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19草

前回のあらすじ「ラーナ・ボンゴ撃破!」

―「アルヒの洞窟・14階層 15階へ下りる階段近く」―


「勝った……のね」


「そう……みたいですね」


 ココリスとラテがその場に座り込んでしまった。


「二人共大丈夫!?」


(精神的にやられたか?)


「私は疲れただけよ……ラテは?」


「最悪ですよ……ムカデが体中を這いつくばって……思い出しただけでも鳥肌が……」


「ああ……私も少しだけ……ミミックが……」


(どんだけミミック恐怖症なんだ……?)


「まあ……あれは恐怖といえばそうなんでしょうね……」


 そう言って遠い目をするココリス。先日から度々話に出るそのミミックは一体どんなやつなのだろうか。


(何か食べるか?いるなら出すけど?)


 俺がそう訊くと、皆が頷くので俺は収納から携帯食のサンドイッチと飲み物を出す。すると全員、食べ物よりまず飲み物を飲み始めた。


「ぷは~!ああ~……とりあえず退治に成功したわね」


「そうですね。後はこれでボスの異常が戻っていればクリアですね」


「……それでいつ挑もうか」


「すぐに。ここじゃあ、ゆっくり休めないもの……」


 皆、ここで休憩を取っているが、ここはセーフティーエリアではないのだ。少しだけ休んだら移動しなければならない。


(……あ。俺も補充したい)


「ああそうだね……チョット待って」


 ドルチェが俺が入った袋をベルトから外して、地面に置かれて……!?


(うおぉ~~い!?)


「な、何!?」


「変な声を上げてどうしたのよ」


(いや……いつものアレなんだけど……あ。)


「何かあったの?」


(音魔法を習得した)


「「「へ!?」」」


(チョット待っててくれ……確認してるから……)


 俺はステータス画面を開いて何が変わったのかを確認する。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

ステータス画面


名前:ウィード

種族:草(w)


Lv:20

HP:10

MP:550

ATK:1

DEF:1

INT:200

MID:250

AGI:0

DEX:400

LUK:EX


通常アビリティ

光合成Lv4、成長促進Lv4、水魔法Lv5、毒魔法Lv4、回復薬Lv5、

念話MAX、精神耐性Lv3

火魔法MAX、火耐性MAX

音魔法MAX、混乱耐性MAX


特殊アビリティ

言語理解MAX、ログMAX、調合Lv5、収納MAX、インビジブルMAX


称号

異世界転生草、イグニス、ラーナ


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 混乱耐性MAX……俺って最初から効いてなかったけど、それは種族ボーナス的な物なのか?それ以外には音魔法とインビジブル、そして称号であるラーナか。それとレベルが20か……同じ種類のモンスターはカウントされないから20種類のモンスターを倒したということになるのだろう。


(音魔法……それとインビジブルを手に入れたみたいだ)


 どれもラーナ・ボンゴが使用していた物で間違いないだろう。それ以外の原因は思いつかない。


「いんびじぶる……?」


 ラテさんが不思議そうに訊いてくる。


「不可視の呪文よ。姿を消せる呪文で隠密とかに便利なアビリティなのだけど……手に入れ方が不明なアビリティなのよね」


「へえー……詳しいですね。私、ギルドで働いているのに聞いたことが無いですよ」


「私達はエルフだからね。長く生きてればそれだけ知識も増えるよ」


(どれどれ……インビジブル)


 俺は試しに発動させる……って。


(これ……消えてる?)


 この魔法の不便な所は自分の姿が見えなくなったのかが確認できない事だろう。


「ええ。出来てるわよ。ただ、あなたの植えられている土のところが隠れていないからそれで丸わかりね」


(ああ。そうか。俺だけを消すと根っこの部分が消えて、不自然に地面が抉れてるようにも見えるのか)


「その通り。だから使う時はあなたを包む袋も消さないとダメね」


(これって自分の物も消せるのか?)


「そうじゃないと隠密できないでしょ?」


(それもそうか……)


 本当に消えているのだろうか?鏡があればいいのだが、それが無い今は自分ではそれが確認できないので不便だ。


(そうだ!)


 俺は目の前にいるドルチェの杖をドッキリも兼ねて消してみる。


「うわ!?……って、見えなくなるだけなんだね」


 ドルチェがそう言って手を振っている。何も見えないがその振っている手には杖が握られているのは間違いないだろう。その証拠として、何かを地面に叩く素振りをするとコンコンと音を立てている。


(おお……これは便利だな。これって武器持って無いですよ~。とアピールかまして相手に油断させられるよな?)


「確かにこれは便利ですね」


「そう言えば……これって戻るの?」


 ドルチェが俺を見るので、解除を意識してみると杖がドルチェの手に出現する。


「術者の意思で消したり出したりが可能なんて便利かも……」


(だな……ところで皆は何か習得していないのか?)


 ここで俺は皆に聞いてみる。ゲームで言う隠しボスを倒したのだ。何か一つくらいは恩恵がないとやっていけないだろう。


「私は……混乱耐性Lv3か……」


「えーと……音魔法Lv1ですね」


「私も音魔法だ!Lv3だって!」


(あれ?俺だけ3つ?)


「そうね……心当たりは?」


(……成長促進)


「きっとそれね」


「それで決まりですね」


 成長促進のアビリティに関して、俺はてっきりアビリティのLvが上がりやすくなるそんなアビリティだと思っていたが、まさかそんな所にも影響を及ぼしているとは思っていなかった。


(チートアビリティだったな……これ)


「とりあえず皆さん、このままボスまで向かって魔法陣を使って帰りましょう」


「そうね」


「さんせーーい!ウィードもいいよね?」


(もちろん。一番怪しい原因は排除したんだ長居は無用だろう)


「じゃあ、後少しだけ休憩したらボス部屋に行きましょう。しっかり休憩しましょう」


 一番怪しい原因を排除したんだ。これで解決のはずだろう。後は無事に帰るだけだと思いたい。それよりもさっきのインビジブル……武器だけとか消せるんだよな……ということは?


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―草の妄想タイム―


「すーすー……」


「うん……」


 俺達は今あるダンジョンのセーフティエリアにいる。時間的には深夜……二人が俺の前で寝息を立てて寝ている。


(インビジブル!)


 必死に訓練して扱いを覚えたインビジブルを使って、二人の身に纏っている衣服だけを消す。


(おおーー!!)


 白い肌、育ちのいいたわわに実った胸と形のいいお尻……あ、やべ……草なのに鼻血が……。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―妄想終了―


 俺の青春よ!私は帰って来たぞ!!


「ウィード。そろそろ行くけど大丈夫?」


(おう。俺もオッケーだぞ)


「それじゃあ、行きましょうか……ああ。それとウィード?」


(何だココリス?)


「インビジブルで私達の服だけとか消せたりしちゃうから、扱いには気を付けなさいよ?」


(ああ……!そうだな気を付けるよ)


 うわーー!!あぶねえ!?見破っていたか……?いや、気が付いていないみたいだし、単に扱いに気を付けろという注意喚起の意味で言っただけだろう。そう。それだけだ……きっと。


 その後、俺達はボス部屋まで到着。そして、そのまま本来のボスであるただのオーガを倒してアルヒの洞窟から帰還するのだった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―夜「アルヒの洞窟・入り口付近にある宿」―


「ふう……俺達も確認したぞ。元通りただのオーガだった」


「そうですか……鉄馬の轍の方々からも同様の報告を受けました……」


「それでは……」


「ええ。異常は取り除かれたとみて間違いないでしょう……皆さん。お疲れさまでした」


 今日の夕方にやってきたギリムがクエストの終了を宣言する。それを聞いた皆が声を上げて喜んだ。


「よし!それじゃあ……飲むぞお前ら!!」


「「「「おーーう!!」」」」


 その声を聞いた宿の店主がカウンター裏からお酒を取り出してテーブルの上に置いていく。


「ここでの飲食は報酬の一つとしてこちらで出します。どうぞ飲んで騒いで下さい」


「ギルドマスター太っ腹!!」


 そう言って、今回の参加者の一人である女性が我先にとお酒を飲み始める。それをきっかけに宴会が始まりドルチェとココリスも飲食を始める。


(さて……)


 飲食できない俺。今、テーブルの上に置かれているのだが……暇だ。


「ウィード?大丈夫?」


 他の参加者達と楽し気に話していたドルチェが何も言わない俺を心配して尋ねるのだが……。


(気にしなくていいぞ……それに、たった今いい事を思いついたしな)


「いい事?」


(ああ。音魔法のいい練習になる……)


 俺は音魔法を発動させる。


♪♪~♪~~♪


 発動させると、ケルト音楽のような陽気な音楽が店内に響く。それを聞いたすでに酔っ払っていた男二人がペアになって踊り周囲を笑わせる。今使用した音魔法は「演奏」という物なのだが。これは自分のイメージした音楽が周囲に流れるという物だ。本来ならここで自分の楽器も使い演奏をするのだろう。


「いいわね。気分が高揚するわ」


「うん。楽しい気分になるよね♪」


 二人にも好評のようで何よりだ。二人以外も楽しい気分になってグラスに入ったお酒をどんどん飲み干していく。


 ここで気付けばよかったのだが……皆が楽しい気分でお酒を浴びるように飲むという事態が発生してしまい、音魔法の練習で集中していた俺がふと気付いた時には皆が酔い潰れてしまう事態を生んでしまうのだった。

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