114草
前回のあらすじ「自分の体を確認中」
―「リゾート地ガルシア・高級リゾート地 プライベートビーチ」―
「……」
砂浜に置いたビーチチェアで寝転がる俺。パラソルが日光を遮ってくれるおかげで、焼けるような暑さを感じることなく、ゆったり出来ている。近くに置いた台の上に冷たい飲み物を飲みながら海を眺めたり、波を子守歌に昼寝をする……こんな贅沢な休日の過ごし方は、前世の社畜時代では考えられなかったな。
「これで私が男だったら……ハーレムみたいで良かったのにな……」
「旦那も含めてハーレム状態じゃないのかい?」
すると、先ほどから海で遊んでいたはずのアマレッティが見下ろす形で俺の顔を覗いてくる。オレンジのビキニを着ており、獣人が持つケモ耳と尻尾に非常に似合っていて、彼女らしい活発さを感じられる。
ちなみに俺は黒の水着の上に白の水着を重ね着している。デザインの違う水着を重ねる事で、ただのビキニよりも布の面積が増えて恥ずかしさが軽減されている……気がする。本当は下をショートパンツにしたかったのだが、何故か売り切れのため仕方なく普通の方を着ている。
「これだと、ただの女子で集まって遊んでいるだけなんだよね……」
「確かにそれもそうか」
「それより……ガレットは? 遊ぶより、今の私みたいにビーチチェアで寝てる派だと思うんだけど?」
「呼んだ?」
ふと、寝ている頭の方から声が聞こえたので、起き上がって後ろを振り向くと紺色ワンピース水着……前世ならスク水と言われるような水着を着たガレットが1冊の本を持ってやって来た。
「予想通り、寝てる派だね」
「何の本を読もうか考えてたら遅くなった……で、ウィード……」
「分かってる」
俺は収納から、今、俺が使っているのと同じビーチチェア一脚を俺の隣に出す。すると、ガレットはすぐさまビーチチェアに横になって、ゆっくり読書を始めようとする。ドワーフという種族のため幼く見えていた彼女だが、スク水とイカ腹と言われる幼児体型特有の少し前に出ているお腹のせいで、今の自分より幼く見えてしまう。
「ドリンクはいる?」
「いる」
「うちもいいかい? 少し喉が渇いて、飲み物を飲みに来たんだけど」
「もちろん」
俺は氷でキンキンに冷えたジュースを入れ物ごと台の上に出し、それとストローが入った底の深いコップも2つ取り出す。俺はジュースの入った入れ物を手に取り、コップに飲み物を入れて2人に渡す。
「ふふ……最高の休日……」
「だな。ウィードの旦那に頼めば、何でも出してくれるしな!」
ジュースを飲みながら、至れり尽くせりのこの状況に満足する2人。普通なら道具を持ち運んで、設置してと手間が掛かるのだが、それらが収納のアビリティで大幅に省略され、かつ俺1人のチョットした手間暇で済むので、お手軽にリゾート気分を味わっていたりする。
「コテージに置かれていた道具を収納しているだけだよ……」
「おーーい! アマレッティ! ビーチボール持って来て!」
「はいよ! って……」
「うん……」
飲み物を飲みながら、俺は収納からビーチボールを手の上に出して、アマレッティへと渡す。
「サンキュー!」
アマレッティそう言って、海で遊んでいるビスコッティとクロッカ、それとドルチェとココリスの4人の元へ走っていく。そして、持って行ったビーチボールでさっそく遊び始めた。
「それ!」
「うわ……! よっと」
「こっちにもパスしてよ!」
水に濡れながら、はしゃぐ美女5人。海があるリゾート地に行くと分かった時から、待ちに待ったこのシチュエーション。水辺のダンジョンだから、水着のように露出の多い服で戦うのではないかと期待していた頃もあったが……まあ、普通に考えたらそんな事なかったし、ここでしっかり楽しまなければ……。
「いきますよ!」
そう言って、ビーチボールをパスするビスコッティ。青のビキニトップ姿であり、下は黒いショートパンツを履いている。あの中で一番楽しそうな笑顔で遊んでおり、その笑顔とその体に不釣り合いな胸に魅了される男性も多いだろう。
「それ!」
ビスコッティがパスしたビーチボールをトスして上にあげるクロッカ……自身の持つ2つの大きなボールも揺れており、非常に眼福である。膨脹色である白のワンピース水着を着ているせいで、より豊満なボディに見えてしまうが……悪くない。
「ドルチェ行くわよ!」
トスして打ち上げたビーチボールをココリスが両手を上に構えてパスをする。それによって、体が伸ばされて、その引き締まった体がより目立つ姿勢になる。お腹をよく見ると、薄っすらと腹筋も見えている。
「よ~~し……! って、うわわ!?」
飛んで来たビーチボールに合わせて、ゆっくりと後ろに下がっていたドルチェが、悲鳴を上げながら後ろへと転んでしまう。『いてて……』と言っていると、そこに追い打ちをかえるようにビーチボールが顔面にぶつかり、海に沈んでいった。
「何とベタな……」
漫画の水着回とかである、ビーチボールなどが顔にぶつかって、そのまま海に沈んでいくという光景を生で見る事になるとは……。俺がまさかの光景に呆気に取られていると、ココリスとビスコッティがドルチェに近づいて、手を引っ張り上半身を起こしていた。
「大丈夫?」
「あはは……つまずいちゃった」
心配するココリスに、笑いながら自分に何があったかを説明するドルチェ。そこから、立ち上がって、びしょびしょになった髪を軽く絞って水を落としてく。自身の髪と同じピンク色のフリルの付いたビキニを着ているのだが、少し小さいのか、うっかりすると胸とお尻が水着から零れそうである。
「元気だね……」
「この中で一番年下なのはウィード」
「前世も含めれば、一番じゃない! 中身はおじさんだからね! それに……それを言ったら、ガレットも若くないって話だよ」
「む。それは確かに……でも、ここでゆっくりするのを辞める気は無い」
「同じく。前世で味わえなかったゆったり時間を楽しまないと……」
口げんかもそこそこにして、俺達はそれぞれの時間を楽しむ。ガレットは読書を、俺は草の頃に味わえなかった惰眠を貪る。
「……ウィード」
「ん……何……?」
「寝るなら、肥満薬を使わないの?」
「それは……」
そういえば、自身の体がどれだけ薬の効果があるのか試していたけど、まだ身体に変化を起こす薬は飲んでなかった。
「寝るのに最適」
「それはガレットだからじゃないかな……ほぼ毎日、就寝前に飲んでるのってガレットだけだよ?」
「皆、羞恥心とか色々あるから飲んでないだけ……それが無ければ、毎日いける」
「薬の飲み過ぎは体に悪いと思うんだけどな……」
「ウィードの薬は問題無い。女神様の加護あるし」
「アビリティにも、称号にも無いんだけどね……」
ガレットとそんな話をしながら、俺は収納から肥満薬を1つ取り出す。
「あれ? 飲むの? 話の流れ的に飲まないと思ってたけど……」
「私って状態異常になるかならないかを自分で決められるんだけど……姿の変わる薬の場合はどうなるのか試してなかったんだよね」
「それは……興味がある。ぜひ、観察してみたい」
本を台の上に置いて、こちらを見つめるガレット。正直、飲みにくい。
「太る姿を見られるなんて……何か恥ずかしい」
「心は男性……気にしない」
「そこは性別関係ないと思うけどね……うぐっ」
手に持った肥満薬を飲み、肥満化無効を解除する。これで、自分の体がポッチャリ体型になるはず……。
「うん……!!?」
久しい感覚……気持ちいいという感覚。それによって全身が火照り、力が入らなくなってしまう。そして、その感覚は体の外へと向かおうとしている。
「うっ……♪」
お腹が前に出て、パンツに乗っかる感覚がする。自身の胸で視認できないので、自分の手をお腹に回して、どれだけの贅肉が付いたのかを確認する。そこにあったのは今まで無かった感触……ぶ厚い辞書ぐらいの贅肉が付いただろうか。それは脇にもたっぷりついており、両手を腹の下に入れるとずっしりと重さがある。そして、そのまま持ち上げて手を離すとブルン!と揺れ、太くなった太ももにぶつかる。
「あ、あっ……♪」
すると、気持ちいいという感覚が再度湧き上がり、その気持ちよさに喘ぎ声が漏れる。少し待って欲しいと思ったが、体は容赦なく太っていく。足は太ももから足先の順で全体がムクムクと膨らみ、腕も二の腕から手先へと同じように膨らんでいく。胸とお尻は既に膨らみ終わっており、水着という拘束具から余った肉がはみ出てしまっている。
「はあ……はあ……んん♪」
顔も少し膨らんだところで終わったと思ったら、最後の仕上げに全身が少しだけ膨らむ。その気持ちよさに、色々、大丈夫なのか確認する。
「濡れていないから大丈夫」
「大丈夫じゃ……ないけど……?」
俺は一回呼吸を整えてから、水魔法で水鏡を作り、今の自分の全身を確認する。そこには、どこを触っても、水枕のような触り心地がいい体をした爆乳の肥満児が映っていたのであった。




