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ほぼ実話&エッセイ あれこれ

いくぜっ!桜花賞 ~馬キチの夫×オタクの妻が一口馬主をやってみたら出資馬がGⅢを勝ちました~

 こんにちは。黒星★チーコです。

 いよいよ今週末、競馬のクラシックレース、桜花賞が開催されますね。

 今回の桜花賞、私は阪神競馬場へ生で観戦しに行く予定です。なお、関東から日帰りの強行軍です。(偶然にも大阪万博の初日と桜花賞の日がかぶってしまったせいか、大阪のホテル代が高騰しており、前日からの泊りは諦めました……)


 ここで「あれ? 生で観戦するほど黒星★って競馬が好きだっけ?」と思われた人がいらしたらすごい。そうです。夫は馬キチですが、私はそこまでじゃありません。

 じゃあ何故かというと、実は一口馬主で出資していた馬が桜花賞に出場する予定なのです!!

 これ、めちゃくちゃすごい事なんです。一生に一度のチャンスと言っても過言ではありません。


 一口馬主を知らない方のために簡単に説明しますと。

 JRA(日本中央競馬会)で馬主になるにはかなりのハードルがあります。まあいろいろ条件があるらしいのですが、一番のネックはお金です。とっても安い馬でも一頭500万円くらいしますし、ぶっちゃけ500万円の馬ではほとんど勝てないでしょうから(地方競馬に行くなら別かもしれませんが)おそらくまるっと赤字です。我々一般庶民からすると500万円の赤字なんて簡単には飲み込めない数字ですよね。


 でも馬が好き! 馬主気分を味わいたい! という方のためにリスクとリターンを按分したのが一口馬主というシステムです。一頭の馬にかかるコストを口数で割り、その馬がレースで勝った時の賞金も同じく口数で分配します。

 一口馬主の会社は複数ありますから、口数が少なめで出資額が高額(その分、勝てば戻ってくる賞金も多い)のところもあれば、口数が多くてローリスクローリターンなところもあり、様々です。

 前者の例でいえば、S社のリバティアイランド号の募集口数はたったの40口で、一口100万円だったとか! ひょえええ。

 私たち夫婦が今出資している馬は、確か3000万の馬で500口の募集だったので、一口6万円だったかと思います。


 ここで先に断っておきたいことがあります。出資した馬が勝つと賞金を分配されるという特性上、一口馬主は「投資」の形をとっています。が、これを本当に儲かる投資と捉えている人はとても少ないだろう、むしろアイドルなどの推し活に近い趣味だな、と私は考えています。

 なぜなら出資してプラスになる人は、本当に本当に一握りだからです。


 まず出資した馬が出資分の賞金を稼いでくるかも未知数なのですが、それ以外の要素もあります。

 株や金銀などと違い、馬は生き物です。生きるためには食べないといけないのです。そう、一口馬主になると毎月「飼い葉代」が徴収されます(笑)。

 この飼い葉代も500口で割ってますから、数千円なんですけどね。地味に痛い出費です。そのほかに一口馬主のクラブの会員費もかかります。

 最初の出資額+毎月のランニングコストを全部回収するためには、出資馬に相当勝ってもらわないと……できれば3勝。最低でも1勝して、あとは三着以内を何回も繰り返すとかしないと厳しいな、というのが私の感想です。


 まあ、だいたい儲からないだろうなと事前に予想がついていたし、馬に詳しい夫も「お金がプラスになるのは厳しいと思う……でも知人に誘われたし、馬主仲間の縁ができそうだしやってみたい」と言ってたので、うちは何度も夫婦で話し合った末に以下の条件で一口馬主を始めました。


 ①一口10万円とかはとても出せないので、一番下(3~4万円)か、その次(5~7万円)ランクの馬に絞って出資すること

 ②出資は2年に一頭だけにすること


 これ、一口馬主を知ってる人からすると②の条件はかなり厳しいと思います。ふつうは1年に数頭、すごい人だと毎年10頭くらい出資してるみたいです。(わー、お金持ち!!)

 ただ、2年に一頭に絞ることで、(出資馬が故障などでよほど早く引退しなければ)現役馬はほぼずっと一頭状態になるので飼い葉代も一頭分で済む期間が長いですし、その一頭を集中して応援できますし、一口馬主をやってるってステータスは維持できるんですよね。

 お金持ちではなく中流一般家庭のうちが、車も持たずスマホも滅多に買い換えないケチケチ生活の中、限られたちょっとリッチな趣味として楽しむために考え出した方法です。

 まあ、他の馬主さんからしたら「なんて貧乏くさい!」と笑われそうですけども(笑)


 さて、そんな貧乏くさい方法で10年ほど前から始めた一口馬主ですが、今まで出資してきた馬は四頭。結果はまあまあ成功しているほうじゃないでしょうか。(トータルではマイナスですけど)


 一頭目は2勝(可愛い子でした!)

 二頭目は2勝(未勝利で勝った後、なかなか勝てなくて障害競争に転向し、1勝したあと引退)

 三頭目は2戦して2戦とも惨敗し、0勝のまま不調で引退(大赤字!!)

 そして四頭目が、今回桜花賞に参加予定のエンブロイダリー号になります。すでに3勝、そのうちの一勝は2月に行われた重賞GⅢ(ジースリー)のクイーンカップの優勝です。


 実はこのエンブロイダリーを選んだのは私なのです!!(えっへん)

 馬についてはあまり知識のない私ですが、じゃあなぜこの仔を選んだのか。それはこの仔のお母さん、お祖母さんが理由です。


 この仔のお母さんはロッテンマイヤー号と言います。私はこの馬の現役時代を覚えていました。なぜならロッテンマイヤーのお母さん(エンブロイダリーのお祖母さん)がアーデルハイト号だったから。

 はい。これで気が付いた人は私と同じオタクですね(握手!!)


 競走馬の名前は、その親馬に関連付けて名前を付けるパターンが結構あるのです。アーデルハイトのお母さんはビワハイジ号。(※かつて最強牝馬と謳われたブエナビスタのお母さんだったりします)

 このビワハイジの「ハイジ」から、「アルプスの少女ハイジ」の本名であるアーデルハイトの名前をつけたのだと思われるのですが、このアーデルハイト号から生まれた子は、ほとんどがアルプスやハイジ繋がりの名前をつけられたんです。ロッテンマイヤーもそのひとつですね(※アーデルハイトからロッテンマイヤーが、更にロッテンマイヤーからゼーゼマンが生まれてるのはおかしいというツッコミがあると思いますが、勘弁してください・笑)


 そんなわけでまあまあ活躍していたロッテンマイヤーさん(※何故か「さん」付けしたくなる不思議)をハッキリ覚えていた私は約2年前、一口募集のカタログを見ていて彼女の子供がそこにいると知りました。


「ロッテンマイヤーさんの子供じゃん!! この仔にしよ!!」


 今まで夫がどの馬に出資するか迷った時に私が口出しすることはあっても、自分から強くこれが良いと言う事はなかったので夫も驚いてはいましたが、かなり躊躇していました。


「うーん、ブエナビスタの遠戚だし……いいとは思うんだけど……」


 実は夫は別の馬に申し込みをする気でいました。2年に一頭しか選べない立場での厳選ですからね。そりゃあ自分の気に入った仔にしたいでしょう。

 じゃあなぜロッテンマイヤーさんの子供になったのか。

 馬キチの夫は私よりずっと馬を見る目があります。彼が良いと思った馬は、当然他の人の目にも良く映るわけで。彼が目を付けた仔馬は大人気すぎたのです。

 確か、500口の募集に対して1000人近い申し込みが締め切りより前の段階で確定していたかと思います。


 応募が殺到した場合抽選です。抽選も一筋縄ではなく、抽選優先権のグループと一般応募のグループで分けて抽選してくれるのですが、抽選優先権を行使しても外れる時は外れます。

 外れた場合、募集が全口埋まらなかった他の馬を申し込む(埋まらないほど人気がないという事は、当然その馬の活躍の期待度も下がるわけで……)か、その年の出資を諦めるしかありません。


 2年に一頭しか申し込めないという厳しい我が家ルール(笑)により、抽選に外れると悲惨な事になります。夫は自分の運の良さを差し引いても大人気馬に賭けるのは危険だと判断したわけです。


「うん、ロッテンマイヤーの2022(※この時はまだ名前がついていません)なら、多分抽選に外れないと思うからこっちで申し込む」

「やったー!!」


 そんなわけで私の希望は無事叶えられました。

 余談ですが、夫が申し込もうとしていた大人気馬は、現時点ではエンブロイダリー号に比べるとそれほど活躍していません(大器晩成型かもしれませんから、まだまだわかりませんけどね)。

 馬主の怖いところはこれです。どんなに良血馬(お高い!)でも、どんなに仔馬の時に走りそうに見えても、いざレースに出してみたらそうでもない……というのがちょくちょくあるのです。とほほ。


 閑話休題。

 その後、エンブロイダリーという素敵な名前を付けてもらったロッテンマイヤーさんの仔。

 エンブロイダリーって「刺繍」って意味なんですって。ロッテンマイヤーさんが刺繍をするシーンから連想したのかもしれません。名前は出資者から募集した中からクラブが選ぶシステムなので、考えた人グッジョブです。私はいい名前を思いつけませんでした。


 彼女は一番最初のレースの新馬戦は惜しくも2着。その後もサフラン賞というレースを取りこぼしたりはしていますが、わりと順調に3勝してくれました。次はいよいよ桜花賞にチャレンジです。


 二度とないかもしれないチャンス(なにせ、2年に一頭だけなので・笑)ですから、本当に本当に勝ってほしい! と心から思っています。が、一番の願いは無事にレースを走ってくれることです。

 有名な言葉「無事これ名馬」ってほんとだなーとつくづく思います。出資馬の三頭目が残念なことになってからは尚更そう思うようになりました。元気ならまた別のレースにチャレンジできますからね。


 もしよかったら、皆さんもエンブロイダリー号を応援してくれると嬉しいです!

 それでは阪神競馬場に行ってきまーす!!


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