【1日目】〜【3日目】
【1日目】
今日から日記を書くことになった。
正確に言えば日記を書く仕事を始めた。
これを仕事と呼ぶのかというレベルのあからさまに怪しい仕事だが財布が餓死しかけているオレに受けないという選択肢は無い。
…依頼主への悪口を含め何を書いても良いと言われているがこんなことを書いても良いのだろうか?
報酬は一定期間分を前金でもらっているから最悪今期分しかもらえなくてもオレは損しないが…
しかし、正直助かった。
去年の冬の終わりから目に見えて冒険者としての仕事が減り、同業者が減り、遂には組合の窓口まで大幅に減りだして転職も難しいオレは途方に暮れるしかなかったから、本当に助かった。
定期収入最高!
とはいえこの仕事だけで食っていけるという程の収入でもないので明日も普通の依頼を探さなければ。
仕事、あるかなぁ…?
【2日目】
仕事、無かった…
朝一から冒険者組合に仕事を探しに行ったけどダメだった。
ただ、何故かこの日記の依頼主が今日も食堂スペースにいたので昨日の日記を確認してもらった。
あれで良いらしい。
良かった。
しかし、この依頼主は何者なのだろうか?
オレもそんなに長くこの町に滞在しているわけではないけど、多分この町の住人ではないと思う。
雰囲気から冒険者か元冒険者かとも思うが記憶には無い。
興味がなくて覚えてないとか遠方から来てるのから覚えがないのかもしれないが、わからん。
依頼人相手に用を済ませた後は食堂エリアの責任者に頼み込んで手伝いをさせてもらった。
お駄賃をとまかないゲット。
明日こそ…
【3日目】
この町を出よう!
いや本当に仕事が無い。
発生する気配もない。
前に滞在していた町よりも大きな町なので仕事もそれなりにと思ったがダメだ。
自警団やその他の組合がちゃんと仕事しているから冒険者が入り込む余地がほぼ無い。
最初に来た頃はまだ少しはあったが今はもうダメだ。
良いことだがオレにとっては良くないことだ。
このことを日記の依頼主に伝えた。
オッケーだった。
むしろ仕事が無いしか書いてない日記になるかと思っていたから良かったとすら言われた。
優しいのかひどいのか判断に困った。
せっかくなので次はどこに行くかの相談もしてみた。
定期的に書いた日記を見せる必要があるから行き先を伝えるついでだ。
「…多分、この町、とか?」
苦渋の決断みたいな声色で少し離れた町を勧めてきた。
この場合は勧めてきたという表現で良いのだろうか?
急な体調不良とかでも無さそうだったが。
依頼主曰く所用でその町に行くから良かったら一緒にとのことだった。
今のご時世的に必要無い可能性も高いが護衛として報酬も出してくれると言われた。
「神か!?」
思わずそう叫んだ瞬間依頼主の眉間の皺がすごいことになったので即座に謝った。
気に触ったがオレの責任ではないと言われた。
崇められたくないタイプの人だったらしい。
出発は明日の朝、順調に進んでも2日はかかる距離なので色々と準備を整えて今日は早く寝る。
夕食分浮かそう。