【4日目】〜【6日目】
【4日目】
早朝、約束の場所に着くと依頼主ともう一人いた。
依頼主の奥さんだった。
彼女も一緒に行くのを伝え忘れていたと依頼主に謝られた。
それは構わないのだけど、多分依頼主強い気がするし夫婦水入らずにオレはすごく邪魔だと思った。
護衛料が欲しかったから言わなかったが。
依頼主の奥さんは依頼主がオレに謝っている間も終始にこやかな朗らかな美人さんという感じの人だった。
名前はセフィリアさんと言うらしい。
依頼主はレイドさんと言うそうだ。
俺もウェノですと名乗った。
この世界の名前の感覚が未だに掴めない。
移動は終始順調だった。
賊も出ないし危険な野獣も魔獣も出なかった。
それらが出なくなったから冒険者の仕事が無くなったことを思うといささか複雑な気持ちになったが、今日はそのおかげで労せず報酬がもらえるので気にしないことにした。
夜はオレが寝ずの番、依頼主夫婦はテントでゆっくり…と思っていたがローテーションで行うことになった。
流石に申し訳ないと断ろうと思ったが無理だった。
セフィリアさんとても恐かった。
怒っているとかではないがとてもとても恐かった。
レイドさんこっちから目を逸らしていた。
お言葉に甘えて大人しく日記を書いて寝る。
【5日目】
予定通り、昼過ぎに町に到着した。
これが物語の世界なら途中一悶着あったのかもしれないが特別なことは何一つなかった。強いて言うならお裾分けしてもらったサンドイッチがすごく美味しかったくらいだ。
現実万歳。
町に着くと依頼人夫妻とはすぐに別れた。
数日したら冒険者組合の方に日記を見に来ると言われた。
その数日の間、オレはちゃんと仕事にありつけるのか不安ではあったがそれはこっちの問題だ。
前の町よりも活気に溢れている分仕事もあって欲しいがひとまず明日に期待だ。
当面の拠点に選んだ宿屋の食事が美味しかった。
【6日目】
仕事があった!
当日限りのバイト的な依頼ではあったがいくつか仕事があった!
前の町では比喩ではなく子供にお手伝いしてもらうための名目上の依頼しか無かったがこの町にはちゃんと仕事があった!
決して割の良い仕事とは言えなかったが、この日記を書いている分と合わせればまずまずの金額になった。
もう少しと思わないではないが、ちょっと前の状況を思えば欲を出すには早すぎる。
今は貯えられる限り貯えながら次の段取りを考えていきたい。