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82草

前回のあらすじ「ココリスがヌルヌルに!」


*次回の投稿は1月9日になります。一足早いですが、良いお年を!

―「モゴ湖・南側 湖の近く」―


「何よこれ……ヌルヌルして気持ち悪い……」


そう言って、体中に付いたヌルヌルを拭うココリス。しかし、拭った箇所から新たな粘液が生み出されていく。どうやら、この粘液はココリスの体から作り出されているようだ


「ココリス! 衣服が!」


「安心して、透ける材質じゃ無いから……焦るような」


いや、焦った方がいいだろう。何せ動く度に、衣服が脱げていくのだから。しっかり結んでいた革製の鎧の紐はほどけ、その下に来ている服のボタンもどんどん外れていく。この調子だと中の下着も脱げているはず……その証拠に、天使の小窓から生乳が……。


「(やったぜ!)」


と、心の中で叫ぶ。獣化に肥満化とかなりニッチな性癖ばかりだったが……ようやく、俺好みのが来た!全身ローションまみれのエルフ美女のあられもない姿……サイコーだろうって!!


「服が脱げてきてるから!」


「あ、あれ……。衣服が掴めない? 触ると滑って……」


ココリスの衣服がどんどん脱げていく。こう全裸じゃなく、脱ぎかけっていうのが……余計に刺さる。


そして、それを間近で観察出来るなんて……しっかり脳内に記録しないと……まあ、草に脳なんて無いけど。


(ラボトリーがレベルアップしました。新アビリティである録画を使用しますか? ちなみに、最初から録画出来ますが……)


「(今すぐ……高画質で頼む!)」


何と素晴らしい機能が付いたのだろう! こんな世界だから、そこら辺はすっかり諦めたつもりだったのに……! ありがとう神様ー!!


(どういたしまして)


「(いや!? アビリティ扱いなんだから返答するなよ!?)」


もはや、隠す気が無いのか? その内、本当に喋ってくるパターンじゃないのかこれは?


「ウィード!」


「衣服が掴めないなら、覆うしかないか?」


俺は努めて冷静に、ここ最近大活躍の大きめの布を収納から取り出す。夜中にせっせと洗濯しておいて良かったな。


「そうしたら、ココリスにはこれを被ってもらって……」


「ココリスさんから粘液が生み出されているみたいですね」


「これってヌルットードの特性だよな。ディプライブは他者のバフ・デバフ効果を奪って、自分が使うアビリティってところか」


「これはデバフかな?」


「確かに、衣服がヌルヌルになって、脱げていくのは一見するとこちらにメリットが無いように見える。だが、衣服を着ないヌルットードからしたら、物理攻撃を防ぎ、火属性魔法の攻撃を軽減する最高の鎧だろう?」


「じゃあ……バフ効果なのか」


「……そうみたい。一応、ステータス画面に、超潤い肌っていうバフ効果が付いているもの……あ、消えた」


「効果は5分程か。今回は相手が悪かったが、対人なら強力なアビリティになりそうだな。まさか、自身が不利になるようなアビリティを好き好んで使わないだろうしな」


  相手の能力に合わせて、そんな対策を取る奴もいるかもしれないが……それを見破られて、ディプライブを使われなかったら、自分の首を締めるかもしれない。可能性は少ないだろうな。


「デメリットはデバフ効果も奪ってしまうでしょうか。奪うアビリティを選べれば、良かったのですが」


「闇魔法に、そんな上手い話は無いってことね……それにしても……どうしよう。全部脱げちゃたんだけど」


  ココリスがさらに強く布を掴み、布が落ちないようにしている。あの布の下には、ヌルヌル状態で素肌を晒したココリスの裸体が……想像が捗るな。


「一番手っ取り早いのは、洗い落とすだろうだな」


「そうしたら……」


 ココリスが土魔法を使って、自身を隠す壁を即席で作る。唯一、壁で隠さなかったところは、自身を覆っていた布で隠す。


「ウィード! 上から水を流してくれないかしら?」


「お湯にも出来るぞ!」


「じゃあ、そっちで!」


俺は火魔法と水魔法の両方を使って、土の壁の上から、中にいるココリスに向けてお湯を降らせるのであった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―30分後―


「初戦の相手を間違えたわ」


新しい服に着替え、濡れた髪をタオルで拭きながら、今回の反省を述べるココリス。そうしたら、これを言わざるを得ないだろう。


「フラグ回収乙(www)」


「何か馬鹿にしなかったかしら?」


「大真面目に……由緒、正しい返し方をしたぞ?」


「そう? それならいいけど……」


間違ったことは言っていない。腹を抱えて笑ってしまうような、見事なフラグ回収だったのだ。こう言わなければ失礼だろう。


「髪を乾かすね」


そう言って、ドルチェが風魔法を使って、ココリスの髪を乾かし始める。


「むしろ、あれが初戦で良かっただろう。デバフも奪えて、本人の意思関係なく即時発動なんて分かったしな」


「それも……そうね」


「ふう~……終わりました」


そこに、先ほど出現したヌルットードの群れを、マンドレイク達と倒しに行っていたモカレートが帰って来た。


「迷惑掛けて、悪いわね」


「いえいえ、今の私達でどれだけ戦えるのかを試したかったので問題無いですよ」


「それで、どうだった?」


「余裕ですね。それと魔力タンクは肥満薬にも有効でしたよ」


モカレートがそう言った瞬間に、その顔が少し丸くなる。衣服も少しばかり窮屈そうだ。どうやら魔力タンクの貯蔵可能時間を越えてしまったみたいだな。


「肥満薬を飲んで、強力な魔法を連発したら、あっという間に終わりましたよ」


「おお。それは凄いな! そうしたら、ドルチェが使えば強力な回復魔法が連発して使えるな」


「でも、余ったら……太るんですよね」


そう言って、モカレートを見るドルチェ。しかし、そのモカレートはすっかり元の姿に戻っている。


「肥満薬が量で時間調整出来る物で助かりました。上手に使えば、こうやってすぐに戻りますから」


「ここぞという時に使えば問題無いかしら」


「そうかな……」


そう言って、魔法を使うのを止めるドルチェ。いつの間にか、ココリスの髪は乾いていた。ココリスも自分の髪を触って感触を確かめる。どうやら、納得のいく乾き具合のようだ。


「さて、遅れを取り戻さないといけないわね」


「まずは、モカレート達が倒したヌルットードの回収だね」


「そうしたら、案内しますね。今、んーちゃんが見張ってますので」


「そうしたら、早速行こうぜ。また、一雨来そうだしな」


この後、特に問題も無く狩りを続ける俺達。しばらくしたら、こことは違う他の狩場に移動して、そこでヌルットードを狩る。しばらくの間は、それをひたすら繰り返す日々が続くものだと……その時は思っていたのであった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―およそ3週間後「別の狩場近くの宿場町・宿屋 食堂」―


「お疲れ様でした!」


ココリスの掛け声に合わせて、コップを触れ合わせてから中の酒を飲む3人。その下では、マンドレイクたちが同じ真似をしてから、中の水を飲み干した。


他のテーブルに目を向けると、俺達以外の冒険者パーティーも酒盛りをしていたりするので、迷惑にはならなそうだ。


「これで3箇所。後1ヶ所行ったら狩りも終了ね」


「予想よりも、遥かに速いペースで目標をクリアしてるので、ここで終わりにしてもいいですが……研究用に欲しいですね」


「その意見に同意だ。ヌルットードの効果を更に上げる方法も調べたいしな」


「何か案があるのかしら?」


「今は無いな。それよりも新薬を作れないか、その方に力を注いでいたからな」


「新薬は出来たの?」


「……出来た。完璧な品がな」


ヌルットードを初めて狩ってから、およそ半月、試行錯誤を重ね遂に出来た一品。後は試してもらえれば……。


「どんな品なの?」


「単純にヌルヌルするだけの液体だ。多少だが美肌効果があり、しかも無毒で簡単に洗い流せる。完璧な品だ」


「ヌルヌルするって……そんなの何に使えるのよ」


「私も気になっていたんですけど……教えてくれませんでしたよね?」


「ああ。何せ……娼館でニャンニャンするのに使う品だからな!」


俺が元気よく言い切ると、3人が盛大に飲んでいた酒を吹き出す。まさか、俺がこんなノリノリで話すとは思っていなかったのだろう。


「あんた……わざとでしょ!?」


「タイミングバッチリだったな」


「どうして、そんな物を……」


「元の世界でもあった品だからな。絶対に売れると思っていた。後は、そこに追加効果として美肌効果、使用後の洗濯がしやすいように水溶性。仮に放置しても勝手に気化して、後が残らないようにした……しかも、獣化薬や肥満薬を使用していても使える! くくくっ! どれだけの儲けが出るのか楽しみで待ち遠しいな!」


「全く、あなたと来たら……大金を稼いで、何が目的なの?」


「それはな……」


「た、大変だーー!」


食堂に、大声で叫びながら男が入ってきた。あの様子だとかなり大変なことが起きたみたいだが……。


「どうしたんだい? 一体何が……」


「ば、化け物が現れたんだ!!」


その男の言葉に、俺達は互いに目を合わせる。どうやら、面倒ごとが舞い込んできたようだ。


「どうする? 何もせずに放置するか?」


「そんな訳にはいかないでしょ」


「とりあえず、静かに依頼内容を聞いてからにしようか」


一先ず、ドルチェの提案に乗って、その話の詳細を静かに聞くのであった。

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