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50草

前回のあらすじ「ボス撃破!!」

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

ステータス画面


名前:ウィード

種族:草(w)


Lv:47

HP:10

MP:880

ATK:1

DEF:1

INT:458

MID:375

AGI:0

DEX:845

LUK:EX


通常アビリティ

光合成Lv4、成長促進Lv4、水魔法Lv5

念話MAX、精神耐性Lv3

火魔法MAX、火耐性MAX

音魔法MAX、混乱耐性MAX


特殊アビリティ

言語理解MAX、インビジブルMAX、ラボトリーLv1


称号

異世界転生草、イグニス、ラーナ


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―「エポメノの崩壊した塔・屋上 ボス部屋前」―


「なるほど……毒魔法に回復薬、収納、調合、ログのアビリティが消えて一つに統一されているな」


「火、水、土、風魔法を覚えると、そんな事が起きる事は知っていたけど……ラボトリーなんてアビリティは初めて聞いたわ」


「そうか……しかし、これだけの機能を兼ねているのに、Lv1か……大丈夫かこれ?」


 複数のアビリティを統括して、さらにバージョンアップしたラボトリー。しかもLv1なのでまだ強化が可能ということだ。調整不足とか心配するんだが……?


「でも、これを強化したら不味くない万能薬も出来るかもな」


「ぜひ、それは用意して欲しいわ。他の冒険者からしても喉から手が出るほど欲しいでしょうし」


「とりあえず……他の項目でおもし…変わった所が無いか……」


「今、面白い。って言いそうになっていなかったかしら?」


「気にするな……お」


「どうしたの?」


「いや……気にするな」


 かなり面白い項目を見つけたので、再確認する俺。これは上手に使えばなかなか便利そうなアビリティである。さっそく……。


「採れたよ!大量大量!!」


 ドルチェとヴィヨレが大きな袋に入った神緑の葉に指を差して喜んでいる。


「……精密鑑定の結果も問題無さそうだな。後は持ち帰るだけだ」


 俺はそれを収納する。収納もラボトリー統合されていたが……機能は変わっていないか。


「それで、この後はどうする?」


「フォービスケッツの皆と合流して……その後は別の場所で考えましょうか。ああ、それと手に入ったと悟られないように残念な顔をしてよね?」


「はい!」


 ボス部屋の出口に向かって歩く俺達。ふと、ものすごい音がしのたので皆が後ろを見ると、俺が崩した壁が自動修復されていた。


「なるほど……ボスが再度現れるように、壁も直るのか」


「でも、こんな早く直るんだね……私達も始めて知ったよ」


 そんな出来事に驚きつつ、俺達はボス部屋から出る……。


「さて……これが見えたら大人しくそこから出て来てもらおうか?」


「くっ!」


 扉を開けるとそこにはフォービスケッツのメンバー以外にも、武装した男達がいた。そして一人が片足が血塗れのクロッカを人質に捕っていた。


「皆さん!すいません!その……」


「逃げるなよ?ここで逃げたら……こいつがどうなるか分かってるよな?」


「きゃ!?」


 俺達がボス部屋に逃げこまないように、クロッカの髪を引っ張りその首にナイフを当てる男。


「あなた達……冒険者よね……?」


「いや?違うが?」


「とぼけなくていいよ?私も、前にあなたたちを見たことあるもの……王都の冒険者ギルドでね」


「そうか……大人しくしろよ?さもないと……」


「私を置いて逃げて下さい!はや……かっ!!?」


「喋るんじゃねえ!さあ!どうする!?」


(……俺に任せろ)


 気付かれないように、念話で皆に会話する俺。


(何か策があるの?)


(ああ。ラボトリーの中にある面白いやつをさっそく使う時だな。出来るだけ時間を稼いでくれ)


(……分かった)


 俺はさっそくラボトリーの能力を使う。後はこれで……。


「こんな事をして、どうなるか分かってるのかしら?」


 ボス部屋の扉から離れていく俺達。すると扉が勝手に閉まってしまった。


「知られることは無い」


「随分、自信満々ね?私達がその子を見殺しにするかもしれないのに?」


「それが……出来るのならな?」


 ニチャとした笑顔を浮かべる男。同性として、アレは女性に対して向けていい笑顔じゃない。


「すいません。ボス部屋から出て来たら、あいつらがいきなり……」


「あいつら、出て来たと同時に襲い掛かって来やがって……」


「許さない」


 フォービスケッツのメンバーが怒りに満ちた表情で男共を睨みつける。しかし男共は人質を取っているせいか憎ったらしい笑みを浮かべている。


「許さない……ね。おい。お前ら……」


 周りにいた男共がこちらに歩み寄って来る。皆も武器を構えているが、どうすればいいのか分からずに攻めあぐねている。


(どうすえるのウィード……!)


(……もう少し)


「どうするリーダー……っう……」


 すると、アマレッティがその場でよろめき始めたので、それを見た皆が何かあったと警戒する。


「大丈夫!?」


「いや……何か眠気が……」


「まさか毒を?」


 ヴィヨレの発言に皆が男共の方を見るが……それを見て皆が困惑する。なんせ、自分達と同じように困惑しているのだから。


「い、一体なに…が……?」


 すると。一人の男もよろめき片膝をつける。


「てめぇら!?何をした!!」


「そんなの……?」


 今度は男共の言葉を否定しようとしたドルチェが地面に座りこんでしまった。そして、他の奴らもどんどん立つのが辛くなって、倒れたり座ったり……中には眠りについた者も出始める。


「一体……何が……」


 ココリスも片膝を付き、頭を押さえている。


「ココリス。これ飲め」


 俺はココリスにこの状態異常に効く薬を取り出す。ココリスはそれを直ぐに飲んで状態異常を治すと、寝ているヴィヨレの手に乗っている俺を持ち上げる。


「……一体何したのかしら?」


 笑みを浮かべて、鋭い目つきで睨みつけるココリス。


「すまん!あいつらを取り押さえないといけないし、人質に捕られたクロッカを助けるためにも、これが一番手っ取り早いと思いまして!!」


「それで何をしたのかしら……?」


「ただの睡眠薬です!だから人体には無害です!!」


「睡眠薬……?確か、あなたの作ったアレって甘い匂いがしないかしら……うん?」


 ココリスが鼻を動かして、周囲の匂いを嗅ぐ。どうやら気付いたようだ。


「ラボトリーで急遽作ったポイズン・パフュームです!!精密鑑定の能力で周囲の濃度を調べながら、撒き散らしていました!!だから、濃度の高くなった今なら匂いがするかと!!」


「気付かなかったわ……」


「徐々に濃度を高くすることで鼻を慣れさせました!それに皆は互いを意識し合っていたのと、反応が余計に遅れたかと!!あ、これ気付け薬です!後はクロッカのためのポーションも!」


「ふう……分かったわ」


 ココリスは俺の出した薬を使って、男共以外の皆を回復させていく。すでに男共は寝ていて起きてこない。

 

「クロッカ……大丈夫?」


「はい……いっつ!!」


 ココリスが傷口に直接ポーションを掛けている。飲んでもいいのだが……あの方が治りが早い。これは戦闘において必須な知識である。


「も、もっと丁寧に……」


「罰込みよ。ああやって捕まってしまった場合だけど、例えば男の足の指を踏むとか……大事なところをその尖った杖の先端でぶっ刺すとか……」


「おふ!?それは止めてくれ死んでしまう!!」


「あなたには無いでしょうが?」


「幻痛で痛いんだよ!精神的に!!」


 今は無い俺の息子……無くても俺の心にはあるのだ。だから、その話は俺に効く。そんなやり取りをしつつ寝ている男共をロープを使って縛り上げる。また、ここで寝泊まりするのに使っていたテントなども押収していく。


「で、そろそろ話してくれないかしら?あなたの新しい魔法を」


 あらかた、片付いた所で皆に俺の使ったアビリティを説明する。


「今回使ったのはポイズン・パフュームっていうラボトリーの中の調合に属するアビリティだ」


「ポイズン……毒魔法じゃないの?」


「そうだ。これは俺の作った薬を周囲に散布する能力で……状態異常を起こす物のみ有効だ」


「それって回復薬はダメってこと?」


「ああ。だから周囲にポーションを撒いて自動回復っていう使い方は出来ない。そこが唯一の欠点だな。でも、それに負けないメリットもある」


「先ほどの周囲に気付かれないように、体内に薬の成分を蓄積させることね」


「大正解!だからある程度、蓄積したところで薬の効果が発動する感じだな……今、これで周囲に散布できるのは毒、麻痺、混乱、狂化、魅了……肥満、痩身、動物化の7種類だな」


「これは……何というか……使えるの?」


 ドルチェがこのアビリティの有効性について疑問を浮かべる。確かにこれは毒魔法のポイズン・ハザードと同じように味方も巻き込む可能性がある……が。


「でも、気付かれないように相手に状態異常を掛けるのは強いと思うぞ。こんな風に使って相手を殺さずに征することも出来るからな」


 そこで俺の説明は終わる。後は味方を巻き込む可能性は事前に解毒薬を飲んどくとか、マスクをつけるとかで回避できるので問題無いだろう。


「やっぱり、このウィードを譲って貰って……」


「だからダメだって言ったでしょう……」


 俺の利便性をさらに知ったアマレッティが再度頼み込むのだが二人はそれを断るのであった。その後、クロッカが歩けるようになったところで襲ってきた男共を連れて、俺達は転移魔法陣で一層へと戻るのであった。

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