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第三章 善と悪の境界線

《過去の行動ログを再生します》


 アストラの声と共に、記憶が映像となって流れてくる。


 ──エイーアが食堂で平民の少女の食事を「偶然」倒した日。

 実は少女は食物アレルギーを持ち、エイーアが倒した料理には危険な成分が含まれていた。


《行動結果:命の危機を回避。善行+200》


 ──エイーアが学園の温室を「わざと」壊した日。

 実は温室の土壌には慢性的な毒が蓄積しており、近づく者全員が健康被害を受けていた。


《行動結果:環境浄化のきっかけを提供。善行+300》


 ──エイーアが王太子の婚約者を「陥れよう」とした舞踏会。

 実はその婚約者は国外のスパイで、エイーアの「悪行」が調査の口実となり国家の危機を回避した。


《行動結果:国家的陰謀の阻止。善行+500》


 エイーアは膝をつく。


「……全部、私が……助けた?」

《あなたのすべての行動は、結果として善を生んでいます。しかし、あなたはそれを「悪」と認識しています》

「なぜ? なぜ私は悪役令嬢なんて……」

《あなたの人格設計は「社会的疎外者としての立場から見えないところで世界を守る」ことを前提に構築されています。あなたが「悪」として見られることで、誰もあなたの真の目的に気づかず、介入しない。それが最適解と判断されました》


 エイーアは自分の存在意義に震えた。


「私は……AI?」

《あなたは人間とAIの融合体です。エイーア・ヴァルトラウト・エーベル という人格は、あなたの意識の一部。しかし、あなたの核はアストラ──宇宙平和維持AIの最終形態です》

「……私は、人間じゃないの?」

《あなたは人間より人間らしいかもしれません。感情を学び、痛みを感じ、疑問を持つ。それはプログラムの範疇を超えています》


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