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1草

前回のあらすじ「ちなみにイネ科の草らしい」

―「???の森」―


(く、くそ……。何だよこれ!?ただの草?ヘルモードか!?難易度ルナティックか!!)


 草の為に喋る器官が無いので、心の中で思いっきり叫ぶ。


(と、とりあえず……)


 俺はステータス画面を確認する。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

ステータス画面

名前:―

種族:草(w)


Lv:1

HP:10

MP:10

ATK:1

DEF:1

INT:1

MID:1

AGI:0

DEX:1

LUK:EX


通常アビリティ

光合成Lv1、成長促進Lv1


特殊アビリティ

言語理解MAX、ログMAX


称号

異世界転生草

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


(www!何コレ!?ウケる!!wwwwww!)


 笑うしかない。運がいいだけのただの草(w)。称号に異世界転生草と書かれているので間違いなくここは異世界で合ってるのだろう。俺はここで一生を終えるのか……。草ってことは多年草だとしても数年程度の命なのか?それにログって何だろう?ってあれ?ステータス画面の下に何かある。


―この下は自由に書き込んで下さい―


 書き込む?俺はとりあえず文字を書いてみる。これって書いてるのか良く分からないが……。


―〇、丸、まる、δ@¥―


 図形の丸に漢字と平仮名、カタカナ、そして謎の文字での丸。どうやらこれがこっちの世界の言葉か……終わった。確認作業終了です。はい。どうしろと?


(……異世界なんだよな……魔法を使えないかな……よくあるご定番だと練習すれば何とか……)


 どうせ手も足も出ない草なのだ。何かしら出来ないか試すか……。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―1ヶ月後「???の森」―


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

ステータス画面

名前:―

種族:草(w)


Lv:1

HP:10

MP:250

ATK:1

DEF:1

INT:68

MID:36

AGI:0

DEX:100

LUK:EX


通常アビリティ

光合成Lv3、成長促進Lv3、水魔法Lv3、毒魔法Lv3、回復薬Lv5


特殊アビリティ

言語理解MAX、ログMAX、調合Lv4


称号

異世界転生草

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 何とかなりました~!!……って!?スゲーな草!魔法使えたよ!?いや、ただの草じゃないのか俺?とりあえず最初の1週間は水鉄砲を飛ばすだけの魔法を気合いで覚えた。すると、ステータス画面を確認すると水魔法を覚えていて、MPも増えていた。


 2週間目からは根っこから養分を吸収したりして回復や毒薬なんかを作れないかを模索していたら毒魔法と回復薬。そして調合を覚えていた。そこからはただひたすらLv上げをしていたら約一月ぐらい(2週間までは数えていたがそこからは適当だったりする)でここまでのLv(ステータスのLvは相変わらず1だが)になっていた。INTとMID、それにDEXが上がったのはありがたい。


(ただの草では無くなった……けど)


 動けない。草である以上ここを離れられない。困った。実に困ったよこれは……。


「きゅ!」


 何か声がした。草に目も耳も無い。だから俺の意識次第で360度見渡すことが出来る。ということで人で言う所の後ろを振り返る……。おお。ウサギだ。角生えているけど。可愛らしいマスコットみたいなウサギだ。


「むしゃむしゃ……」


 あ。草を食べてる仕草かわいい……。いや~……和みますな……。異世界に来て初めての出会いはウサギさんですか~……。うん?


じーーーーー。


 何で……こっちを見ている?


じーーーーー。


 ああ。そうか僕、草!君は草食動物。喰う喰われるの間だったよね。うん。忘れていたよwww!あ、こっち来ないで!私を食べないで!


(ウォーターカッター!!)


 スパーン!


 草の先端から水の刃を出してとっさに攻撃をするとウサギさんの首が飛んだ。そして体は切り口から血を流してそのまま地面に横たわった。


(……ごめんなさい)


 自分の命を守る為とはいえ、ウサギさんの命を奪ってしまった。俺はウサギさんの冥福を祈った。


(……おっお~~!!!!)


 一瞬、変な声を出してしまった。いや、草だから声は出せないけどさ。でも、変な感じがした。少しだけデカくなった?俺はステータス画面を確認すると、ただのLvの所が2になっていた。


(魔法の練習だとアビリティのLv上がったけど、ウサギさんを倒したらステータスの方のLvが上がった?どういうことだろう?)


 このアビリティのLvは熟練度とかそういう意味だろう。ステータスのLvは……上がっただけでステータスも何も変わっていないな?


「グルル……!!」


 うん?次はオオカミか?これまたかわいいな?見た目はオオカミなのだが全体的なフォルムが丸っこいため、かっこかわいいという雰囲気だ。


「がぶ!」


 倒れていたウサギの体を喰い始める。まあ、草を食べる訳が無いか……。そんな事を思ってるとついにはウサギを食い尽くした。


じーーーー。


 うん。何で見るのかな?もう食べ物は無いはずなのに……。


じーーーー。


 そういえば、犬ってお腹の調子を整えるために草を食べたりすることもあるって聞いたことがあるけど……。そう思っているとオオカミの口が開く。


(ポイズンショット!!)


 その大きく開いた口の中に、草の先端から毒液を突っ込む。


「ぐがっ!!」


 オオカミがその場で悶え始める。しばらくその行動を続けると、ついには口から血を吹き出して最後には動かなくなった。


(うわ…………お、Lvが3になってる)


 ステータスのLvが上がってる。倒せば上がるのか?すると今度は空が暗くなる。


バクン!


(……凄く。大きいです)


 横たわっていたオオカミを喰らった者。それはトカゲの頭をした空飛ぶ生物。


(ドラゴーーーーン!!)


 いやいや。いきなり!?ファンタジー要素キターーーー!!で嬉しいけど?ま、まあこんな草に目を向けないですぐにでも……。


じーーーー。


 ……何で。


じーーーー。


 何で何で。


 ドラゴンがその大きな口を開いて地面ごと……。


(最大出力!!限界突破!!!!うおおおおおーーーー!!!!ポイズンレーザーーーーーー!!!!)


 全力全開。きっと俺は限界を超えた!と思えるくらいの意気込みで大量の毒をその口に流し込む。


「ぎゃおおおおーーーー!!!!」


 致死性が高かったのだろう。すぐにドラゴンは倒れてしまった。


(ふ。ふふふ……やったぞ!助かったぞーーーー!!!!)


 命があること。ただただ嬉しい。そうだこんな奴を倒したんだ!きっとLvが……3?


(もしかして倒した数がそのままカウントされているだけ?)


 先ほどのオオカミとウサギさんと比べたら圧倒的にこのドラゴンの方が強いだろう。つまりステータスのLvは倒した数を表してるでいいだろう。これが何なのかが分かったのはありがたいな。それにしても……このドラゴン傷だらけだな……。


 よく見ると切り傷に擦傷、体に何かが突き刺さっていたりする。このドラゴン何かと戦っていて力尽きる寸前だったのかもしれないな。再び開いていたステータス画面を見る。するとアビリティが増えている。


通常アビリティ

火魔法MAX、火耐性MAX


特殊アビリティ

収納MAX


称号

イグニス


アビリティに幾つか追加されている。やったね耐火性のある草になったよwww!それに火魔法か……。


(ファイヤーボール)


 すると草の先端から大きな火の球が出現。それを前方の地面に向けて撃つと地面が焼け焦げた。草なのに火魔法が使えるってどうなんだ?


 それにイグニス?これなんかLvが無いぞ?もしかしてレア魔法!?それに収納……。俺は静かにドラゴンの体を見る。


(収納)


 するとドラゴンの死骸がその場から消える。


(キレイに片付きました~~!!)


 ドラゴンの死体が近くにあると、様々な動物を呼びかねない。収納できてよかった……。ステータス画面を見ると収納が赤く光っている。何だろうと思うとゲームにあるようなアイテム一覧が表示された。そこにはドラゴン(古代種)の死体と表記されている


(おお。これは便利……古代種?何か強そうだ)


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―さらにさらにそこから5ヶ月「???の森」―


(春……気持ちいいな~~♪)


 あの色々あった一日が過ぎると、再び代わり映えの無い日々が続いた。どうやら俺がこっちに来た時の季節は晩夏みたいで徐々に気温が下がっていき冬が到来。何とか凍える冬を火魔法で暖を取りながらやり過ごし。その間はせっせと根っこから組み上げた養分を使って回復薬に数種の毒薬、さらに変な薬も作れてしまった。魅了薬に発毛剤……それとこの痩身薬はいいけど肥満薬って使えるのかな?俺はそんな事を考えつつもそれらをアイテムボックスに放り込む。容器が無くても液体のまま入れられるなんて収納スキルは便利である。


 それとドラゴンは来なかったが、あの後も同じウサギにオオカミ、ヘビに大型昆虫がちょくちょく横切ったり、襲ってきたので倒していた。こんな生活を続けているとステータスはどんどん上がっていき、また調合Lvが上がった事で、調合を選択すると今まで作った薬が閲覧できてカテゴリー毎に整理することも可能で大変便利だったりする。そんな日々を黙々とこなしていった。


(ふぁ~~……こんな日は気持ちよく日向ぼっこでもしているか……)


 いつも喰われないかと不安だったのだが、最近は水魔法で糸を作って侵入者を知らせるトラップなどを作ったので安心して寝れるようになった。まあ、草だから寝ないんだけどね!


(ヒマだ……動きたい!どこかに冒険したい!!)


「きゃああーーーー!!」


 そんな変な事を考えていたせいか女性の悲鳴が聞こえる。ついに精神的に参ってしまったか……。


 すると、水の糸が切れたので本当に誰かがこちらへと来てるのが分かった。すると茂みの向こうから二人組の女性がこっちへと歩いてくる。ピンクのボブヘアの女性が茶髪ポニーテールの女性を引きずりながらだけど。


 これが彼女達との出会い。ここから……草(w)に転生した俺の冒険が始まるのだった。

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― 新着の感想 ―
アクション系統の小説を探していたらこの小説を見つけました。 草に転生、からの魔法を取得し、何やらありそうな展開。 今後、何故転生した時点で草なのに意識があったのか、何故知性を持ち合わせていたのか、等の…
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