?

愛ってのは無償なんだよ。

見返りを求めないものなの。

お婿さんは、神様に恋したんじゃなくて、神様を愛してしまった。

だから、向こう側へ、神さまの側へ行くことを選んだ」


そこでポイッと、今度はミズキもアイスボックスクッキーを口に放り込む。

咀嚼して、紅茶と一緒に飲み込む。


「そういうものかぁ」


アキラは納得がいっていないようだ。

それに構わず、ミズキは疑問を投げる。


「一つ目ってことは、他にもアキラ君にとって()()()()()ことがあったわけだ。

それはなに??」


アキラは携帯端末の画面をじっと、見つめる。


「黒幕がわからずしまいだったこと」


「あ、たしかにー。

犯人見つけるんだーって、スレ主は書き込んでたけど、結果は儀式をした人たちへの呪い返しを作り出して、それを広めたら実行した人達がいただけで、元ネタの【こっくりさん】の儀式を広めた犯人はわからずしまいだったね」


「でも、黒幕が俺たちの故郷出身者なのは確実だ。

これ、見てみ?」


また、アキラは携帯端末の画面にスクショを表示させミズキへみせた。

それは、今回の騒動に興味を持った者が【クィリコ様】を呼び出す儀式について、独自に調査し、まとめたページであった。

_________________

【スクショ 3】


〇クィリコ様を呼び出す儀式、そのやり方

クィリコ様を呼び出す儀式について調べていたら、実に様々な方法があることがわかった

そのいくつかをここに記載する

ただし、これらは効果がある、と判明しているためフェイクを入れての記載となる


・紙とペンとコインを使う方法

・テーブルを使う方法

・複数人で手を繋ぎ、円を作ってその中心に目隠しをしてもう一人を配置し、呪文を唱えつつぐるぐるまわり、中心人物の背後へ立った人物を当てる方法

・複数人で座って円を作り、目隠しをする。一人だけ目隠しせずにその円の外側をぐるぐると回りながら、物を落とす方法

・とある学校の一部施設をつかって、声掛けをして呼び出す方法


_________________


「これって……。

これは、テーブルターニング、これは、かごめかごめ??

こっちは、たぶんハンカチ鬼、かな?

学校の一部施設をつかって()()()()()()呼び出す方法……、これ、ボカされてるけど花子さん??」


「……。

全部、少なくとも俺たちが元いた国ではメジャーな、子供向けの遊びだ。

三十年かけて、これだけの遊びを浸透させた。

でも、だからこそわらない。

黒幕の目的はいったい何だったのか?

それがわからないし、広めた儀式は怪談っていう統一感はある。


ただ、テーブルターニングなんて一般人は知らない。

ほかの儀式はともかく、テーブルターニングを知ってるのはミズキみたいな作家志望者とか創作者とか雑学好きとか、創作物……とくにホラー作品がすきだったりとか、わざわざそういうことを好んで触れたり、調べる人間だ。


タチの悪さもだけど、ここまで拘ってることに、悪意と気持ち悪さを感じるんだ」


「…………」


「しかも、これ全部、他の誰かが加害者へ仕返しするためだけに広められてる。

そういう意味でも気持ち悪い。

自分の為だけの方法じゃないんだ。

これが二つ目の気持ち悪さ。


で、三つ目。

これらの方法を使って呼び出されていた、偽物の【クィリコ様】。

その正体は、おそらく海外からきた【冒険者】であること。

色んなサイトで考察やら、冒険者との繋がりや噂が書かれてて、そう結論づけられてた。

偽物クィリコ様は、海外からきた冒険者がクィリコ様へ変容させられた存在である可能性が高いってな。

じゃあなぜ、その冒険者はクィリコ様にさせられたのか??

この辺がまったくわからない。

不完全燃焼、というのかな。


わからないことばかりで、気持ち悪い」


「つまり、ハッキリさせたい、と?」


「んー、真相を知りたい、ってのが正直なところ。

でも、まさかわざわざほかの大陸に行くわけにもいあないじゃん?


まぁ、ちょっとモヤモヤは残るな、って話」


そこで二人はほぼ同時に、紅茶を口にした。

それで、この話は終わりのはずだった。


でも、終わらなかったのだ。


「許可とってきたよー!

西大陸に遊びに行こ!!」


ミズキが事も無げに、とても明るくそう、そして唐突にそんなことを言ってきたのである。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
謎が… ねぇ続きは?続きください!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ