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怪談集め あなたの怖い話  作者: バナナ男さん


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21 絶対に案内しては駄目な場所 

これは高校生の時に、飲食店でバイトしている友人から聞いた話だ。


某有名ファミリーチェーン店でアルバイトしていた友人は、夕方から夜までの時間みっちりシフトに入っていた。

その間は夕飯時と重なるため、毎日かなり忙しかったらしく、いつも席待ちのお客さんで混雑していたそうだ。


「八番テーブルお願いしま〜す!」


「こっちはお水とおしぼり!今直ぐ持っていきま〜す!」


あっちこっちと走り回る勢いで働く友人と同じアルバイトやパートの人達。

あまりに忙しくて妙な連帯感が生まれ、職場の人間関係はだいぶ良好だったと言っていた。

そのため、山場を抜けて人がまばらになってきたら時、お喋りに花を咲かせるのがいつものバターンだったらしい。


「この間、凄く美味しいカフェを見つけて〜……。」


「知ってる〜!確か最近話題になってた場所だよね〜!」


その日も、いつも通りワイワイと和やかに喋れてとても楽しい時間を過ごしていた時……つい最近入ってきたばかりのアルバイトの女の子が、ある話題を出す。


「あの……。実はちょっと気になった事が一つあって……。

あの席って、何か問題でもあるんですか?」


その女の子が指を指したのは、トイレがある方角の1番端の席。

ちょうど向かい合って二人座れる席であった。

そこで友人は『そういえば……?』と気付いたらしい。


そこの席だけお客さんが座っているの見たことないなって。


「確かに……今更かよって思われるかもしれないけど、俺も使っているの見たことないかも。」


友人がそう言うと、他の人達も声を上げ始めた。


「そういえば……私も見たことないかも……?」


「てっきりクーラーの水でも漏れて使用禁止なんだと思ってた。」


「俺はトイレに近い席だから、クレームでもあったのかなって思ってました。」


各々がその事について思い出し、更に勝手に理由をつけて納得していたらしかった。

確かにトイレがすくそこの場所は、飲食店なら結構嫌かもしれない。

トイレに匂いとかしたら最悪だろうし……。


そのトイレに近い説は皆納得して頷いていたが、1番最年長のオバさんが何かを言おうかどうしようか考えている様に口を開け閉めしているのを、近くにいた友人が気付いた。


「あの……もしかして他に理由があるんですか?」


「────あっ!……えっと……その……。」


明らかに挙動不審な様子に、何か面白い理由が!?と全員が興味津々の目を向けたそうだ。

すると、オバさんは大きなため息をついた後、ポツポツと喋り始める。


「私が入った当初からあの席は誰も座らせない様にしていたのよ。

だから、私も当時不思議でねぇ……だから先輩に理由を尋ねたの。

そしたら『誰かが座っているから』と言われたわ。」


「は……?『誰かが座っている』……??」


意味不明な回答に全員が首を傾げていると、オバさんは続きを話し始めた。


「その先輩もそれを見たわけじゃないらしいんだけど、夜に店じまいしていると大抵の人が『あの席の所に一瞬影が見えた。』だの、『変な音がした。』だの言うようになったって。

そんで自称霊感があるっていうバイトの子が入った時は、『あの席、たまに誰か座っているのが見えます。』って言っていたらしいわ。

なんとなく気持ち悪くて、そこの席は使用禁止にしたんだって。」


「へ、へぇ〜……。」


結構なオカルトチックな理由に、全員がゾゾ〜……と背筋を凍らせたのだが、オバさんの話しは続く。


「でもね、いつもじゃないらしいのよ。

その自称霊感あるバイトさん曰く、フラッと来て、気がつけばいなかったり、また気がつけばいたりとかしているって。

だから『まるで繰り返しテープカセットの影像みたいに、同じ事を繰り返している気がする』とも言っていたらしいわ。

それを聞いて、先輩は死んだのに気づかず、日常の生活をずっと繰り返しているんじゃない?って言ってたけど……どちらにせよ、霊感がない私には全く分からないわねぇ〜。」


「あ〜……それはよく聞く話ですよね。死んだのに気づかず同じ行動を繰り返すって。」


オバさんはその席から出口へと繋がる道を指で指し示し、ニコッと笑った。


「ちょうとこのルートで入ってくるって言ってたわ。

……実は、私もね?昔、コレかな?っていうの、ちょっと見ちゃった事があるのよね。」


オバさんは恐怖に引きつるバイト仲間たちを見ながら、ブルッと震えてから両手を擦る。


「すっごく忙しかった夜、早歩きでお皿を下げていた時だったかな?

一瞬あの席に誰かが座っている様に見えたの。

多分女の人。

一瞬だったから自信はないけど……。水とおしぼり持っていかなきゃ!って慌ててその席を見たら誰もいなかったの。

他にも見えたって人がいてね、でも視線の真ん中で捉える事はできないのよねぇ……。

視界の端にちょっと映るだけ。

だから繊細な子は直ぐに辞めちゃうのよ、ココ。」


困った様にため息をつくそのおばちゃんに、友人はこう尋ねたそうだ。


「今も……見えたりする事はあるんですか……?」


そう尋ねると、そのおばちゃんはニコッと笑って答えてくれなかったらしい。


ちなみに、この話はもう十数年も前の話で、そのファミレスはもうなくなっている。

だから、あの繰り返しのお化けは、その後に建っている建物にも現れるのか、それがちょっと気になる。


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