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81草

前回のあらすじ「いい肉の日祭り終了」


※「MPタンク」→「魔力タンク」に変更しました。


※パソコン故障のため、スマホでの作成になります。その為、いつもの書式とは違う箇所があると思いますがご了承下さい。また慣れない機器での作成の為、しばらくの間、投稿が遅れたり休稿する恐れがありますので、ご注意下さい。

―その日の夜「モゴ湖から近い宿場町・宿屋」―


「はあ~……今日は色んな意味で疲れたわ……」


「だね……」


 ドルチェ、ココリス、モカレートの3人がベットに座ったまま盛大にため息を吐く。あの後、無事に元の痩せた体に戻った3人は、昨日と同じ作業をこなし、後は寝るだけのところで今日の反省会を行っている。


「ソウルドレインって強力だけど、やっぱり太るのがネックよね」


「太り過ぎると、分け与えられた側が動けなくなるのを利用するのも手ですが……なかなか難しそうですね」


「そうね……1匹に対して使用して、数をこなしていった方が良さそうね」


「それで……ウィード。後、どのくらいかとか分かる?」


「それは……」


(後、3回ほどで習得出来ます)


「え? そうなの?」


(はい。想像以上の激太りのため、回数が減っています)


「マジか?」


「あなたのアビリティは何て言ってるの?」


「後3回だそうだ。今日のハプニングのせいで、大幅に短縮されるらしい」


「無駄にならなくて良かったですね……でも、どんなアビリティが手に入るんでしょうかね?」


 ベッドに座っていたモカレートが、その太ももの上で寛いでいたマンドレイクを撫でながら訊いてくる。何か太ももの感触を堪能するかのように、その上で何度も寝転がっているような気がするのは……気のせいだよな?


 羨ましい……その光景を気にしつつ、しっかり考える俺。肥満化は状態異常だから、それに対する耐性アビリティが手に入ると考えるのが当然なのかもしれない。


「太って、痩せて……それをひたすら繰り返す。やっぱり、魔力タンクかしら」


「ココリスもそう思うか。やっぱり、耐性が付くっていうのが普通だよな」


「闇魔法はどうなるのかしら?」


「うーん……別の何かを奪えるようになるとか? それこそ、ウィードが前に話した敵の若さを奪うとか」


「変わりに歳を取るのかしら……」


「かもな。まあ、実際に明日には分かるんだ。楽しみに待つんだな」


「他人事だと思って……」


「人じゃなくて、今は草だからな。他種族事だな」


「はいはい」


 俺の主張を軽く流すココリスなのであった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―翌日「モゴ湖・南側 湖の近く」―


「ふーう……これで3回ね」


 くびれが戻ったお腹回りを触りながら話すココリス。昨日のようなミスを犯さないために、慎重にやっていたので、たった3回をこなすのにお昼頃になってしまった。


「で、肝心のアビリティは……」


「あ、増えてる!」


 ココリスが確かめる前に、確かめ終えたドルチェが声を上げる。


「アビリティがレベルアップしてる! 貯めておく時間と量が増えたよ!」


「私もです!」


 2人がアビリティのレベルアップに喜んでいる。魔力タンク……魔法メインで戦う2人にあったアビリティだ。もしかしたら、かなり強力かもしれない。


「魔力タンク……無いわね」


「「「え?」」」


 自分のステータスを確認していたココリスが呟く。同じ目に遭っているのに、どうして覚えていないのだろう? もしかして、戦闘スタイルで変わるのか?


「その代わりに、黒魔法と身体強化で1つずつ新しいアビリティを覚えたわ」


「それなら、身体強化から教えてくれ。闇魔法は色々不味そうだしな」


「それは……」


「待って! モンスター捕捉した! あっちからこっちに来てる!」


 そう言ってドルチェが指差す方向には、湖の淵を跳び跳ねながら、こちらへと近づくヌルットードの群れの姿が見えた。


「それなら、あいつらに新しいアビリティをかましてくるわ!」


 ココリスが槍を手に持って、ヌルットードへと向かっていく。このまま、槍で攻撃するのかと思ったら、途中にある太い木の枝へと飛び移る。さらに、そこから上へと飛び跳ねる。


「大ケガしちゃうよ!」


「なるほど。それが新アビリティの発動条件か」


 高く飛ぶなんて、今回のモンスター相手なら意味がないはずだ。


 となると、この行為は新アビリティを発動させるのに必要な条件なのだろう。


「リバウンド!」


 地面に着地する直前にアビリティ名を宣言するココリス。すると、ココリスは着地すると同時にヌルットードに向かって、吹っ飛んでいった。


「ゲコーー!?」


 槍を前に突き出したココリスがヌルットードの群れにぶつかると、ヌルットード達は悲鳴を上げると同時に、弾け飛んでしまった。


「跡形も無く、弾け飛んでしまいましたね……」


「いや、痕跡は残りまくりだぞ? ほら、あの木に、ヌルットードの肉片が……」


「言わなくても、分かってるから……」


 ドルチェに言われ、指摘するのを止める俺。そして、俺達は戦闘が終わって、その場で槍を振っているココリスと合流する。


「今のが新しいアビリティなの?」


「そうよ。名前はリバウンド。高い位置から落ちた際に、自身への落下ダメージを無効化。自身が喰らうはずだった落下ダメージは次の物理攻撃に上乗せ出来るアビリティよ。ただし、落下直後にすぐさま攻撃を繰り出さないと、ダメージが戻って来てしまうから貯める事は出来ないわ」


「かなり強力なアビリティですね……攻撃は敵に当てる必要が無いなら、単純に落下によるケガ防止に使えそうですね」


「ココリスは槍の物理攻撃が得意だから、魔力タンクじゃなかったのかな?」


「そうかもしれないわね」


 3人が取得したアビリティについて話し込み始める。一方、俺はこのアビリティのネーミングセンスに色々、言いたいことがあった。


 リバウンド……効果で見るなら、ボールが跳ね返った様子の事を指しているのだろう。しかし、取得条件から見ると、ダイエットの失敗を指しているに違いない。


(取得条件が、足にかなりの負担が掛かっている状態で、走ったり、跳んだりすること……全身の脂肪で重くなった体を身体強化で無理矢理動かしてたもんな……ダイエットの為に、激しい運動をしたぽっちゃりさんなら取得できるんだろうな……)


「ウィード? どうだったかしら?」


「ああ、良かったぞ。モカレートの言う通り落下防止だけとしても使えそうだしな。それで、もう1つは?」


「それなんだけど……ディプライブ。相手の能力を奪い取る効果よ」


「能力を奪い取る……対価は?」


「何も書いてないわ。ただ、それだけ」


 ディプライブ……必要な物や楽しみ与える物を奪う。そして、使用しないようにするという2つの意味がある。


「……敵の能力を奪い、敵の能力を無効化。そして、一定時間その能力を使用出来る……そんな所か」


「能力って、何でしょうかね?」


「そこなんだよな……他人のアビリティを奪うなら、このアビリティを作った神様もそう書けばいいしな」


「じゃあ……一体、何を奪うのかしら?」


「分からん。とりあえず、試してみるしか無いだろうな」


「それもそうね。とりあえず、これで太る必要が無くなったのは嬉しいわね。やっぱり、この体型が一番だわ」


「いい笑顔するな。そんな事を言ってるとフラグが立つぞ」


「旗が立って、何かあるの?」


「言ってるそばから痛い目に遭う。というのを、言い換えただけだ」


「そうならないように、気を付けるわよ」


 やれやれと言いたげな表情をするココリス。絶対に何か起きそうなんだけどな……特にディプライブという新しいアビリティが……。


「また、来たよ!」


 再度、現れるヌルットードの群れ。先程と同じように湖の淵を飛び跳ねて、こちらへと向かってくる。


「そうしたら、早速いくわよ!」


 あ、きっとここでやらかすと思った俺は、ドルチェに頼んで、ココリスの後を追い掛けてもらう。


「ディプライブ!」


 ココリスが前に出した手から黒い靄が噴射され、それはヌルットードの群れに直撃する。すると、前にいたココリスが手に持っていた槍を落とし、その場で転倒してしまった。


「ココリス!?」


「ほら! 俺の言った通りじゃん! ドルチェ、ココリスの前に出てくれ!」


「うん!」


 ドルチェがココリスの前に立つ。黒い靄で姿がまだ見えないが……。


「問題ないな。サウンド・キャノン!」


 音の衝撃波で黒い靄を吹き飛ばしつつ、中にいるヌルットードに攻撃。黒い靄が無くなって倒れていたヌルットードが視認出来た所で、ウォーター・カッターで全員を仕留める。


「コ、ココリスさん!? 大丈夫ですか!?」


 俺のすぐ後ろで、モカレートの驚きの声が上がる。俺もそちらを見ると、先ほど倒れていたココリスが座り込んでいた。


「どうしたのココリス!? びしょ濡れだよ!?」


 ドルチェの言う通りで、全身がいつの間にかびしょ濡れになっている。


「どうして、こんなに……あ、あれ?」


 ココリスに触れようとしたドルチェの手がスルッと滑った。どうやら、ただの水では無いようだ。


「まさか、この水って……」


「……ヌルットードの粘液だな」


 俺は心の中で、フラグ回収乙www と言っておくのであった。

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