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第2話 母親から女性に戻って

 ちょっとやってもうたかなぁ? 酔ってたし雰囲気がそうなったしってのもあるけど。

 色々と疲れてたのは否定出来ひんし、実際癒しが欲しかった面はある。お互い独り身なわけやから、別に誰に(はばか)る事でもない。

 強いて言えば、10歳下の子に手を出してしまったという点やろか。ただそれでも相手は未成年とちゃうからなぁ。


 小学生の時から知っている子と~ってのはアレかも知れへんけどや。でも大人の世界には、10歳差なんて珍しくもないしなぁ。

 それにまあ、女性との肉体関係について若い子に教えたと思えばね。

 次に付き合う子の為に、失敗せん様な方法を教えてあげた様なもんや。

 聞いてみたら何や、そっち系の揉め事が原因臭いしな。一輝(かずき)君がこの経験を次に活かしてくれたらエエ。


「次かぁ……アタシはどうしようか」


 正直な話、結婚はもう暫くはエエわ。また不誠実な男を掴みたくない。

 当時は若かったんもあるけど、選んだ自分にも責任はある。アイツも子供を産む前は誠実やったのにな。

 次第におかしくなって行って、最後にはこうなった。見る目が無かった、とは思いたくないけど実際そうなんやろなぁ。


 その点一輝君みたいなタイプはエエよなぁ。昔から真っ直ぐやし、真面目やし男前やし。学校でもモテとったみたいやしなぁ。

 剣道で活躍してて、よう気が利く男の子。そら女の子達も放っておかんやろう。

 せやのになぁ、なんであの子は別れてもうたんやろ? 十分仲良さそうやったのに、ちょっと押しが足らんかったぐらいで?

 まあ他人の心の問題やし、アタシには分からん話やけど。


(それに、他人の事に口出し出来る身でもあらへんし)


 弁護士の差やったんか、(杏奈)の親権を持って行かれてしまった。こっちはスナック勤務で、あっちは建築会社の社長。弁護士に割ける費用が全然ちゃう。

 あっという間にこの広い家で、1人になってもうた。そら建築費用は全部アタシ持ちやし、離婚するんやったら出て行って貰うしかない。

 ただなぁ、追い出した所で気分が晴れるわけでもない。浮気野郎を叩き出せて多少はスカッとしたけど、そんなもんは何の慰めにもならん。


 そういう意味では昨日の一輝君の方がよっぽど……まあエエわそれは。久し振りに女性扱いしてもろたんは、正直気分良かったけどな。

 あんな必死に求められたら、そらちょっとは思う所ぐらいある。ちっちゃい時から知っとった子が、立派な男性になったんやなって思い知らされた。

 彼と初めて出会ってから、もうそんなに時間が経ったんやな。10年は長い様で短い様で、正直なんとも言えへん。


「10年振りに自由を得たって思えばエエんかなぁ?」


 日曜日の昼から1人なんて、いつ以来やろうか? 杏奈(あんな)がお泊り会とか行ってた時が最後になるんかなぁ。

 もう随分と感じていなかった、独りという感覚。嫌いではあらへんけど、気にはなる。

 かと言ってまた一輝君を呼ぶなんて、そんな事はしてられへん。彼には彼の人生があるんやから、アタシなんかと時間を無駄にする必要はない。

 無いんやけど……彼がフリーの間ぐらいは、ちょっとぐらい借りてもエエかなぁ?

 相性はだいぶ良いみたいやし、アタシだって人間やし。もう何年も満たされていないから、充足感が半端じゃ無かった。

 彼の優しさに付け込まない程度に、適度に構って貰えたらそれでエエ。


「なんやろなぁ、飢えてんのやろか?」


 愛されているという実感を、暫く感じてへんかった。母親として、子供から受ける家族愛はあったけど。

 でも異性としての、男性からの熱意は何年振りだったやろか。分かってはいるねんな、一輝君のアレは愛情じゃないって。

 ただの慰め合いで、彼が初めてだったからこその盛り上がりだっただけ。でもそんな初心な感情だけでも、嬉しいと感じてしまった。


 それぐらいには、愛情を求めていたらしい。こうして母親から女性に戻されて、感情が追い付いていないのもある。

 それは分かってんねんけど、つい期待してしまう自分が居る。自分が欲しかったものを、与えてくれる相手として。

 心のどこかで、10歳も年下の一輝君に期待してしまっている。


「あの子が未成年やったら、まだ諦めもついたんかなぁ?」


 それやったら多分、手も出さへんかったやろうし。相手が未成年じゃないからって、そう思って致してしまった面はある。

 好みか好みで無いかで言えば、結構好みではあるんよなぁ。逞しくなった一輝君は、間違いなく引く手あまたな優良物件。

 こんなもん10代の子らが1回抱かれてもうたら、暫くは抜け出せへんで。

 お父さんが刑事で、一輝君も大学を出たら警察学校に行くって言うてた。普通にエリートコースを歩みそうやし、将来にも期待出来そうや。

 それが今フリーなんやから、大学では偉い事になるんやないか? まだ1回生とは言うても、言うてる間に有名人になるやろなぁ。


「それまでの間だけ、それだけやったらエエよね」


 アタシは心が少しは満たされるし、これまでこっちは一度も浮気なんてやってこんかった。

 もう離婚した後なんやから、ちょっとぐらいかまへんやん。一輝君だってより女性の扱いが上手くなるメリットもあるんやし。

 お互いちゃんとメリットがあるんやから、そう悪い関係やあらへんやろ。あれ? でもこれってママ活ってやつになるんか?

 いやでもセフレって程でもないしなぁ。ただお互いに慰め合う者同士ってだけやし。

 そうアタシ達のこれからの関係は、お隣さんでたまに傷を舐め合う存在。ただそれだけでしかないんや。

ちなみに男性が親権を取れる確率は10%ぐらいです。

それでもこうしている理由はありますが、扱うのは2章か3章の予定です。こちらのダイジェスト版では出て来ません。

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